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出発





いよいよ明日、4月4日から個展「ランチボックス」が名古屋松坂屋本店で開催されます。



本日名古屋に向けて出発し、搬入作業をします。



会期中は全日在廊しておりますのでお気軽に声をかけて下さい!









今回の個展は「ランチボックス」というタイトルが示すように、“食”というテーマをメインに構成されています。

(詳しくはCOMBINEのホームページの[ferture]に掲載されておりますので、よろしければ是非御覧ください。
http://combine-art.com/html/office/oc_feature_detail.php?id=25&category=1&page=1)



このテーマは今回初の試みといったわけではなく、これまでもずっと続けて描いてきたものであり、私の根源にあるテーマです。



しかし、“食”というテーマだけに絞り込んだわけでなく、一見すると少し違った雰囲気を持った作品も展示しています。









テーマがテーマだけに、作品に幅を持たせたかったという単純な理由もあります。



しかし私の中では、全ての作品の根底に流れるものは変わっていないと感じています。



一人の人間から作り出されたものなので、当たり前といえば当たり前ですが…
そんなことですら、実際に描いてみてようやく気付いた事の一つです。



本人としては新たな試みをしたつもりでも、少し色調を補整したようなものでしかないんだなぁと感じました。










今回の個展を開催させていただくにあたり、沢山の方々のお力添えがありました。

大変有り難く思います。

中には、作品が仕上がるかどうかずっとヒヤヒヤしながら心配して下さっていた方もいらっしゃいました…




一昨年の秋に個展開催のお話をいただいて以来、沢山の出来事がありましたが、



やはりその中でも特に大きかったのは、娘の誕生です。



親になるというのはずごいもので、一気に自分を社会人にしてしまうものだと感じました。






お恥ずかしい話ですが、それまではまだどこか“卒業生”“新人”という青い雰囲気を纏うことで自分に甘えを持たせていました。



“失敗しても今の自分なら許される”

“万が一成功すればラッキー”



という考えが無かったといえば嘘になります。





しかし、娘が産まれたあの日それまで纏っていた甘い考えが一気に引き剥がされた気がしました。


泊る予定になっていたのにも関わらず、一人で自宅に帰ったほどです…




その後も目まぐるしく変化する環境の中で制作するという大変さに振り回され、そこに大学勤務が重なってダウン寸前になることもしばしば…



しかし、だからこそ自分がしていることの責任と可能性を客観的に捉えることが出来たような気がします。



長らく個展開催がなかったこの期間で、ようやく少しは大人になれたのではないかと自負しております。



その成果を少しでもお見せできればと思いますので、皆様是非御覧ください。






お会いできるのを楽しみにしております!






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実習アシスタント
昨日、3月20日は、

私が実習アシスタントとして勤務させていただいている京都精華大学の卒業式でした。




勤務して初めての卒業式ということもあり、

なぜか卒業生並みの緊張感で当日を迎えました。









とてもいい天気の中で晴れやかに旅立って行く学生達を見ていると、

何度もウルウルしてしまいました…


皆さん、本当に御卒業おめでとうございます。











そして、御報告があります。



もうご存知の方も多いかとは思いますが、

実はわたくし釜もこの日をもって実習アシスタントの業務を終えさせていただくこととなりました。




皆様大変お世話になりました。




昨年4月から、たった1年だけという短い期間でしたが、

本当に充実した時間を過ごすことができました。









思い返せば1年前このお話を頂いた時…

正直に申しますと、とても迷っていました。




それは、チャンスを与えて下さるCOMBINEの方や支えてくれる家族のためにも、自分には今一番成さなければならないことがあるのではと考えていたからです。




私は家族とCOMBINEの方に相談をしました。





すると、私自身の予想に反し、


「やってみるべきでは」


という返事をいただきました。






大学を卒業してから絵画教室の講師として2年間勤めて以来、私は少しのアルバイトをしながら制作に専念して参りました。


そして沢山の方と出会い、沢山の機会を頂き、沢山の勉強をさせていただきました。


今思い返しても、とても恵まれていたと大変有り難く思います。







しかし、制作に専念していく中で、自分に足りないものが沢山あるということにも気付かされました。







どうにかして自分を改めないと、それもちょっとやそっとのレベルではなく、大きく改めなければならないと感じていました。



このままでは惰性で作品を作ってしまうのではないか…


そんな不安さえも感じるようになっていました。






そんな時にいただいた実習アシスタントのお話。


私は、かつて過ごした学び舎でもう一度自分自身を鍛え直そうと思い、


引き受けさせていただくことにしました。







そして、あっという間に月日は流れ、


沢山の生徒に刺激を受け、


かつての恩師と改めて話す機会もいただき、


ちょうど半年が経った頃、


私は父親となりました。





この1年間が与えてくれたものはとても多く、この役職をさせていただいた事をとても光栄に思います。


本音を言えばもう少し続けたいという気持ちはあります。




しかし、与えてもらったチャンスや支えて下さる方々のためにも

私は出来る時に出来るだけ、存分に無茶をしてみようと思います。



そして、それが若輩者の私が見せることができる唯一のことだと考えるからです。









今回このような素晴らしい機会を与えて下さった先生や助手の皆様、

大変世話になりました。

本当にありがとうござました。



そして学生の皆様、

本来ならば教える側の立場であるはずの私ですが、

逆に沢山の事を教えていただきました。

本当にありがとうございました。






すごく充実した、とても濃い1年でした!


本当に楽しかったです!










今年は私にとって頑張りの年です。


そしてこれからもずっとそうなるようします。



皆さんからいただいた刺激で、これからも更に精進していきたいと思いますので、

よかったら見守っていて下さい。










ありがとうございました。




2012年3月21日                  釜 匠 

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ぶた弁当 ~完成までの道・2~
前回はピンクの漬物(さくら漬け)を探し求めるというお話をさせていただきました。



あのくだらない話をきちんと最後まで読んで下さった方がもしいらしたのなら…

よっぽどヒ…

優しい方ですね。





今回も懲りずに、「ぶた弁当」にまつわるその後の小話をさせていただきたいと思います。











さて、

お漬物を入手したところでモチーフは全て揃ったわけです。



が、



それらを飾る肝心の“お弁当箱”がまだ最後に残っています。






前回のお漬物同様、このお弁当箱にもこだわりがありまして、











“赤いプラスチックで黒い縁のあるもの”



この条件で探しました。











これがまた!!





無い!





全然!













よ~し…



こうなったら!


と、


前回のお漬物同様、近所のお弁当屋さんに駆け込みました(汗)





「ここのお弁当ってどんなお弁当箱使ってますか?」





またもやメインのおかずに一切目もくれずに質問しました。


おかずどころか、今回はお弁当の中身ですらなくなってますからね…


それはもう…店員さん苦笑い…


前回のお漬物から時間も経っていなかったので、きっと顔を憶えられてしまったに違いありません…






そこまでしたのにも関わらず、やはり見つからない!!




諦めかけたその時!



ふと脳裏に、あのキーワードが浮かびました…








“業務用スーパー”







1kgという、二度と買わないであろう大きさのピンク漬物を買った、



“業務用スーパー”



私は“もしや”という思いで足を運びました。






淡い期待を胸に店内を物色していると…






















「お!あった!!」





この安っぽい赤いプラスチックに黒い縁!




それは、まさに私が探し求めていた代物でした。











私は意気揚々と棚からお弁当箱を取ろうとしました…













が…







いざ取り出してみると、プラスチックのお弁当箱とは思えないくらい


“ずしり”


とした重み…






そう。






だって“業務用”スーパーですもん…





お弁当箱は単品では売っておらず、セット販売のみということで…




その数なんと50…








しかもこれがなかなかのお値段…


恥ずかしながら、手持ちがなかった私は一旦引き返すことに。













やはり描くとなれば、実物を手元に置きたいものです。


簡単に手に入るモチーフならいいのですが、時折入手困難な場合もありまし。


入手困難でないにしても、今回のように大量購入しないといけない場合があります…

そのため、





「なんでこんなんいっぱい持ってんの!?」




と驚かれることがあります…







このポップコーンの羊を描くために用いたカップは100個入りを購入しました…

まだ90個以上あります。

ポップコーン屋さんができますね…




他にも金魚すくいの“すくい”が100枚程あります。

テキ屋さんになれますね…




数え上げればきりがないですが、これは仕方がないことです。














私は腹をくくって、50個のお弁当箱を買おうと決めました。














次の日の朝、



仕事があった私は、お弁当箱を買わずにとりあえず大学に向かいました。






いつもは午後から勤務する私ですが、その日はオープンキャンパスだったため朝からの勤務。










有り難いことにお昼にはお弁当が支給されました。




“無料のお弁当”




昨日の一件もあったっためか、その響きに嬉しくなり、

私はいつにも増して楽しく昼食をとっていました。












…ん?




私はふと、自分が食べているお弁当が気になりました。





「…これ」




私は、もしやとおもい、凄い勢いでお弁当の中身を平らげていきました!



中身が無くなるにつれ次第に明らかになっていくその全貌!








「や…やっぱり!」







なんと、そのお弁当箱こそ昨日業務用スーパーで見つけた“それ”でした。







「あぁ~!!」






私は最高に幸せな気持ちになりました。



空のお弁当箱をまじまじと見つめながら微笑む姿は、まさに不審者のそれでしたが、

そんなことはお構い無しで捨てるはずのお弁当箱を綺麗に洗いました。













「ぶた弁当の制作途中」





こうしてついにモチーフを全て手に入れ、念願の

「ぶた弁当」

を描くことができました。





ちなみに、この作品は2009年の年末に高松天満屋で個展をさせていただいた際、

その会期中に思いついた作品です。



構想に2年…



と言えば聞こえがいいかもしれませんが、

構想というよりは自分の技術がこの作品を再現できるまで2年かかったということです。



もちろん、今の段階で満足などいくはずもなく、日々鍛錬の日々です。





今回の個展では、そういった鍛錬の様子や試行錯誤の証が沢山詰まった展示になりました。



まだまだ未熟者ではありますが、皆様どうぞ宜しくお願い致します。











「ぶた弁当(モチーフ)を食すの図」

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ぶた弁当 ~完成までの道~
個展まで、残すところ1ヶ月を切りましたね…




厳密には、あと22日…




うーん…




ちなみに今日、ようやく1点完成しました!




残りの時間も最大限に活用していきたいと思います!










さて、



今回の個展のタイトルのきっかけにもなり、DMにも掲載させていただいた、







「ぶた弁当」







この作品は実際に制作する(描く)よりも前に様々な苦労を経てようやく完成したもので、

とても思い入れのある作品になりました。




今回はこの作品が完成するまでの様々なサイドストーリー(?)をお話させていただきたいと思います。














これは「ぶた弁当」の下書きです。


小さなメモ程度でしかありませんが、下書きを好まない私にとっては、残っていることだけでも珍しいです。




画像では見え難いですが随所にメモが書かれていて、今改めて読み返すと面白いです。





「オレンジとさくらんぼ」

「レタス」

「とんかつソース」





意外にも、ほとんどこの下書き通り描いてます…



「下にきんぴら」



等の小さなこだわりまでまさにそのまま…


どうしても“きんぴらを下”にしたかったんだなぁと思うと、少し可笑しく思います。





「みどりの…」


とバラン(葉蘭)の名前が分からなかったという痕跡もあります…

お恥ずかしい…












この下書きの後は、それぞれのモチーフ探しに奮闘しました!


レタスやサラダ、果物…と易々とモチーフを入手していったのですが、


あるものだけ一向に見つかりません…








それは…









この「ピンクの漬物」です!!








これがなかなか見つからない!


なんて名前かさえもわからない…!(後にさくら漬けと判明)


しかし、この場所はピンクの漬物しか考えられませんでした…






こうなったら!と思い、近所のお弁当屋さんで


「このお弁当は漬物ピンクのやつですか?」


と聞いて回りました…




メインのおかずになんて目もくれず、とにかくピンクの漬物を欲している姿はかなり怪しかったと思います。



当然、ものすごく怪しまれました…


もうね、慣れっこです…







そんな屈辱に耐えたのにも関わらず、見つからないピンクの漬物…




もうこうなったら違う色の漬物を脳内変換でピンク色に染めてやろうか…


と諦めかけたその時、うちの奥さんから吉報が!









「業務用スーパーにあったよ。でも…」









私は間髪いれず、「買ってきて!」と答えました。















そして見事、ピンクの漬物を手に入れました!











そう…





手に入れたのはいいのですが…









その重さなんと…









1kg…










さすが“業務用”…








しばらく食卓からピンク色が無くなることはありませんでした…














つづく

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新作アップ





4月の個展に出品させていただく予定の作品を数点、アーティストページ内のworkにアップしていただきました。



今回は少しだけ紹介させていただきたいと思います。



紹介するといっても作品について語るのは苦手なので、小話程度と思っていただけると助かります。(いつものことですが…)



もちろん、真剣なお話だってできないわけではありません!

それは…

是非…

会場で…

気軽に声をかけてやってください…











では、まず上の作品ですが「回転寿司」という作品になります。





そうですね…

うん…

これは回転寿司を描いた作品で…

見たまんまですが…





…そういえば、この絵のために何度もスシ〇ーや、か〇ぱ寿司、くら〇司に取材に行ったわけですが、




ものすごく不審者扱いを受けました。


それはもうものすごく…




まぁ、でもお手製のクジラの模型を皿の上に置いてスケッチしたり写真撮影したりしていたので当たり前です。


某動物園の時みたいに、追い出されなかっただけマシですね。















お次も寿司繋がりで、「でんでん寿司」という作品です。


これは大学を卒業して以来初めて油彩で描いた作品郡の内の一つです。




長いことアクリルに慣れていたため、描き初めはとても使いにくく感じていた油彩ですが、
この作品では上手く使えたのではないかなぁと思っております。



とにかく油彩とアクリル絵の具の比較にものすごく没頭していた時期でした。

今でも悩みの種ではありますが…





ちなみに、この作品を描くために巻き寿司を3本程無駄(カピカピ)にしてしまいまいた…

すみません…











このように今回の個展では、普段から描かせていただいている動物と、最も身近な生活習慣である“食”をテーマに制作させていただきました。



もちろん、直接的には“食”に繋がっていないように見える作品もありますが、一本の木から分かれて伸びる枝のようなもので、根底にある主題は共通しています。



まぁしかし、そんなことよりも難しい事は考えずに楽しんで見ていただければ一番嬉しいです。










個展まで残すところあと一月…





まだまだ作品を描かないといけない私にとっては長い長い期間になりそうですが、

新しい出会いや懐かしい出会いを思い浮かべて今からワクワクしております!













それでは、

初節句の衣装に身を包んだ我が娘が可愛過ぎてパソコン画面に集中出来ないので、今日はこの辺で失礼させていただきます…

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