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個展の出品作品紹介その③
現在開催中の15周年記念展「枠を組む」に出品中の新作をご紹介させていただきます。

3回にわたって新作をご紹介したブログも今回で最後となります。





「小さなオアシス」 2024/木製パネルに綿布・アクリル絵の具/45.5×38cm(F8)


こちらの作品は私が最も頻繁に描くモチーフであるシロクマとペンギンの作品です。

台車に載せた冷蔵庫を運ぶシロクマが、少し疲れたのでアイスクリームを食べながら一休みしていると冷蔵庫の冷気につられてペンギンたちが集まってきた、という一幕を描きました。

エメラルドグリーンの背景に白と黒の動物たちを可愛らしい動作で配置しています。

チョコアイスを食べているシロクマの手元と口元はチョコで汚れ、冷蔵庫を物色するペンギンまでアイスクリームを食べています。





一見すると可愛らしく見える一幕ですが、シロクマがなぜ重い冷蔵庫を運ばなければならなくなったのかを想像すると、少し見え方が変わってきます。





シロクマとペンギンは私にとって環境問題を最も強く意識させるモチーフです。

人間の快適で便利なテクノロジーの陰で変化を余儀なくされている彼らがその人間のテクノロジーを使って快適に過ごしている様子は、私たち人間に何を問いかけているのでしょうか🐧





「りゅうのかいじゅう」 2024/木製パネルに綿布・アクリル絵の具/116.7×91cm(F50)


こちらの作品は今回の個展で最後に描いた作品で、ほかの作品とは少し雰囲気が違う“異質な”作品となりました。

この“かいじゅう”はゴジラやガメラ等日本のキーコンテンツである怪獣を描いていますが、それと同時に付喪神やダイダラボッチをとしての側面も持ち合わせています。





この“かいじゅう”の身体は人間が出した大量のゴミや瓦礫で出来ており、少しずつ時間かけて肥大し続けています。





人間が生活するうえで必ず発生してしまう大量のゴミ。

我々が便利で快適に過ごすためにはこのゴミをどこか見えない端っこへ追いやらなければなりません。

そうして集まったゴミを、人間たちは見て見ぬふりをしながら快適に生活していますが、端に追いやられたゴミいつの間にか隠せない巨大な“何か”になってしまいました。

そこで人間たちはその“何か”を畏れ敬うために“付喪神”として祀るようになりました。

そうして誕生したこの“かいじゅう”は我々人間の生み出した文明社会の陰の部分なのかもしれません。





この作品は個展会場正面の一番奥にまるで祀っているかのように展示しています。

遠くにゆらりと佇む“かいじゅう”をどうか近くでしっかり見てください🐉





個展に出品している新作の紹介ブログはここまでです。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。


釜匠15周年展「枠を組む」は今月19日まで開催中です。
これまでの作品よりも、これからの作品を見せるという事に意識を置いた構成になっております。
作品についてはブログで詳しくご紹介させていただきましたが、やはり実物を肉眼で見ていただきたいと考えております。
是非お越しください。

私自身も会場に在朗しておりますので、お越しの際は是非お声がけ下さい!





↓以下展覧会詳細↓

■釜匠 デビュー15周年記念個展
《枠を組む》
■2024.02.02 (fri) - 2024.02.19 (mon)
OPEN 13:00 - 18:00
※最終日16時閉廊
■BAMI gallery
〒600-8824 京都府京都市下京区二人司町21番地
✉office@combine-art.com
☏075-754-8154

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個展の出品作品紹介その②
前回に引き続き今回も現在開催中の個展「枠を組む」に出品中の作品をいくつかご紹介したいと思います。





「マチカネたワニの子」 2024/木製パネルに綿布・アクリル絵の具/91×72.7cm(F30)


こちらの作品ではスカジャンを着たワニの子を描きました。

今年の干支である龍を題材とした作品で、よく見るとワニの子の背景にある金屏風に龍の角やタテガミが描かれており、それがワニの子に重なりまるでワニの子が龍のように見えています。

ただ、偶然ワニの子が龍になったように描いていますが、実はワニの子であることには必然性があります。





実は龍伝説が生まれたとされる中国ではかつて巨大なマチカネワニ(の近種)が生息しており、そのワニが龍伝説のモデルになったという説があります。

その伝説に惹かれてこの作品を描きました。




<作者の足とワニの子の身体が偶然に重なった奇跡の一枚>


ちなみにタイトルにある「マチカネたワニの子」のマチカネは、マチカネワニという名前の“マチカネ”と干支の主役が12年ぶりにやってくることを待ちかねている様子の“待ちかねた”の2つの意味を併せ持っています。

きらきらとした金屏風の色合いや輝きは実際に肉眼で見ないとわからないと思いますので是非ご覧ください🐊






「3匹の子ブタ/キャラメル」 2024/木製パネルに綿布・アクリル絵の具/41×31.8cm(F6)


こちらの作品は童話に出てくる3匹の子ブタをモチーフに描いた作品です。

食いしん坊のイメージが強いブタですが、西洋では不潔な動物の象徴とされる一方、中国では繫栄の象徴として崇められてきました。

そして日本の食卓を支える動物としての側面もあります。

このように国や時代等の状況で印象を変化されられるブタという動物を私は好んでモチーフにします。

最近はあまり描くことがありませんでしたが、今回の個展では久しぶりブタをメインとした作品を描きたいと思いこの作品を制作しました。





大量消費の象徴であるスナック菓子とブタの組み合わせでどのような化学反応が起きるかを楽しみに制作するとともに、ブタがもつキュートな姿をしっかり表現するよう努めました🐖






個展に出品中の新作ご紹介も次回で最後になります。

どうぞ最後までお付き合いください。


そして、個展は開催中となっておりますのでどうぞお越しください!

個展開催中は私も会場におりますので是非お気軽にお声がけください。





↓以下展覧会詳細↓

■釜匠 デビュー15周年記念個展
《枠を組む》
■2024.02.02 (fri) - 2024.02.19 (mon)
OPEN 13:00 - 18:00
※最終日16時閉廊
■BAMI gallery
〒600-8824 京都府京都市下京区二人司町21番地
✉office@combine-art.com
☏075-754-8154

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個展の出品作品紹介その①



前回お伝えした通り今回は現在開催中の個展「枠を組む」に出品中の作品をいくつかご紹介したいと思います。





「キバタンのいる階層」 2024/木製パネルに綿布・アクリル絵の具/116.7×91cm(F50)


まずは今回の個展で一番大きな作品であり、新しい試みを取り入れた「キバタンのいる階層」です。

タイトルの通りメインモチーフはキバタンというオウムを描いており、そのキバタンが自然を模した階層(レイヤー)の中にいる様子を描いた作品です。

まるでお遊戯会の舞台や飛び出す絵本のような雰囲気で、描かれているレイヤーは全て張りぼてで出来ているように描いています。
作り物の舞台で偽りの自然の中に佇むキバタンは主役のスポットを浴びるように白く輝いて見えるよう表現しました。





私が従来描いてきた“キャビネット”の作品とは雰囲気が少し違いますが、根底に流れるテーマは同じで、枠組みや仕切りによって分断されたり制約された環境で生きる動物の姿を具現化した作品です。

この作品は新しい試みだったため参考模型をしっかり作成してから取り掛かりました。
この模型作りがかなり頭を悩ませました…





最初に下描きを描き、その下描きを元に模型を作るのですが、下描きはあくまで2次元なので模型で3次元に変換する際に辻褄があわない箇所が多々あります。
しかし、これこそが模型を作る一番の目的であり、自分の考えた想像世界が実在するためにはどこに注意をするべきかを確認することが出来ました。

模型も作品の横に展示しておりますので是非こちらもあわせてご覧ください🐔





「絵画の裏側」 2024/木製パネルに綿布・アクリル絵の具/53×45.5cm(F10)


こちらの作品はタイトル通り「絵画の裏側」を描いたものです。

普段は決してスポットライトが当たることのないキャンバスパネルの裏側を主役にした作品で、15年間いつも作品の裏側から支え続けてくれた裏方にスポットを当てたいと思い制作しました。





また、もう一つのメッセージとして、絵画作品に関わらず美術作品というものは市販品によって作られる事がほとんどです。
画材店に売っているキャンバスに画材店に売っている絵具と筆で絵を描くという点では、絵画作品というのは有名無名に関わらず同じ物質で出来ているにすぎません。

それなのにも関わらず、一方は数千万や数億円になり、かたやもう一方は一銭の価値も持たないという事が起きます。





一体“価値”とは何なのだろうかという問いを込めた作品にしたいという思いも込めてこの作品を制作しました。
ただ、これは決してネガティブな自虐としての作品ではなく、どちらかと言うと「だからこそ美術は面白い」という思いで描いています。





こちらも作品の横に実際のキャンバスパネルの裏側も展示しておりますので、そちらもあわせてご覧ください🐘





少し長くなりましたので続きはまた次回のブログでご紹介させていただきます。

どうぞ引き続きお付き合いください。


そして、個展は開催中となっておりますのでどうぞお越しください!

個展開催中は私も会場におりますので是非お気軽にお声がけください。





↓以下展覧会詳細↓

■釜匠 デビュー15周年記念個展
《枠を組む》
■2024.02.02 (fri) - 2024.02.19 (mon)
OPEN 13:00 - 18:00
※最終日16時閉廊
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✉office@combine-art.com
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15周年記念展「枠を組む」
2024年になってから早くも1か月が過ぎました。

現在、京都のBAMIギャラリーではデビュー15周年と銘打った私の個展「枠を組む」が開催となっております。






<個展展示風景>


大変有り難いことに画家として活動を始めて今年で15年が経過しました。
正確には2009年の3月に開催させていただいた初個展「枠の中」を起点として15年ということになります。

大学を2007年に卒業し、その後2年間はアルバイトをしながら作品制作に費やしました。

初個展の後はアルバイトを辞め、“なんとか次の個展まで”と制作だけに専念する状況を作り出し、その次の個展を終えた後また更に“なんとか次の個展まで”…と、いう風に1年また1年と年月を重ねてきました。

長い道のりを歩んできたという感覚よりも短距離を何度も何度も繰り返し走ったという感覚です。
こんな風に言うと作家らしい刹那的な生き方と思われる方もいるかもしれませんが、これは作家として間違った歩み方だったと今は考えています。

1年1年を刻んで積み重ねていくよりも、数年や数十年先にしっかりとした目標を定め、そのために今の時間を具体的にどう使うかという事をしっかり考えるべきだったと反省しています。

これから先の15年はその反省を生かした歩み方が出来るように心がけていきたいと思います。






15周年記念展「枠を組む」について簡単にご紹介させていただきましたが、次回のブログでは個展出品作品について詳しくご紹介していきたいと思います。

どうぞ引き続きお付き合いください。


そして、個展は開催中となっておりますのでどうぞお越しください!

個展開催中は私も会場におりますので是非お気軽にお声がけください。





↓以下展覧会詳細↓

■釜匠 デビュー15周年記念個展
《枠を組む》
■2024.02.02 (fri) - 2024.02.19 (mon)
OPEN 13:00 - 18:00
※最終日16時閉廊
■BAMI gallery
〒600-8824 京都府京都市下京区二人司町21番地
✉office@combine-art.com
☏075-754-8154

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2023年ふり返り
とても久しぶりのブログ更新となってしまいました…

様々な形態のSNSが普及し、しっかりと情報を発信出来ているような気になってしまい、
その分こちらの方の更新が滞ってしまい反省しております…

SNSでは比較的ライトな情報を掲載しておりますので、その分こちらではしっかりとディープな情報やプライベートな情報を掲載していければと考えております。
どうぞお付き合いください。


前回の更新が2023年5月なので、まずはその後の事を少し振り返ってみたいと思います。


2023年後半も大変有り難いことに百貨店さんでの個展や新しい土地でのアートフェアなど発表の場に恵まれ充実した作品制作を続けることが出来ました。









<松坂屋名古屋本店での個展風景(6月)>









<アートフェアアジア福岡での展示風景(9月)>



それぞれ違った特色がある展示場所や形式だったため、作品や展示場所への向き合い方についてまた新たに考えさせられる印象深い展示となりました。


そして10月には4年ぶりとなるアート台北に参加させていただきました。






<アート台北2023展示風景(10月)>



2017年に初参加の後、続けて2018年と2019年に参加させていただきましたが、その後コロナ禍に突入したため4度目のアート台北は4年ぶりの参加となりました。

本来であれば2020年に4度目を迎える事が出来たはずですが、それが叶わず悔しい思いを経験しました。

しかし、今思い返して考えると当たり前のように迎える事ができた4度目よりもこのような形で迎えた4度目の方が自分自身にとって貴重な経験となったのではないかと感じています。









作品を作りそれを展示する場所が存在する。そしてそこで作品に込めた想いを多くの人に問うことが出来る。

その状況の意味や有り難さを強く感じる展示でした。

沢山の課題を見つけることが出来たので、それにしっかりと対峙し改善していけるような2024年にしたいと思っております。






<展示終了後のブース>

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