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こんな小さなアリでさえも


"an ant"
2017
H 1.4xW 1.2xD 0.7cm
セラミック ミクストメディア

表面のテクスチャーや色彩の変化は
炭化焼き締めという焼成法によるものです。

火と土の化学反応
焼成の変化

陶の魅力は
この変化につきます。

変化とは時間も含めたエネルギーそのものです。
僕は
それはいのちといいかえても良いと思います。
いのちとはやっぱり
この世のすべてであり
同時に
小さな一部なのです。

焼成とは
人為の表象にとっては
火による干渉であり
炎の洗礼にとっては
人による干渉です。
それぞれの立場が共存し対立し矛盾し
ある種のコントロール不能と可能のせめぎあいのそれらすべての均衡点としての静止、可視化。
それが焼成です。
すべてが
すでに、焼成されたこの陶に表現されているのです。

僕はそれら全体を見渡しながらコントロールし
変化そのものを4次元ごとトリミングする。
そういう作品を作りたいです。

土と火によって
こんなにも
力強く
変化しているのです。

こんな小さなアリでさえも。

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次にむけて


こんにちは

岡山の展覧会も無事に終了し

次へ向けて充電中、という感じです。

次、とは次の展覧会、次の作品ということ

展覧会をするとき、作品を作るとき

心がけていることがあります。

それは

次の展覧会、次の作品を

前の展覧会より倍、いい展覧会にする。

今の作品より倍、良い作品にする。

という気持ちを持ち続けるということです。

見てくださった方の中で僕の作品が感動をもって受け入れられたとすれば

その感動は、次の作品へとつながれるでしょう。

だから、前と一緒では、むしろ感動は、落ちた、となるでしょう。

生きてきたとはそういうことだと思うのです。

前と同じように感じ入っていただくには、前の作品より

倍、良くなってないといけないのです。

ということは

前よりすごくいいことになるためには

さらにその倍、よくなっていないと。。。

・・・終わりがありませんが

むしろ終わりがないことに助けられていると感じています。

生きている途中で完成などという終わりが来たら

どうなってしまうか考えると、恐ろしくなってしまいます。

まあ、そんなことはありませんが。。。

まだできる。

まだ変われると思いたいですよね。

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カマキリ
【 小橋順明展 「気配」 ~陶彫と平面作品~ 】
会期:2017年2月22日(水)~28日(火)
会場:岡山天満屋 5階 美術ギャラリー




個展が迫って来て
ヒリヒリ、、、
もうずっとヒリヒリはしているのですが
そんななか
カマキリを組み立てています。
私的にヒリヒリはしていても
作品は別。
落ち着いて、個展があることなど忘れたかのようにゆったりと作らなくては。

先日、香川の大学時代からの友人と久々に会いました。
総香川滞在時間4時間。状況が状況なので
合間を縫ってのおでかけで、おとなしく帰ったのですが

FBなどで僕の近況を見てくれている人も何人かいて
その中の一人が
応援していると言葉で言ってくれました。
20年、冗談ばかり言っていたのに
酔っぱらっていたし、
恥ずかしくてありがとうとは言えなかった気がするのですが
なんだか妙に嬉しかったです。



地元での発表、
展覧会前で作品も形になりかけ、という厳しい場面
少々ナーバスにもなっていたのですが

落ち着いて仕上げにかかれそうです。

ありがとう。










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新年御挨拶+小橋順明展「気配」陶彫と平面作品のご案内。
謹んで新春のお慶びを申し上げます



昨年末、関東に出ていまして。

庭園美術館でボルタンスキーを体験し
すこし足を延ばして
マークロスコ、サイ・トゥオンブリ―、フランク・ステラ
レオナール藤田の大作を実見しました。

どれもずっと見たかったものばかりだから良かったのだけど

今、作品が物語るのは時代と熱気の痕跡

当時と今を繋ぐ時間を軸に四次元的な世界を感じて感動している部分が意外に多い。

質量は保存される法則だし

質量はエネルギーそのものでもあるから

当時、作品を事件にしたその熱とは熱の偏りであるはずだ

今、その熱の偏りは何処にあるべきなのかと

熱の波の高い所に行くことが出来たら

高い波の頂点から最も深い海を知ることが出来るだろうか。

長野のお酒、大雪渓を呑みながら

そんなことを考えていた。

さて

臨済四喝というのがあります。

ある時の一喝は金剛王宝剣の如く
ある時の一喝は踞地金毛の獅子が如く
ある時の一喝は探竿影草の如く
ある時の一喝は一喝の用を成さず

と。


今、その一喝は何の一喝なのか

まさにその喝

喝と言っても

喝と言うとは限りません。

喝とはまた、活、克、括、且つ、割、勝、轄なのです。

と勝手に思う今日この頃。

維摩居士これまた妙好人であり、君子であり

凡人が核心を得るには

核心の周囲を掘り

核心ごと根を傷つけないよう

大きく優しくつかみ取るよりほかないのです。

最後まで核心を見ることはできないのです。

だから作品を作るのは不安でしょうがない。

それでも確かに、在るのだ、この中に。

そして

2017年の展覧会のお知らせです。

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小橋順明展 「気配」 ~陶彫と平面作品~
会期:2017年2月22日(水)~28日(火)
会場:岡山天満屋 5階 美術ギャラリー

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この展覧会には意味がある

それは、ごく私的な意味合いにとどまらないはずだと

思うからこそ

ここに、これを、持ってきた。

つもり

散文失礼いたしました。


小橋順明



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小橋順明作品展示レポ:ロマン美術館企画「内在する触感」その3


山之内町立志賀高原ロマン美術館
2016年夏季企画展
Touch with Skin 内在する触感

会期:2016(平成28)年7月24日(日)- 10月10日(月・祝)   
休館日:木曜日 8月11日(木・祝)、9月22日(木・祝)は開館
開館時間:9:00-17:00 (ただし入館は16:30まで)  
入館料:大人500円、小人300円
出展作家  小橋順明、田淵三菜、疋田義明、西澤伊智朗、
  耳のないマウス(松田朕佳、石射和明、石倉一誠、雨宮澪)

http://www.s-roman.sakura.ne.jp

小橋、搬入のための2泊3日の長野出張をレポートしています。。。

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出張最終日(展覧会初日)

※現在オープンしております。

長野出張最終日はそのままオープニング。
オープニングの内容は
このレポの冒頭にアップしているので
コチラをご参考ください。
↓↓↓↓↓
http://combine-art.com/html/blog/masaaki/post/blog.php?post_id=2101

他の展示の作家さんともお話が出来て、とても充実した密度の高いオープン初日を過ごすことが出来ました。
気持ちとしてはもう一泊したいところでしたが
充実した時間を過ごした分、次へ歩みをすすめなくてはいけません。
昼過ぎには長野を出発、日が変わるころには岡山へ帰宅したのでした。。。。。

今回の投稿では

オープニングのアーティストトークの中でお話しさせていただいたことに
内容を追加して文章としてまとめる感じで、
作品について簡単に解説してみようと思います。



*****

作品を制作するためにはとにかくいろいろ考えます。
哲学、宗教、素材、存在。。。。
でも、展示された作品はすでに人格をそなえ、もはや僕の一部ではありません。
真剣に鑑賞していただいた時、鑑賞者の中に生まれた感覚こそが真実です。
作った僕はこんなことを考えて作った程度に受け止めていただけたらと思います。

展示室3
■「クロアゲハ」「ミヤマクワガタ-飛翔-」「ミヤマカワトンボ-暗-」「ヤマトカブトムシ-飛翔-」「オニヤンマ」「モンシロチョウ」
この素材の複雑な変化は焼成による土から陶への劇的な変化の顕在化そのものです。まさに土から生まれるのです。
昆虫の表面の質感や色をつぶさに観察していただくことで、生命を感じていただきたいという思いです。
それは素材の中の変化、生命というコンセプトとの接触でもあるはずです。



■「untitled」
黒川紀章氏のデザインした背丈を超える展示ケースが4つ。ケースを含めた空間を1つの作品としました。
4つの中には何もないケースもあれば、糸を張っただけのケースもあります。「在る」と、「無い」のギリギリのせめぎ合い。



展示室4
■「あっち側/皮膚/こっち側」
この作品は特に今回の展覧会のために作りました。そのため今回の作品の中で最もこの「場」に特化した展示となっています。
展示室4は展示室3から展示室5へ向かうための通路のような役割も持っており、水族館のように壁にはめ込まれた10個の窓、壁面が展示空間となっています。
この空間を1つの作品としてインスタレーションとしていますが、鑑賞者は、展示室全体を「風景」として鑑賞することはできません。
ここでは、展示窓の中に皮膚、生死、境界線、などをテーマにした、それぞれのオムニバスな「小さな物語の印象」を、通路の導線に従って目に入れていくことで
境界線としての皮膚の触感をとりまく生と死と、これらすべてを抱きしめるような「存在」というものを
印象のコラージュのように、頭の中の風景として感じていただけたらと考えました。
さまざまな名もない生と死の物語の中に「耳なし芳一」「慧可、断臂求法」「創世記」「般若心経」がその印象を部分的に重ねながら混ざっています。。。





*****

いかがでしょうか?
僕以外にも4組の作家が作品を展開しています。
それぞれの持つコンセプトもかなり深度のある哲学を持っていますので
ぜひ、ご高覧いただけましたらと存じます。


お勧めは、美術館から車で5分。渋温泉での一泊と合わせてのご観覧。
一泊二日の避暑旅行。
渋温泉の文化的密度はものすごいです。
長野の食を味わえる飲食店もあります。

長野はとても美術館や博物館施設が多く、他の地域の観光との組み合わせも
文化面で充分に楽しんでいただけると思います。


会期は10月10日まで

以上
4回にわたった事後報告

長野出張:ロマン美術館企画 Touch with skin「内在する触感」:小橋順明作品展示レポートでした。


こばし









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