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うちの子 ~クウちゃん・その3~


前回は、初めてのカメレオンの旅立ち。
そしてレオンとの出会い、成長まで書きました。

では早速続きを…


レオンが来て一年が過ぎ、すっかり大人のカメレオンになった頃
自室の大きな温室には他にも数多くの動物が仲間入りしていました。

温室でしっかり管理し、当時の私は動物飼育のコツのようなものを掴んでると自負していました。


そして、本当に
本当に大変なことをしてしまいました。


高校生活にも慣れ、勉強と部活に忙しい毎日を過ごす内に少しずつ動物の飼育の手を抜くようになっていました。

そして、ある日温室の電源を抜いていることも忘れ2~3日家を空けたのです。
その間の動物達の世話は当時幼かった弟に任せました。



用事を済ませ、家に帰った私を待ち受けていたのは残酷な現実でした。



稼動していない温室内の動物達はほとんど死に絶え、残った数少ない動物も虫の息でした。
そして亡くなった中にレオンも含まれていました。

私が出かけている数日の間に徐々に動物達は亡くなっていき、それを目の当たりにしていた弟は、世話を上手に出来なかった自分の責任だと思い込み泣きながら私に謝ってきました。


もちろん完全に私だけの責任です。


弟をなだめ、動物達を弔い、空っぽになった温室を眺めながら
自分という存在が酷く恐ろしく思えました。

スイッチ一つで目の前の生命をコントロールしていたこと、動物と仲良く暮らしているという勝手な幻想、
全てはただの自己満足なんだと思い知らされました。

動物を‘買う’そして‘飼う’ということがいったいどういう事なのか…

ものすごい自己嫌悪の日々でした。



それから、残った数匹の動物をペットショップに預け、部屋からは温室を除きました。
殺伐とした部屋の中、唯一自分への戒めとして残したものがありました。

それはレオンがかつて暮らしていた水槽です。




それから私は動物を多く描きはじめました。





つづく


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うちの子 ~クウちゃん・その2~
うちの子シリーズの続きです!

前回カメレオンとの出会いから、実際に家に迎え入れるまでを書きました。
早速その続きを書きたいと思います。



中学二年生の私は生まれて初めてのカメレオンとの生活に毎日胸をときめかせていました。

しかし、ある日カメレオンの身体の異変に気づきました。

カメレオンは本来、常に木の枝に掴まっています。それは眠る時も同じで、枝に掴まったまま器用に眠ります。

しかし家のカメレオンは、前足の2本だけで枝からぶら下がっていました。
まさに宙吊りのような格好で眠るカメレオンに不安を覚えた私は、早速翌日カメレオンを購入したペットショップに相談に向かいました。


カメレオンを見た店員は
「後ろ足の2本が死んでいる」と言い、
どうやら枝から落ちてしまい、その拍子に腰の骨を骨折したのではないかと話しました。

全長10cm程の小さなカメレオンにギブスをつけるわけにもいかず、ましてや当時カメレオンを見てもらえるような獣医を知らなかった私はやむを得ずそのまま帰宅しました。



そして次の日カメレオンは亡くなりました。



本当にショックで、
完全なるペットロス症候群に陥ってしまいました。

それから一年間、自室にあるカメレオンのお家はそのまま放置し、
中学三年生ということで受験勉強に忙しい日々を過ごしました。





無事高校に進学し、動物を飼うことがすっかりなくなっていたそんな時、あるキッカケで再びカメレオンにめぐり合うこととなりました。



高校生活にも慣れだした頃、当時交際していた人が
「アルバイトの初任給がたっぷり入るから、ご馳走したげる!」
と言ってくれました。

そして、その席で驚くべきことが起こりました…


なんと、カメレオンをプレゼントされたのです!
カメレオンを亡くしてから酷く落ち込んでいた僕を見かねてのことだった思うのですが、
今考えると信じられません…


とにかく、いきなりの出来事で多少戸惑いもありましたが、カメレオンとまた暮らせると思うと喜びを隠せずにいました。


そうして再び家にカメレオンがやってきました。

その子の名は「レオン」
カメレオンのレオンをとり命名しました。


前回の辛い思い出から、カメレオンに関する情報をネットや書籍で調べまくり、飼育にあらゆる工夫を凝らしていきました。

その甲斐あってレオンはスクスクと大きくなり、わずか一年で体長は10cmから40cm程へと成長し、すっかり大人のカメレオンになりました。


そしてその頃、動物と暮らすことが大好きになっていた私の部屋には様々な種類のトカゲ等が仲間入りしていました。
多い時には約30匹程度はいたと思います。

部屋には温室を設置し、温度等を全て一括して管理していました。


そしてレオンが1歳を越えた頃、私が今でも夢に見る程の大惨事を起こしてしまったのです。



つづく


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うちの子 ~クウちゃん・その1~
以前日記に予告させていただいた、うちの子シリーズです!
記念すべき第一回は…




うちの看板息子のクウちゃんです!
(※長文と動物が苦手な方はご遠慮下さい…)


私の作品に一番高い確率で登場する動物“カメレオン”
その独特の風貌で私の心を魅了してやまない彼ら。

クウちゃんもそんなカメレオンです。

正式な種類はエボシカメレオン(和名)。頭の角が日本の烏帽子に似ていることがその由来です。
英名のVailed chameleonは“ベールを被ったような”という意味です。

故郷はイエメン共和国ですが、クウちゃんは日本国内で生まれた子です(CB)
体長は大人で全長65cm(メスはそれより小型)とカメレオンの中では大型種に入ります。


カメレオンと暮らす上で重要なことの一つに、“水”があります。

カメレオンは本来、木の上に生息しているので水は朝露や雨などを舐めて飲んでいます。
ですから、飼育下でボウルに水を入れて置いていてもそれを水と認識できないんです。

ので、カメレオンに水をあげる場合は霧吹きなどで身体や葉を濡らしてあげるか、ドリッパー式の給水機などで上からポタポタと水滴を葉などに垂らしてあげるようにします。

このように水をいかに上手く与えるかがカメレオンと暮らす上で重要になってきます。
しかしクウちゃんの住んでいるイエメンは年間降水量が少ない地域です。
そこでこのエボシカメレオンは他の種類にはあまり見られない野菜や果物を食べる傾向があります。
そうすることで足らない水分を補います。



<イチゴを貪り食うクウちゃん>




飼育技術や機材が不足していた昔、カメレオンは飼育が難しい爬虫類として有名でした。
切花にたとえられるほどで、1ヶ月生きて御の字、3ヶ月生きれば儲けものとまで言われていたぐらいです。

しかし、その印象を一掃させたのがこのエボシカメレオンです!
カメレオンの中では比較的丈夫な方で、環境にもある程度適応し、場所さえ確保すれば飼育はそれほど難しくなく、寿命も5年から10年は生きてくれます。




さて、ここからはクウちゃんと出会うまでのカメレオン人生を綴りたいと思います。


私は幼少時代からトカゲが好きで、その中でもカメレオンという動物にとても興味がありました。

中学にあがった時に、たまたま知人から譲り受けたワニガメ。
その餌を買いにわざわざ自転車で30分以上かかる兵庫県のペットショップに毎週通っていました。

そのペットショップの名は…


“最後の楽園”


…その名に相応しく、店内には見たことのないような動物がひしめき合っていました。
そこで初めて実物のカメレオンに出会ったのです。



<エボシカメレオンの赤ちゃん>


しかも何かの偶然か、前日に放送していた“世界ウルルン滞在記”にカメレオンが登場して、その姿に魅了されたばかりでした。


中学生の私はその目で初めて見るカメレオンを前にしばらく動けませんでした…
そしてその日、丸一日カメレオンの前に立ちっぱなしでした。

店員さんに飼い方を必死に聞きましたが、相手は中学生。店員さんも本気では相手にしてくれません。
しかもカメレオンは当時今ほど安価ではなく、中学生にとっては高い買い物でした。(今でもある程度します…)

その日の夜、私は全身全霊をかけて母に頼み込みました。

「カメレオンを飼いたいねん!!」

母は絶句…
犬や猫ならともかくカメレオンて…

しかし土下座をする勢いで頼んだ私に母は仕方なく許可。


次の日私は天にも昇る気持ちでペットショップに走りました。

前日は相手にしてくれなかった店員さんも、私が“買う”と分かった途端丁寧に説明してくれました。

帰り道、まるで爆弾でも入っているのかという程慎重にカメレオンを運びました。

こうして中学二年生の夏、私は生まれて初めてのカメレオンを部屋に迎えることが出来たのです。

…幸せの絶頂でした。毎朝カメレオンに向かい何時間でも見とれていました。




しかし、わずか1ヶ月もしないうちに悲劇が訪れることとなりました…


つづく


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うちの子 ~序章~
私の作品で必ず使用されるモチーフ


「動物」


作品を見ていただいた方がよくされる質問で

「やっぱり動物好きなんですか?」
というのがあります。

もちろん大好きです。

人という動物も好きですが、それ以外の動物に対してとても強い憧れを感じます。

人と人を中心として成り立つ今の世の中で、忘れがちなのは彼らの存在。


私は言葉も通じない彼らに、なぜかとてつもない距離を感じます。
疎外感と言ったらいいんでしょうか…。


そんななか、私は彼らを強く美しく描きたいと思っています。


そのために出来れば写真等ではなく本物を間近で感じたい!


ということでよく足を運ぶのが動物園!
でも動物園は意外と動物との距離があるんですよ…。

で、動物園よりも良く行く場所!
それがペットショップです!

一見生々しい形態のお店ではありますが、動物との距離はとてつもなく近くなります。

例えば、イグアナ。

同じイグアナでも動物園の擬ジャングルの中でいるのとペットショップの水槽の中にいるのとでは雰囲気が大きく違います。

動物園の動物達は自然に近い形で元気にしていますが、どこか偽物のような感じがするのに対し、ペットショップの水槽内にいる動物達は生々しいほど生命としての存在感を感じさせます。

そうして私はペットショップに入り浸ります!
長い時は丸一日います…。
ショップの店員とお昼ご飯を一緒に食べたりもします。
ショップの店長にスカウトされたりもします。

そして


おうちに家族が増えます…


はじめは図鑑やインターネットで知った動物を、是非この目で見てみたいという気持ちからペットショップに足を運ぶんですが、

調べているうちに自分自身がその動物に魅入られてしまい、実際におうちにお迎えしたことが多々あります。


今でもおうちを賑わしてくれている彼ら。

そんな彼らが私の絵の中に多数登場します。


これから、うちの子シリーズと題してそんな彼らをちょこっとずつ紹介していきたいと思います!

(動物が嫌いでない)皆様乞うご期待!


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