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4展 テーマ<ゴミ>
本拠地京都のBAMI galleryにおいて現在好評開催中の、


『4展 -Shiten-』


ギャラリー2階で制作する4人の作家が、毎回新たなテーマにより制作した新作1点ずつの計4点により展開される展覧会。

4ヶ月に1度開催される4展ですが今回で4回目となります。
それは同時にギャラリー2階アトリエが始動して1年が経ったということにもなります。

記念すべき1周年である今回のテーマは、


【ゴミ】


です!



私は紙幣と雑誌に擬態したコノハムシを描きました。


<作品紹介文>

生息域の減少により人類が暮らす都市に紛れて生きていかざるを得なくなった架空の生物。

我々に見付からないように生きるためには、我々の身の回りに溢れ尚且つ誰も気に留めないモノに擬態しなければならない。

たとえそれが我々にとって価値のあるモノでも、ゴミであったとしても、彼等にとっては等しく“身の回りに溢れているモノ”に変わりはない。


釜 匠














「擬態‐ヒデムシ‐」
2016/パネルに麻布・アクリル/455×380mm(F8)



今回はこのような架空の生物を描きましたが、描く上で思い描いていた設定があります。
それを基に、“この生物が実際に存在したら”という視点から作品の文章とは別に“生物の紹介文”も展覧会用に特別に作成しました。

読んでいただく事で作品への面白さが更に増すのではないかと思いますので、そちらも掲載させていただきます。


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「ヒデムシ」

コノハムシの一種。
本来は木の葉に巧みに擬態することからその名で呼ばれる昆虫だが、その生息域の減少により都市に移り住み適応した個体群。
体色のバリエーションは多岐に渡り、雑誌や新聞紙、包装紙等の紙状の物に擬態している。
この個体のように紙幣に擬態するものもいるが極めて稀である。
バリエーションは多いが全て一種のコノハムシだと考えられている。
そのため、このヒデムシのようにバリエーション毎に“通称”で呼ばれている。
ヒデムシの名の由来は紙幣に描かれている野口英世から来ている。
餌は紙類全般。
幼体は白く、成長に伴い様々な体色になる。
体色は育った環境によって異なる事から、食べた餌によって変化すると考えられている。
生息場所は都市で、主にゴミ置き場等の紙が散乱している場所でよく見かけられる。
その他にも本屋やコンビニ等にも生息し、このヒデムシのように紙幣に擬態した個体は最近ではショッピングモールでよく見かけられるようになった。
ヒデムシ自体も稀な存在だが、更に一回り大きな「イチハムシ」「フクムシ」と呼ばれる固体も存在する。

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今回は更に、ヒデムシ以外にももう1点作品を制作しました。

この2点を合わせて「擬態」という作品として出品しております。













「擬態‐コミムシ‐」
2016/パネルに麻布・アクリル/410×318mm(F6)


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「コミムシ」

コノハムシの一種。
コミムシは漫画雑誌に擬態した個体群を差し、都市に移り住んだコノハムシの
バリエーションの中で最もよく見かけられる。(それでも滅多に見つけることはできない)
コミムシという名もヒデムシ同様に“通称”でその由来は漫画=コミックから来ている。
コミムシは主に本屋やコンビニ等の雑誌が販売されている場所に生息しているが、中でも最もよく見かけられる場所はゴミ置き場である。
特に古紙回収の日によく現れる。
誤って古紙回収車に積まれてしまうケースが頻発している。
コミムシと一言にいってもその柄や体色は様々で、近頃はカラーの個体も見られるようになり、そちらはアメコミムシと呼ばれている。
体の柄は幼体期からどのように餌を摂取したかで大きく変化する。
特定の雑誌を継続して摂取した場合は体の柄は明瞭になり、
不特定多数の雑誌を摂取した場合は柄が不明瞭になる。
この個体のように体の柄が明瞭な個体はとても珍しく“一冊喰い”と呼ばれ、
その標本は高値で取引される。

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今回の作品ですがSNS等でご紹介させていただいた後、あまりにも


「これ立体作品?」

「標本に直接描いてるの?」


等の“これは絵なの?”というお声が多いです。

私の作品は“箱”を意識した作品が多いため、そのようなお声はいつも多いのですが、今回は特に顕著です。













安心してください。描いてますよ。





というわけで、このように昆虫本体も標本箱も全て描いています。



今回の作品は私たちの身の回りにありふれている“モノ”に擬態した生物を描きました。

コノハムシが木の葉に擬態するのは、彼らが住む環境に一番ありふれている“モノ”だからです。

私たち人類が住む都市という環境で一番ありふれている“モノ”とは一体何でしょうか。

「ヒデムシ」「コミムシ」を見て、是非それを考えてみて下さい。








↓以下展覧会詳細です↓

■『4展 -Shiten-』 テーマ【ごみ】
at BAMI gallery
2016.04.10 (sun) - 2016.04.22 (fri)
OPEN  : 12:00-18:00
期間中無休

■お問い合わせ
BAMI gallery
http://combine-art.com/html/gallery/ga_access.php
〒600-8824
京都市下京区二人司町21番地
TEL.075-754-8154 FAX.075-754-8154
www.combine-art.com
office@combine-art.com

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個展『箱庭』




岡山天満屋さんにて開催させていただきました、約二年ぶりとなる個展

「箱庭」

9日に搬出を終え、無事会期終了となりました。


御越し下さった方々は勿論、

応援して下さった方々や、

岡山、高松の天満屋の方々、

そしてBAMI galleryの上山さんや福田さん、

家族の皆様、

数えあげればきりがありません。


この度は誠にありがとうございました。







おかげさまで大変好評いただき、本当に素晴らしい1週間となりました。

7年前の高松天満屋さんでの初個展からついに凱旋が叶い、
さらに良い形で締め括る事が出来た事をとても誇りに思います。







今回の個展では本当に沢山の方々のお力添えを実感することが出来ました。

人としての非力さを痛感したおかげで、作家として出来る限られた役割を精一杯やりきることの大切さを改めて感じました。

とても実りある1週間を過ごす事が出来ました。

皆様、本当にありがとうございました。







次回は8月に松坂屋名古屋本店さんにて個展を開催させていただく予定です。

今回の個展で得たものを存分に発揮できるよう、今から締め切り目前という気持ちで取り組んでいきたいと思います!








帰宅後はすぐに爆睡し、

翌朝起床してからは前日までとのギャップにどこか呆然としていたのですが、

そうこうしていると宅配便が届きました。

中身は以前モチーフ用にと入手したゾウカブトの標本でした。


「休んでる暇なんてないぞ」


とカブトムシに言われた気がしました。




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謹賀新年


『さるかに休戦』(色紙にアクリル絵の具)


皆様、新年明けましておめでとうございます。


昨年は大変お世話になりました。
本年もより一層猛進して参りたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします!


京都は朝から良い天気に恵まれ、綺麗な初日の出を拝む事が出来ました。
制作をしようとアトリエに入ると日の光が射し込み、今描いている新作が照らされていました。




『新作の部分(未完)』


元日の朝日に照らされたこの作品のおかげで、なんだか新年から目出度い気分です。
私もこの作品のように力強く飛翔する1年にしたいと思います。
良い仕事初めになりました。

初夢で目出度いのは“一富士二鷹三茄子”と言いますので、
皆様の1年の門出に僅かでもお役に立てれば幸いです。

(すみません…実は作品の鳥は鷹(たか)ではなく鷲(わし)です…)



さて、

2016年になりました!
来月はついに天満屋岡山本店さんでの個展を予定しております。
(詳細はまた後日ご紹介させていただきます)

上の作品を含め、沢山(?)の新作を皆様に御覧いただけるよう新年からスパートをかけていきたいと思います!




それでは、皆様素晴らしい新年をお過ごしくださいませ。





2016年1月1日

釜 匠

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2015年の締め括り
2015年も残り僅かとなりました。



今年のハイライトとしては、
やはり何と言ってもBAMIギャラリーの移転リニューアルです。
2009年に初個展させていただいて以来ずっと共に歩んできた場所が移転するというのは、やはり感慨深いものがありました。







思い返せば昨年の今頃は極寒の中の改装工事の最中でした…
丸1年が経ちギャラリーが冬の寒さを迎えると鮮明に思い出します。







移転と聞くとただ場所が変わっただけと受け取られますが、個人的にはそれ以上に大きな“中身”の変化を感じる1年でした。







それまで無造作に積み重なって曖昧になっていた今までの足跡が移転を機に綺麗に整頓され、


今まで出来た事

出来なかった事


がはっきりと確認できました。
また、それが明確になったことにより、


これからやれる事

しなければいけない事


がはっきりと確認できました。

その結果、今までにない密度の充実した1年になりました。


私個人としては勿論ですが、

同様にギャラリーの作家全員にも“変革の年”になったに違いありません。
それは客観的にも見て取れる程でした。









いよいよ来週に迫りましたが、
京阪百貨店守口店にて開催されていただく、


『コンポラサーカス』


この展覧会はBAMIギャラリーの作家全員によるグループ展です。
ギャラリーが移転してから1年の間に各作家に起きた変革が沢山詰まった展覧会になります。

手前味噌ですが、
今まで何度かグループ展をさせていただいた私から見ても、この濃度は関西ではなかなか見られないのではないかと自負しています。


まさにギャラリー移転1年を締めくくるに相応しい展覧会ですので、皆様是非御高覧下さいませ。









さらに、同時期…
というかこちらはすでに開催しておりますが、ギャラリーの恒例となりました企画展

『4展』







今回のテーマは猿です。
私は色紙2枚を屏風に見立てた作品を出品しています。
箔足も実際の金ではなく描いて表現しました。

その名も!







『風猿雷猿図色紙』
(色紙にアクリル絵具/32.5×52×16cm)


そうです。
今をときめく琳派です。
私自身、風神雷神図は大好きです。
しかし、私が描いたところで模倣にしかなりません。

いわゆる“猿真似”です。



どちらの展覧会も同時期に関西で開催されます。

御誘い合わせの上、皆様是非御高覧下さいませ!


※ギャラリークローズの日がありますので、ご注意下さい。










以下詳細です↓
(ホームページのスケジュール欄にも掲載しております。)


■「コンポラサーカス」京都若手現代美術作家展
2015年12月23日~31日
最終日は午後5時まで
京阪百貨店 守口店6階 美術画廊
〒570-8558大阪府守口市河原町8番3号
営業時間10:00~20:00
http://www.keihan-dept.co.jp/moriguchi/shopguide/


■『4展-Shiten-』 テーマ【さる】
2015年12月18日 ~ 30日
BAMI gallery
営業時間12:00~18:00
CLOSE:12/22.23.26.27



■お問い合わせ
COMBINE / BAMI gallery
〒600-8824
京都市下京区二人司町21番地
TEL.075-754-8154 FAX.075-754-8154
www.combine-art.com
office@combine-art.com

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リミッター






2月の岡山天満屋さんでの個展まで残すところ3ヶ月と少しです。



有り難い事に、
最近は家から出るのが億劫になる程制作に没頭することが出来ています。

娘の運動会も、どこか上の空(失礼)で作品案に想いを馳せていたりします。

もともと作品案は多い方だと思うのですが、最近は以前とは比べ物にならない程生まれます。

自分の遅い筆をこれ程煩わしく感じた事はないです…








さて、

珍しく好調ぶりをわざわざ自分で話したのですが、
それには理由があります。


最近好調だと気付いたというのは言い換えれば、最近まで好調では無かったとも言えます。

それは“好調だと自覚することでようやく自身の不調を自覚できた”という事です。


不調と言いましても、上手く描けなかったといった類いのものではありません。

自分に対して自分で“ある種の制御”をかけていたと表現した方がいいのかも知れません。








話は前回の個展後まで遡ります。

2014年の5月頃です。



次回の個展やこれからの展開を打ち合わせした際に、

「好き勝手に、自由奔放に描いて欲しい」

という趣向の話が出ました。



正直最初はこの言葉の真意が掴めませんでした。

「?」

「今まで散々好き勝手にやってきたのになぁ」

というのが最初の私の反応でした。



しかしこの言葉は私の中に小さな“しこり”として残りました。

それから制作している最中に何度もこの言葉が浮かんでは消えました。



年を跨ぎ2015年になりギャラリーがリニューアルし、
私は「女子高生物」「箱家」と2度個展をさせていただきました。

この頃には私の中にあった“しこり”は無視できない大きさになっていました。

「あの言葉の真意は何だったんだろう」

と思い始めていた頃に打ち合わせで再度、

「好き勝手に、自由奔放に」

更に、

「オモチャ箱をひっくり返したように」

との話が出ました。



それから私は自宅の画室に籠り、制作に没頭しながらずっと考え続けました。

睡眠時間は減り、何に悩んでいるのかわからない悩みに頭を悩ませ続けました。



そして、今までの自分の作品達を客観的に見つめました。

初めての個展で学生時代から描きためた作品を一堂に展示した後、


“お弁当”

“箱舟”

“化石”

“金魚”

“お菓子”

“女子高生”

“箱家”


と今まで個展を開催してきた作品達を見て、ようやくある事に気付きました。




それはその個展毎の“括り(くくり)”の強さです。




個展をする際に会場を一つのコンセプト等で括って展示するというのは重要な事です。


私は大変有り難い事に、初めての個展で過去作と新作がほとんど手元から離れてくれたため、
2度目の個展「ランチボックス」からオール新作で挑ませていただける状況になりました。


手元に何もない状態で1から作っていくという漠然とした状況を打破するために私はこの“括り”に頼り委ねる事を選択しました。

まず“括り”を決め、その“括りの中で描きたい作品を選んだり考える”といった状態です。

その後も同じ状況が続き、個展の度に新たな“括り”を設定していきました。



繰り返しますがこの“括り”というのは重要だと思います。

個展を展開していく上では多かれ少なかれ誰でも考える問題だと思います。

しかしそれはあくまでサポート的な役割のものであって、作品達の根幹にまで侵食させてはいけません。



作品を活かすために添わせていたはずの“括り”は、私の中でいつのまにか先行してしまい、
作品を無理矢理詰め込む“枷”のような存在になっていきました。



作家によってはこの“括り”に頼る事で成立する場合もありますが、私にとっては違うのではないかとようやく気付いきはじめました。



まだ“括り”など何もなかった初めての個展。

学生時代から描いてきた作品を“ただ列べただけ”のような個展。

しかし、思い返せばあの展示にはきちんと芯があったのではないかと考えはじめました。

むしろ今となっては私の芯が一番色濃く表れていた気さえします。


あの個展の後、

私は“括り”を作って各要素を掘り下げる事で本流をより強固な物にしようと考えていました。

それがいつのまにか本流を無視したものになっていたのかも知れません。

当たり前のような話ですが、その事に最近ようやく気付きました。



「好き勝手に。自由奔放に。」



それは、
理解していたつもりの言葉の真意が理解出来た瞬間でした。



括りに拘らずに“描きたいものから描く”

そんな至極当たり前の事に立ち返った途端、

栓が抜けたように作品案が溢れ出てきました。



ようやくリミッターが外れたので、

あとは時間との戦いです。



正直余裕は無いですが、今はただ楽しいです。



この“楽しい”が溢れるような個展にしたいです。







勿論、今までも充分楽しんで制作してきていました。

しかし、今回自身を省みる事によって、より楽しく描き、見る人にもより楽しんでもらえるような作品を描いていけるようなステップアップに繋がった気がします。

天満屋さんでの個展前だからこそ、このような機会が訪れたのではないかと思います。




まるで

“オモチャ箱をひっくり返したような”

個展になるようにと考えていますので、

皆様どうぞ楽しみにしていて下さい。




少しだけ書くつもりが、あれよあれよと気付けば長くなってしまいました…

お付き合い有り難うございました。

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