フェルメール模写-トレース~第一層目-
January 15,2021
続きです。前回→フェルメール模写する作品決定。
では実際に描いていきます。
まず元になる画像を拡大コピーしてキャンバスに貼り付け、様子を見ています。複数枚に及ぶので、切ったり貼ったりチリ合わせが大変。
画像はインターネット上にかなり高精細なものがあるのでそれを使用していますが、実物を見たときの印象に近づけるのが第一優先です。
次に拡大した画像のコピーを繋げます。
この後トレースしキャンバスに写します。これだけでもまあまあ大変。もっと文明の利器に頼ればいいのでしょうが…。
トレース終了。
画像は見えづらいので加工してます。
あまり細部まで描きこまず(どうせ後で消えてしまうので)大まかな配置を画面上に記す程度にしておきます。
今回フェルメールを模写するにあたって有色下地やグリザイユから始めませんでした。
理由としては3つあります。
①.この後、絵の具層をどんどん重ねていくため。
②.常に全体の印象を確認しながら進めたいので作業効率を優先し
た。
③.①の過程で結果として同じような作業を繰り返すためです。
ここから下層描きへ移ります。
バーントアンバーやバーントシェンナなど茶系の絵の具で明暗や陰影を確認しながら塗り進めます。白はまだ使いません。溶き油は揮発性の油がほとんどです。この辺りは勢いが大事です。
全体の明暗のバランスにのみ注意します。
茶系はこの2色がお気に入りです。
ホルベインのヴェルネとムッシーニです。どちらも顔料の粒子が細かく発色も良いです。地味な色ではあるからこそ良いものを使った方が良いです。他に良いのがあれば乗り換えるかもしれませんが…。
ざっくりと、全体に色をのせ調子をみる。この段階では陰影重視で。細部は全然描きこんでいません。キャンバスの白地を生かした濃淡で描いていきます。カマイユってところでしょうか。
第一層目が終了です。料理でいうと下処理が終わったところです。
手前の人物と奥の女性との距離を出したかったため加筆。左から差し込む光や空間が出てきたように思う。茶系のみで描いているのは黒を使ってしまうとついつい暗くし過ぎてしまうため最暗部に対して限界をわざと作っています。
最後に私の普段使ってる絵具たちを紹介して終わります。
これでほぼ全ての色をつくります。
絵の具はたくさんの色が売っていますが、正直使いません。やたらと色を揃えても使いこなせ無ければ意味がありません。色数揃えるくらいならよく使う絵具の質を上げたほうがマシです。
緑が無いですが、混ぜたらできますので不用です。
次回は2層目、白も使いながらモデリングに入ります。
フェルメール模写する作品決定。
January 3,2021
明けましておめでとうございます。
いよいよ2021年が始まりました。
年末にいろいろと整理していましたら、昨年は36点の作品を描いておりました。最多の制作数になります。当サイトの私のページのworks
より確認することができますので是非見て見てください。
昨年はコロナの関係で、私自身いろんなもの今までの在り方の見直しを迫られる機会が多くありました。今年はより多くの方に私自身のことや自身のことや、作品を知ってもらう機会を増やしていこうと考えております。ブログの更新頻度も挙げていきたいと思いますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、前回投稿からからずいぶん期間が空いてしまいましたが、フェルメール模写の続きを書いていきます。
まず、今回模写する作品ですが、こちらのフェルメールのマスターピースである「絵画芸術」に決めました。フェルメールの「絵画芸術」に関するあれこれを書くと長くなるので気になる人はグーグル先生にて調べてください。
絵画芸術 (フェルメールの絵画)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
私がこの作品を選んだ最大の理由は、この目で実際に見たことがある作品であることです。フェルメールの他の作品も見たことがありますが、(よく日本で展覧会やってますので)この絵ほど記憶や印象に残っていないのでこれにしました。確か神戸の美術館で見た記憶があります。色んな作品が展示してありましたが、この作品だけ画中に吸い込まれるような感覚に陥ったのでよく覚えています。何とかその時受けた印象や感覚が再現できるように努力するつもりです。
フェルメールの模写で触れておかざるを得ない作品が一つあります。
本当にフェルメールの完全な技法の再現が見たければこちらの映画作品をお勧めします。
フェルメールの謎 ~ティムの名画再現プロジェクト~ (字幕版)
素人が途方もない時間をかけフェルメールの絵画技法を再現しようとした実験です。
私も観ましたがこの映画に近い方法を使っていると思います。かなり核心に迫っていると思うので興味あれば一度鑑賞されることをお勧めします。
しかし、私が行う今回の模写では描画材料や技法上の制約などもあるので完全に彼の製作工程の一つ一つを追うようなやり方はしません。
現在の作品の表面からわかることを手掛かりに、私なりのやり方も加えつつ、現在手軽に入手できる道具を使いどうすれば彼らのような絵画作品を描くことができるのか、また再現することができるのか、といったようなことを試行錯誤しながら取り組んでいきます。
この記録が西洋の古典画家のような作品を描こうと一人で勉強していた大学時代の自分のような人たち、これから絵画や油絵をはじめたいと考えている人たちの参考となれば幸いです。
次回はいよいよ実際に作品の模写へと入っていきま
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