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九龍城砦再び…
以前このブログにも書き、

今回の個展PVにて、

少し触れている九龍城砦について

もう少し突っ込んで書いてみたい。

九龍城砦についての詳細は前回書いたので、

そちらを参照していただきたい。


前回私は九龍城砦について、

無法状態という特殊状況下で、

人間がその欲望の赴くままに

作り上げた建造物として非常に価値があると書いた。



普段我々が縛られている、

様々な基準や法律を一切無視し

(飛行場の関係で高さの制限はあったようだ)

作り上げられた九龍城砦の外観は異様としか言いようがない。

近代建築に見られるような効率性、

機能性を重視した構造もなければ、

最終的なヴィジョンがあり、

意図的に計算されて作られた痕跡も見られない。

勿論、構造計算や、耐震計算なんてしていない。

あの姉歯建築士もびっくりである。

しかし、隣り合う建築物との距離をぎりぎりまで短くし、

互いに寄り添い支えあうように建てることで、

強度をますなど工夫はしていたようである。



また、治安が悪くあらゆる犯罪者、

悪の巣窟的なイメージももたれている。

実際そのような時期もあったようだが、

そこの住む住人達が協力し合い自警団を作って

治安を維持しており、

香港の他の地域と比較しても、そんなに治安が

悪いわけではなかったようだ。



九龍城砦に住む住人達が

刹那的な欲望や衝動にまかせ

増改築を繰り返した、

つぎはぎだらけの巨大なコンクリートビル群。


そこに住む住人たちの様子や、

彼らが作り上げた構造物を見ると、

私はそこに原始的、本能的な一生命体としての人間の本来の姿、

普段我々が法律や常識といったもので抑制し、

覆い隠している人間の正体が見られるような気がするのである。

つまり、九龍城砦には、何にも縛られない、

まるで、野生に住む生き物のような

ありのままの人の姿や、ふるまいが存在していた

といえるだろう。

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