November 6,2017
"飛翔するヤマトカブトムシ 2017"
小橋順明
2017
陶・ミクストメディア
幅 151mm 奥行 151mm 高さ 306 mm(ケースのサイズ)
5月ごろからコツコツと断続的にではありますが制作と進めてきた新作がやっと完成しました。
こんなに時間をかけたのは初めてで、苦しい作り方でしたが、断続的に作業を進めて行くことで、心は熱く、頭は冷たく、意義ある作品になったと思っています。
特に観察に力を入れました。礒江毅が(カタチを簡単に決めつけるな)というようなことを言っていたそうだというのをテレビで見て、まさにその通りだと思いました。私たちは相当に現実を雑に見ている。脳は実際にはその何倍もの情報を受け取っているのに。
制作に取り掛かったころのフェイスブックにこんなことを書いてあるのを見つけました。
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2017.6.9
一昨年もらったカブトムシの死んだの。
これを参考にカブトムシ制作中です。
昆虫の造形はあまりに複雑でとても理解できそうにない。
触っているうちにバラバラになってしまった。
バラバラになっているのを見ていると
外骨格というだけあってこれはやっぱり骨でもあり、皮膚でもあるのか。と当たり前のことにじわじわ来ています。
舐めるようにただ表面だけを追いかけるのも大事な気がしています。
そうなるとむしろ写実は自分が消えるという点で素材とか対象と作者の関係の中で自動筆記とかに近いような気もしてきた。消えない無意識の自分。
それはもう自分とは呼ばないと思いますが
自分は制作全体を操作する自分の中に入れていく。
消える自分や消えない自分と素材や対象の関係を操作して
これを俯瞰する自分に、美術の意味があるとして
それが共有されたり、独り歩きしたりするような核をつくることが仕事なのだろうと考えてみるも
実際どうしていいものか。
ただ手を動かす自分にはこれまで何度も助けられて生活をつないできたので
実際にはそれだけがある。手が動くうちは爪に火でもとにかく生活できるという安心感はあります。
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いっぱい見て、いっぱい手を動かして
それだけが、僕を生かしてくれている。