May 25,2017
「童蛙(ワラベガエル)」※1
和名 ワラベガエル (ヒキガエル科)
英名 Japanese child toad
採集地 京都市右京区 嵐山 渡月橋
採集環境 台風通過後 ゴミの散乱した渡月橋の上
採集日 2013年9月16日
採集者 釜 匠
備考 頭胴長約15cm 全長約30cm
2013年9月に訪れた台風18号により京都桂川が増水し濁流が嵐山を襲った。
その後水位が下がり濁流に飲み込まれていた渡月橋は無事その姿を現したが、
橋の上には上流から流されてきた沢山の流木や瓦礫が残されたままだった。
当時、避難指示区域に住んでいた私は川の様子を見るために早朝の嵐山を訪れていた。
そして渡月橋の上で"それ"を見つけた。
一見するとただのヒキガエルに見えたが、傍に寄るとすぐにその特異な姿に気付いた。
私は思わず"それ"を抱えて家へと走った。
私は"それ"を「童蛙(ワラベガエル)」と名付け飼育する事にした。
その後3年半にも及ぶ生体の飼育と現地調査の末、このカエルの生態が少しずつ明らかになってきた。
この種を発見した嵐山周辺を捜索したところ、生体の発見こそ叶わなかったものの本種が張り付いたと思われる特徴的な痕跡が保津川下りに使用される船の船体と嵐山を南下した松尾橋の橋脚から多数見つかった。
おそらくこの種は流れの緩やかな嵐山周辺で繁殖を行うため保津川下りの船に張り付いて亀岡から嵐山まで南下してきていると思われる。
更に、近年桂川近辺では河原でのバーベキューによるゴミ問題が取り沙汰されており、実際に河原には多数の食べ残しや包装のゴミが散乱している。
その量は凄まじくその影響で周辺にはカラスが大量に発生している。
ゴミが多数放置される松尾橋の橋脚周辺にも童蛙の痕跡が多数見られることから、童蛙もこの食べ残しを目当てに松尾橋まで南下するようになったと考えられる。
流れが緩やかで水量の豊富な嵐山と、食料が豊富な松尾橋周辺。
特に後者の人為的な食料の増加が本種に与えた影響は大きい。
観光地間の移動による事故の増加、カラスに捕食されることによる個体数の激減と本種を取り巻く環境は悪化の一途を辿っている。
「童蛙の水槽」※2
この度、京都BAMIギャラリーで開催される企画展示『発見?京都!未確認生物UMA展』におきまして、
3年半に及ぶ生体の飼育によって明らかになってきた童蛙の生態を発表させていただきます。
更に、実際に飼育している個体を水槽ごとギャラリー内に展示致します。
この貴重な生物を是非その目でご覧になって下さい。
更に、この企画展では7人の作家による未確認生物の報告が展示されます。
京都に生息する(?)UMAを是非その目で目撃して下さい。
↓展示詳細↓
■『発見?京都!未確認生物UMA展』
2017/06/08-06/19
OPEN 12:00-18:00
期間中無休
■会場
BAMI gallery
〒600-8824
京都市下京区二人司町21番地
TEL 075-754-8154
office@combine-art.com
■出品者
釜匠 佐野曉 公庄直樹 松本央 遠藤良太郎 太田夏紀 岡部賢亮
※掲載作品情報
1、「童蛙」 2017/273*220mm(F3)/木パネルに麻布・アクリル絵具
2、「童蛙の水槽」 2017/318*410mm(F6)/木パネルに綿布・アクリル絵具