June 19,2020
先日BAMI galleryのオンラインストアがオープンし、
アマビエの版画を3種類出品させていただいております。
▼画像クリックでページが開きます
さて、前回のブログではアマビエ版画制作についての経緯などを書きましたが、
今回は各作品について創作のプロセスやコンセプトを書いていきたいと思います。
**********
「アマビエ」 メディウム剥がし刷り版画 版サイズ233×147mm
まずはアマビエのもつ特徴(嘴がある、髪が長い、鱗がある、三本足、など)を頼りに色々とアイディアを出します。
伝言ゲーム的に単純化されたり、あるいは誇張されたりするのが
アマビエの面白さだよなぁ...なんて考えたりしながら自分なりのアマビエ像を探ります。
「アマビエ」の原型です。
アマビエは色々な生物の組み合わさった"キメラ"のようで、
「髪が長い」=リュウグウノツカイ?
から想像を膨らませてアマビエとして成立するように描きました。
「三本足」についてはアマビエを発見した人が角度によって三本足に見えた可能性もあるな、とか、
そもそも三本足の動物というのは大変縁起の良い場合が多く、
有名なものでは日本サッカー協会のロゴである八咫烏(やたがらす)がいたり、
中国の三本足の蛙の妖怪、青蛙神(せいあじん)がいたりします。
奇しくも青蛙神は天災を予知する力をもつ...とされていたり。
そういった古来より伝わる伝承がアマビエにも自然と組み込まれたのではないか、、
などと推測して描いていました。
イメージが固まったのでこれを清書します。
もう版画と変わらない線になりました。
この清書を版に反転させてトレースし、製版していきます。
作業工程はYouTubeの方で見ることができるので、よろしければご覧ください。
**********
「ひょっこり」 メディウム剥がし刷り版画 版サイズ233×147mm
一枚目の「アマビエ」を考えている時に出てきたものすごく単純化したアマビエを使いつつ何かできないかと考えました。
単純化して可愛らしくなったので、それに合った状況なり仕草なりを考えていきます。
ぱっと思いついたのは何かの物陰から隠れてひょっこり顔を出しているイメージ。
でも一体どこから顔を覗かせているんだ...。
少し初心に立ち返って考えてみました。
なぜ江戸時代から時を超えて、こんなにもアマビエが流行り出したのか。
やはりコロナウイルスという疫病に対して、早く終息してほしいという祈り、祈願の意味合いが強くあると思います。
祈願か...。祈願...。奇岩?
日本にはゲン担ぎと言霊の文化があります。
ご縁がありますようにとお賽銭に5円を入れたり、
受験に勝つためにカツ丼を食べたり...。
ダジャレかよ...と思うかもしれませんが、祈願の意味を込めて奇岩を取り入れてみることにしました。
余談ですが、奇岩も色々あり、今回描いたのは太湖石という石です。
中国蘇州府の太湖から産出される石灰岩で、
湖の波や風雨の浸食を受けて石の表面に多数のくぼみや穴があるのが特徴です。
道教ではその穴が別世界への入口であると考えられているという事もあり、
人間界とは別世界の妖怪アマビエがその穴から見えていたら面白いなと考えました。
奇岩に隠れたアマビエのイメージを固めていきます。
アマビエが見えすぎていたので実際の版ではアマビエの姿はもう少し左寄りにして隠しています。
この原画を版にして刷ったのが「ひょっこり」になります。
**********
「海の底から」 メディウム剥がし刷り版画 版サイズ233×147mm
こちらもデフォルメしたアマビエの姿です。
水面に現れたアマビエの姿が伝承にあるアマビエ像なのかもしれませんが、
アマビエが生きているとして、ずっと水面にいるわけではないだろうと考えてラフを描きました。
(上二つのラフはまだ水面で考えていますね...)
海底からぷくぷくと泡を出して遊んでいるようなイメージが思い浮かびました。
横構図のラフ案でしたが泡が上に向かって登っていく様子が表現しづらいので縦構図にし、
背景に魚のシルエットを描いて空間が広がるようにして清書していきます。
この作品を描いている時にたまたまかけていたラジオから、
ディズニーのリトルマーメイドの曲「Under the sea」が流れてきまして...
本当にたまたまでしたが、もうタイトルはこれしかないと思い「海の底から」にしました。
**********
如何でしたでしょうか。
創作プロセスを見て少しでも楽しんでもらえていたら幸いです。
2020年6月19日現在、日本では一時は大分おさまったかと思いきやまたじわじわと感染者が増えてきています。
皆さんも、そして自分も気をつけつつ...
早くこの状況が収束することを祈願して。。
アマビエの版画を3種類出品させていただいております。
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さて、前回のブログではアマビエ版画制作についての経緯などを書きましたが、
今回は各作品について創作のプロセスやコンセプトを書いていきたいと思います。
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「アマビエ」について
「アマビエ」 メディウム剥がし刷り版画 版サイズ233×147mm
まずはアマビエのもつ特徴(嘴がある、髪が長い、鱗がある、三本足、など)を頼りに色々とアイディアを出します。
伝言ゲーム的に単純化されたり、あるいは誇張されたりするのが
アマビエの面白さだよなぁ...なんて考えたりしながら自分なりのアマビエ像を探ります。
「アマビエ」の原型です。
アマビエは色々な生物の組み合わさった"キメラ"のようで、
「髪が長い」=リュウグウノツカイ?
から想像を膨らませてアマビエとして成立するように描きました。
「三本足」についてはアマビエを発見した人が角度によって三本足に見えた可能性もあるな、とか、
そもそも三本足の動物というのは大変縁起の良い場合が多く、
有名なものでは日本サッカー協会のロゴである八咫烏(やたがらす)がいたり、
中国の三本足の蛙の妖怪、青蛙神(せいあじん)がいたりします。
奇しくも青蛙神は天災を予知する力をもつ...とされていたり。
そういった古来より伝わる伝承がアマビエにも自然と組み込まれたのではないか、、
などと推測して描いていました。
イメージが固まったのでこれを清書します。
もう版画と変わらない線になりました。
この清書を版に反転させてトレースし、製版していきます。
作業工程はYouTubeの方で見ることができるので、よろしければご覧ください。
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「ひょっこり」について
「ひょっこり」 メディウム剥がし刷り版画 版サイズ233×147mm
一枚目の「アマビエ」を考えている時に出てきたものすごく単純化したアマビエを使いつつ何かできないかと考えました。
単純化して可愛らしくなったので、それに合った状況なり仕草なりを考えていきます。
ぱっと思いついたのは何かの物陰から隠れてひょっこり顔を出しているイメージ。
でも一体どこから顔を覗かせているんだ...。
少し初心に立ち返って考えてみました。
なぜ江戸時代から時を超えて、こんなにもアマビエが流行り出したのか。
やはりコロナウイルスという疫病に対して、早く終息してほしいという祈り、祈願の意味合いが強くあると思います。
祈願か...。祈願...。奇岩?
日本にはゲン担ぎと言霊の文化があります。
ご縁がありますようにとお賽銭に5円を入れたり、
受験に勝つためにカツ丼を食べたり...。
ダジャレかよ...と思うかもしれませんが、祈願の意味を込めて奇岩を取り入れてみることにしました。
余談ですが、奇岩も色々あり、今回描いたのは太湖石という石です。
中国蘇州府の太湖から産出される石灰岩で、
湖の波や風雨の浸食を受けて石の表面に多数のくぼみや穴があるのが特徴です。
道教ではその穴が別世界への入口であると考えられているという事もあり、
人間界とは別世界の妖怪アマビエがその穴から見えていたら面白いなと考えました。
奇岩に隠れたアマビエのイメージを固めていきます。
アマビエが見えすぎていたので実際の版ではアマビエの姿はもう少し左寄りにして隠しています。
この原画を版にして刷ったのが「ひょっこり」になります。
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「海の底から」について
「海の底から」 メディウム剥がし刷り版画 版サイズ233×147mm
こちらもデフォルメしたアマビエの姿です。
水面に現れたアマビエの姿が伝承にあるアマビエ像なのかもしれませんが、
アマビエが生きているとして、ずっと水面にいるわけではないだろうと考えてラフを描きました。
(上二つのラフはまだ水面で考えていますね...)
海底からぷくぷくと泡を出して遊んでいるようなイメージが思い浮かびました。
横構図のラフ案でしたが泡が上に向かって登っていく様子が表現しづらいので縦構図にし、
背景に魚のシルエットを描いて空間が広がるようにして清書していきます。
この作品を描いている時にたまたまかけていたラジオから、
ディズニーのリトルマーメイドの曲「Under the sea」が流れてきまして...
本当にたまたまでしたが、もうタイトルはこれしかないと思い「海の底から」にしました。
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如何でしたでしょうか。
創作プロセスを見て少しでも楽しんでもらえていたら幸いです。
2020年6月19日現在、日本では一時は大分おさまったかと思いきやまたじわじわと感染者が増えてきています。
皆さんも、そして自分も気をつけつつ...
早くこの状況が収束することを祈願して。。