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アイデンティティ
見えるって一体何なのだろう。
自分の根底にあるその問いをこれまで様々な手法で表現してきました。

車を正面から見たら顔のように見える。
車のライトに水滴がついて涙のように見える。
水滴越しにゆがんだ世界が見える。
結露を通して手前と奥の世界が同時に見える。
水面の奥に歪んだ情報が見える。
などなど。

しかし以前のブログ記事でも書いているように、
2021年のドローイング企画の際、本当に何を描いていいのか分からなくなりました。
ドローイング(素描)は、本制作へと繋がる純粋で重要な要素を予感させるものだと思います。
それが一向に出てこない。

悩んでいても仕方ないので、白紙の紙に自由にランダムな線を引き、
そこから見えてくる形を追って描いてみると
そこに表出してきたものは誰かがデザインした製品でもなく、
どこかに存在する風景でもなく、紛れもなく自分の内側から出てきた世界でした。

そしてそれは自分の根底にある「見える」事に対する問いからも外れてはいませんでした。

そこから自分の原点に立ち戻り、試行錯誤ののち、
自分の中にあるものをありのまま恥じる事なく表現していこうと考えるようになりました。
幼少期からF1やSDガンダムを描くのが好きで、中高生でスタジオジブリ作品に憧れてはじめて絵の道を志すようになり、大学で友人から紹介された数々のサブカルチャー作品に出会い…
そういった自分を作り上げてきた中身をミックスして現在の表現に至っています。

抽象的な言い回しになりますが、自分の中の地盤調査で右往左往していたのが、ようやく実際に採掘を始める事ができているという感覚です。

まだまだ始めたばかりで、レアメタルがでるのか、宝石がでるのか、石油がでるのか…
どのようなものを掘り当てるか分かりませんが、自分自身ワクワクしながら作品制作をしているので、
作品を観てくださる方とともに楽しんでいけたらと思います。

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