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アマビエ版画作品について①
先日BAMI galleryのオンラインストアがオープンし、
アマビエの版画を3種類出品させていただいております。

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さて、今回のブログではアマビエ版画作品について、
何故アマビエ作品を創ろうと思ったのかという経緯や
版画に挑戦してみた所感をお伝えしていきたいと思います。

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2020年に入り、1月・2月の京都日本画新展およびBAMI galleryでの個展の頃から
段々と新型コロナウイルスのことでざわざわしはじめ、

遂に4月には緊急事態宣言が全国に発令され不要不急の外出は自粛を余儀なくされました。


そんな鬱屈した状況の中でSNS上に浮上した一匹の妖怪。

「アマビエ」

もう既にご存じの方も多いと思いますが、
江戸時代の肥後(熊本)の夜の海に現れたというその妖怪は、
6か月の間豊作だが疫病が流行るから私の姿を描き写して人々に見せよ
と言って海に消えていったそうです。


江戸時代の瓦版に描かれたアマビエ


「描いて拡散する」という内容が今の時代にマッチし、
アマビエの姿はインターネット上で日本のみならず世界にまで拡散しました。


一刻も早く病の蔓延が収束してほしいという純粋な祈り、

自らがどうすることもできない病や未来への畏れ、

この伝言ゲームに参加してみたいという単純な欲、

伝承に則ったアマビエ、自分なりの解釈を加えたアマビエ、

イラスト、漫画、絵画、版画、陶、木彫、フィギュア、etc...

様々な想いが、様々な媒体で「アマビエ」という一つの形態をとってアウトプットされている現象に面白さを感じたのと、

昨年「水滴モンスター」という個展で妖怪や霊獣を描いており、
その時考えていた事に繋がる部分もあるので今回アマビエを描いてみようと思いました。




スケッチブックに何パターンか描いているうちに、
一点ものの絵画にするよりもアマビエの性質から考えて版画という作品形態をとった方が良いと考え、
版画に挑戦してみようという思いが湧いてきました。


ガリ版にするのか、木版にするのか、、、

色々調べていくうちに「メディウム剥がし刷り」という技法がある事を知りました。


ボール紙にクラフトテープ(紙のガムテープ)を貼りつけ、
インクの無いボールペンで凹ませながら描いて、
その凹んだ線にアクリル絵具を詰めて、
アクリルメディウムを塗って、
乾かないうちに紙に版を貼りつけて、
乾いたら慎重に剥がす。
という技法です。(文字にするとややこしい...)


今まで聞いたことも見たこともない技法でしたが、だからこそ興味を持ったので挑戦してみる事にしました。


実際に彫った(凹みを付けた)版

YouTubeにも制作工程動画をUPしていただいたのでご興味ありましたらご覧ください。

(余談ですが、アマビエ版画に挑戦中の折、ギャラリーから新設するオンラインストアへ出してみないかとお誘いいただき、ネット上での出品・発表となりました。)


普段絵画で行っているのは、頭の中のイメージを絵具を使って画面に直接表現する行為ですが、

版画はイメージを反転させて版にし、それを刷り出す事ではじめて思い描いていた正像になる。

というのは新鮮な感覚でした。


イメージ通りにいかなかったり、作業の中でコントロールできない部分があったり。
普段いかに力技で描いているのかという事を思い知らされたような気がします。



「アマビエ」
ニューブレダン紙、アクリル絵具、メディウム
エディション数10部
版のサイズ 233×147mm
額のサイズ 396×304×22mm (H×W×D)


「ひょっこり」
ニューブレダン紙、アクリル絵具、メディウム
エディション数10部
版のサイズ 233×147mm
額のサイズ 396×304×22mm (H×W×D)


「海の底から」
ニューブレダン紙、アクリル絵具、メディウム
エディション数10部
版のサイズ 233×147mm
額のサイズ 396×304×22mm (H×W×D)


次回のブログでは各アマビエ作品の内容について書いていこうと思います。


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