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田村さんとの出会い 5
田村さんにデザインしてもらった
この売り場の結果であるが、、、


最初手を加える前の数字を年商1,500万円
月商約100万強とお伝えしたと思う。


これが3年間で約3倍になった。。


当初3ヶ月は正直大した反応はなかったが
3ヶ月を越えた位から徐々に反応が出だし
あれよあれよと数字は伸びていった。。


もちろん、売り場環境だけが功を奏したとい
ワケではない。この間、悪弊に苛まれてきた
取引条件の変更、販売を担当してくれている
派遣社員のスキルアップ等の状況も好転した。


しかし、それにしても・・・


うそだぁ!そんなワケが・・・・・と言うのが


私の率直な感想で、今も多少関わりを持って
百貨店という商売を見ているが、これほどの
伸長の経験は過去20年来ない。


決してバブル華やかなりしころの数字ではない。
どちらかと言えば、デフレスパイラルなどという言葉
が世間を賑わし、不況真っ只中だった。。。

確かに売り場の環境が変われば、、という基幹的事象の創出で
あることは間違いない。例えば派遣社員にしても今までと
違う明確な売り場というゾーンが生まれると、より主体的な
責任感が生まれる。


そこで自己オペレーションをするとなると、自らの個性
というものをより具体的に発揮し出す。これはどのような
効果があるかと言えば、顧客という固定的な客層
を摑み始めるのである。特段買うものがなくても
そのお客との関係性が密になり、数ヵ月後、一年後
等の周期で買い物が発生してくる。これを何人も
作り出すと、いわゆる車のセールスのような仕組みが
動き出し、車検という一つのサイクルで商売を仕掛け
る、それと同様のようなきっかけが受動的でなく作り出し
やすくなる。


また取引条件も高回転が生まれてくれば、買取りなど
という返品リスクのある条件である必要がない。
商材供給のタイミングと量を販売員からのデーター
などにより、より精度高くコントロールでき、ロス
率は一気に逓減する。。


これらの条件も加わったことにより、よりよい形のスパイ
ラルが生れ、、1年を越えた辺りからはグイグイとこちらの
過去の想像を遥かに越える伸び率が生まれた・・・


1,500万円の3倍、4500万円、月400万円弱か・・・?


大したことないと思われる方も多々いらっしゃるかと思う。
しかし、この条件を東京、名古屋、大阪などの都市部の
スケールでみればそう思うかもしれないが一次商圏が
50万人を切るエリアで、なおかつ生活必需品としての用途
が限りなく薄い我々の商材、そしてなにより、、、、、
僅か6坪という環境・・これらを総合して考えていただければ
この数字は決して過小でないという理解をしてもらえると思
います。


しかし、、この時、田村さんのデザインだから!


という事で結論付けたワケではない。が、、、この伸長の根拠を
考えると必ず田村さんが施してくれた物理的環境との関係性が出てくる・・・


この後、何度も同じような仕事を頼んだが、100%というワケでは
ないが約80%近くは成功したと思う。。


ある時、明確に気付いた事があった。


田村さんのデザインやパース画はすごく“ロマンティック”なのだが
実際には、それを作り出す田村さんは冷徹と言えるぐらい、リアリスト
なのではないか・・・と、、、


リアリズム、我々の現実的な限界、それは資金的なものもあれば、
人的なパフォーマンスもある、また取引関係の強弱もある。それら
を長い時間毎回聞き出すわけではなく、こちらに気持ちよく喋らせ、
その間、刻々とスキャンしていたような気がしてならないのだ。


数式にて割り出され、そして美観を整え、自分のデザイン的な仕上
がり。


これで実は完結する。。


しかし実際そこには数字や自己のデザインを破棄しなくてはならない、
現実的なクライアントの制約が存在する。それを如何に融合させるか?


はい!できました・・だけでは、商売として通用するかどうか?
結果のおたのしみ!などと言うわけにはいかない・・・・


だからロマンティックなパース画に代表される表面的な部分が実は
それらのリアリズムによって細部を構成してから作られているのだ
と、売り場を活用しだしてから多々気付かされる事があった・・・


まさしく


商売の神様は細部に宿る・・・の例えの如く、表面的なデザインと
リアリズムのある細部。。その両端部分を繋ぐ堅牢さが優れたデザ
ンなのだ、、、と


これには先輩より教え込まれた
確信的な私なりの根拠もある。


私は売り場というものを訪れる時、必ず売り場を見る時間の倍は
ストックをチェックする。当然在庫状況ということもあるが、
一番は清潔さである。空間の清掃という意味もあるが、商品の陳列
状況や、ストック場所の固定化がちゃんと行われているか、空き箱
と商品が混在していないか?などである。実際、私の過去の経験から
ストック場の汚い売り場でよく売れた例がなかったのである。


ストックというお客の目に触れない場所、ここを見れば、売り場の
状況など実は手に取るようにわかる。そして実際、商売人の考え方
の表出は売り場というように捉えがちだが、実際は、ストックの
環境こそが商売人の考え方を如実に現しているのだと私は考えている。


新入社員の一番の仕事は“掃除”である。これはどのような仕事でも
同じだと思う。このお客の目に触れるだけでない、細部までを清掃する
行為こそが、仕事を覚える一番の近道であり、表面的なもてなしだけで
ない細部にわたるもてなしを“ISM”を考える一番の勉強となるよう
な気がするのだ・・


実は、こういう目に見えない環境があって


照明を浴びる売り場という華やかな存在がある。


実際その華やかさにはコントラストとしての見えない部分、、
細部があるから浮かび上がらせる事ができるのであり、それは
商品、人的、物理的環境と多岐にわたり、それぞれがコントラスト
を持っている。この両極の色彩を上手く摑めるか否か、これが
実はクライアントの意向を越え、優れたデザインを供給できるか
どうかの力量になるような気が私にはしたのと、そのためには実は
ストイックなデザイナーとしての自己抑制の効いたリアリズムが必
要なのだ


と、、、、田村さんを見て数年後、解釈したのであった。。


先述したが、この後、何回も田村さんにデザインの仕事は依頼した
現場に同行してもらい、工事までしてもらったものもあった・・


しかし、ある時、この最初の出会いとなった売り場が


突如改装という理不尽な状況に追い込まれた。。。。。。


その時を同じくして


田村さんが会社を辞た、、、



という事が耳に入ってきた・・



偶然?なのだが、出会いのきっかけとなった
売り場が、、、理不尽極まりない改装という状況を
向かえた場面で、田村さんとの仕事は一旦途切れる
こととなった、、



つづく。。

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