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田村さんとの出会い 4



パース画を説明させていただくと


赤線と黒線(外側)、この扇型がいわゆる導線からの
フェイスとなる。


この場合、メインの壁面をどこに持ってくるかが一番問題なのだが、
スペースの中でギリギリ許容してもらえる一面だけを立ち上げ、それ以外
を什器と同様かもしくは10~20%up位の高さにて囲う。そうする事に
より壁を持ち囲いがある売場というスペース、ゾーンが生まれる。



こうすると普通のアイランドではなくなり、この一角に他とは違う個性が
生まれ、ある種のショップ化された空間支配が活きてくる。



什器の高さの基本は、天井までの高さの1/2。これは昔だと大体天井まで
が2m45くらいで什器は1m20。今だとほとんど2m70で什器
の高さが1m35というのが通例である。その10%upとなれば約150
センチ、、20%UPであれば1m60程度、、これが他の環境に対し圧迫
感がなければ、もしくは必然性が認められれば問題なく通る。この辺りは
大体主観的なもので、ほとんど必然性を訴え通すのである・・



そこで、田村さんのプランでは壁面を出来るだけメイン導線に対し水平
の箇所を選択し、導線と水平面である柱面積(柱の一辺)を利用し
(黒線2本)壁を延長したわけである。これが先ほど壁を立ち上げても
許容されるだろうという想定の根拠である。導線と水平。。



この際、柱に対して水平に壁を延長すれば、客が導線からフェイス部分へと
歩を進めた場合、裏側の環境を完全に遮断することになり、また逆からの
回遊も完全に遮断することとなってしまう。


そこで黒線2本を活用し、そのスパンに壁と壁の開口部を備え付けた。
パース画で壁を立てている部分、これがアイランドでは限界の壁面積
ではないか?という想定である。


この開口部を備えることにより、破線で示したとおりかなりの回遊
導線が生まれ、客を一定の流れ以外の回遊性に導くことが可能となる。


そのためのフェイスからのアイキャッチであるが、黄色の線で示した
通り、導線から大よそ上中下、扇の広がりに合わせるようにアイキャ
ッチが施されている。これにより客の視線が上下、左右と動く事になり、
尚且つ、壁面で遮って開口部を設けている部分の裏側への興味をひきつ
ける要素へと展開が無理なく広がる構造を備えているのである。


アイキャッチ2箇所は基本的に“VPゾーン”の役割を果たし、


一番奥のアイキャッチがメインアイテムとなっている。


言い忘れたが、この売場は“和風商材”の売場であり、VPゾーンには
季節を感じさせる調度やオブジェや小作品などを配置することにより
その季節季節のメイン商材との関係をストーリー化しているのである。


これは結果として語らせてもらっているが、、、


よくよく考えてもらいたい、何もない想像の世界、頭の中で立面を
動かしシュミレーションするのは、我々がぼぉ---とする想像の世界で
はない。


他人の頭の中にある構想を斟酌し、それらの一つ一つの可能性を
勘案しながら作り上げていく。しかも独り善がりなデザインの優秀性
ではない、優れたデザインという現場環境やその環境を育む歴史・空気
感、見たいなものも取り込みながらの作業である。



こういった内容を踏まえ、ここまで具体的に形付けていく作業とはか
なり難しいもであることは理解してもらいたい所である。そしてこれ
に私は数字の結果も要素として求めたのであるから、結論づけてこれ
を形にするというのは少し勇気がいる。


何気ない絵のように見えるが、そこには色々な要素を含ませている
のである。そしてもう一つ大事な要素だが、手描きということである。


今現在こういった仕事に携わっている人だと分かると思うが、手描き
パースはほとんどない。


大抵コンピューターの3Dグラフィックである。


このパースは確かに綺麗である。そしてそれなりの建材の材質まで
可視化できているため、瞬間にその空間がどのように変化するか理解
し易い。しかし大きなデメリットも含まれている。


それは何か?


想像の世界を遮断しているのである。



しかしこれが手描きの場合は、、、



かなりを想像の世界でリードしなくてはならない部分があり、ある意味
ロマンティックなストーリー性が生まれるのである。プレゼンする側から
言えば、口頭による説明の附加が必要不可欠であり、よりクリエイティブな
創造性を訴えかけられるのである。嘘は言えないが、夢、理想とするものへ
近づけられそうな雰囲気は十分伝える事が可能となる。。。



事実、このプランはその後一部変更はあったものの、ほぼこの通り採用された。。



ほとんど田村さんが語った通りを伝えて・・・



。。。。。。。。。。。。。。。




田村さんの


パース画


それは


私にとって


すごく


ロマンティックなものであった。。。




さて次回は、この売場がどのような結果を生み出したかを
ご報告させていただきます。


つづく。。。

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