RECENT POSTS
田村さんとの出会い 3
一度“おいで”と言われ伺った会社の商談室に現れた


田村さんの印象は


長髪に髭、、ニコリともしない気難しそうな雰囲気だった。
それまでの私の生活圏内にはあまり存在することのない
雰囲気の人であったのは間違いない・・


難しそうな人か?な?という一抹の不安が過ぎったが、
とにかく今抱えている問題を一気に捲くし立てるように
ぶつけた。。


資料として前においたのは数枚の現状の写真、そして件の図面…


それ以外はとにかく言葉で説明した。自分達が今している商売。
その商売の理想とするところと現実のギャップ、しかしながら
その秘められた可能性・・


そして今回の売場について。今までこの売場が抱えてきた問題、
そして今にいたる経過、今回の図面の問題、そしてこれからど
うして行きたいか。。。


そのためにパートナーシップを結べるデザイナーの力が必要だと
いう事を、、、、


そう!この“田村さんとの出会いの1”に書いた理想である。。


そして、今から思い返せば“赤面の極地”なのだが・・


生意気にも、、、ただ“格好いいだけのデザインはいりません!
売るため、売れる為の優れたデザインが欲しい!…・と、、、、


これは今でも哲学として持っている。


デザイン的に優れたものと、、
優れたデザインとは似て非なるものだ・・



と、考えている。ただデザイナーの自己満足のみで完結したも
のでは、その後そのデザインに生命を吹き込み、命の炎を炊き
つづける現場は動かない。優れたデザインとは長期にわたって
の機能性も考慮されたものであり、その瞬間だけのセンセショ
ーナルでは決してないと私は思うのである。



当然、売れないというのはデザイン化された売場の空間だけの
問題ではないしかし、売場の空間があらかじめその環境を上手
くストーリー化していればその結果は大きく違うと私は確信し
ていた。


先般にも記したが、突然現れた外人デザイナーが格好良く仕上
げたデザインなど、オープンの時のみ賞賛されたが、その後そ
こを活用した我々の正直な感想は“NO”以外のなにもの
でもなかった…



そんなこんなを、、


おそらく約3時間くらい掛けて説明したと思う。。。
しかも一方的に………・


その間、ほとんど田村さんが喋る事はなかった・・ただただ黙って
聞いているだけであった・・



本当に理解してくれたのだろうか??



一通り話をし終えて、、2,3質問?いや違う、、確認だったと
思う。。


今から思うと要点整理だった?かとも思うが、、とにかく今回の
最大の問題箇所“アイランド型”という部分とその周りの環境・・
だったと思うが、、、


あとは、、、、思い出せない…多分プランをまとめる時間だっ
たと思う・・


正直その程度のことだけだったような気がする・・


なんと言うのか、、正直肩透かしをくらったような感じがした、、、



本当はもっと様々な確認やら、それはこうや、ああやとか色々な
協議的な内容があるのではないか?そして最悪はこういうものは
出来ない・・などというような事まで頭の中では想像していたの
だが、実際にはほとんど私が喋って終わった・・というような感
じであった。。



最後に最大の問題事項を投げかけた…


予算が“ほとんどないんです・・”



黙って考えておられたが、、、、



まっ、、なんとかしましょ!


で、、終わった。。。


う-----------------------ん。。。本当に大丈夫だろうか?


安いギャラだから適当に…なんて事も、ありえなくはない??




そもそも、、本当にこの人は力あるデザイナーなのか??
よくよく考えればその肝心要の部分がなんにも確認できていないでは



ないかぁ!!



……………・


ただ雰囲気、、、これだけは・・あったなぁ。。。



しばらくして田村さんから電話があり、出来たので来て欲しい
という事であった。



約束通りの日時、予定していたので早速伺った。



前回と一緒の商談室。



席に着いた田村さんの手元にはA3の紙が


伏せて置いてあった。。



すると、前回ほとんど黙って聞いていた田村さんが
今回は朗々と説明し出した。A3の紙を一枚づつ裏返し
先ずは平面図に対する落としこみ案から…・



なぜこういう考え方をするのか。そしておそらく相手が
嫌がる拒絶するポイントを丁寧に説明してくれ、それを
回避するためにこのようにした、、と言った説明…



当然、視界、導線の問題も解消されていたが・・
今ひとつ平面図では分かりにくさが残った…



そして売場の可動性と今後のストーリー、、、に続く、、



なんと、前回私が長々と説明したものが一枚の紙に綺麗に
無駄なく集約されている。。



しかし、やはり平面から立面を想像するのだが、どうしても
100%すっきり理解できたわけではない…



そして什器案…



ここでは必ず起きるストックの問題を最大限解消する方策
が説明され、まるで、テレビのビフォーアフターのような
展開…・



ここまで約一時間近く掛け丁寧な説明が繰り広げられた。。


そして最後の一枚をめくると



そこには、今までの説明を具体化した“手描きの絵”



手描きのパース画が登場した。



なるほどぉ!










これが、今から8年前、田村さんに初めて描いてもらったパース画
です。。。



次回はこのパース画の優れた機能説明をさせていただきます。。




つづく。。


----------------------------------------------------


※追記!!


私、実は田村さんと知り合ってからかなりの数のデザインをして
もらったのであるが・・全てパース画やプラン書を残している。

先日、この話を田村さんにしたら苦笑いされていたが、、

私にとって、これほど勉強させてもらったものは正直ないのである。
だから、今でも大事にどれもとってある…


宝物です。。

▲TOP