October 12,2009
先週、衝撃的?というか目を引くニュースにぶち当たった・・・
<ヨウジヤマモト>民事再生法の適用を申請 負債約60億円
今の若い人は彼をどのように見ているのか分からないが、
少なくとも1966年生まれの私にとって彼は間違い無く
カリスマである。
1981年の川久保玲との衝撃的パリコレデビュー・・・
ヨーロッパを中心としたモードの概念を破壊し尽くした
その衝撃的な登場は、当時15歳高校一年生の私も僅かな
ニュースから知りえた情報で心躍ったのを昨日のこと
のように覚えている・・
それから30年・・一気にスターダムにのし上がり、その地位
が30年間揺るぐ事がなかったブランドが・・・昨今の世情を
直撃した波に浚われた・・・・
と、、このように書いたが、センチメンタルに一抹の寂しさ
などという事ではない。。
この記事、状況がある種の関係性を妙に象徴しているなぁ~
と感心したのが一番であった・・・
さてヨウジヤマモトの状況を改めて以下に記載すると
------------------------------------------------------
非上場企業だけにヨウジヤマモトの業績面での正確な数字は不明だが、
2005年8月期の官報公告によると、3600万円の最終赤字ながら利益剰
余金は44億円にも上り、当時はまだ内部留保が潤沢だったようだ。
自己資本比率も5割近くあった。
経営不振に拍車がかかったのは、最近のこととみられる。業績面と
の関連は不明だが、山本耀司氏は4月30日付で代表取締役を辞任、経
営の一線からは退いている。
昨年来の景気悪化で、高級ブランドの苦戦ぶりは鮮明だ。ひと頃は
海外高級ブランドが銀座や表参道に大規模な旗艦店を次々に出店して、
不動産ミニバブルの発火点ともなったが、様相は一変した。
円高ユーロ安も1つの要因ではあるが、フェラガモ、カルティエ、
ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールなど、代表的なブランド
は昨年来、相次いで値下げを実施している。
高級ブランドの支えをなくした百貨店の業績も悲惨だ。日本百貨店
協会のまとめによると、全国の百貨店売上高は2月から5月まで連続し
て前年同期比で2ケタのマイナス。3月には13.1%もの売り上げ減少を
記録した。6月は多少持ち直したものの、それでも8.8%のマイナスだ
(以上、店舗数調整後の数字)。
高級ブランドは中古でも振るわず
高級ブランド不振の影響は、意外なところにまで波及している。
名古屋を地盤に大都市圏で中古宝飾・時計・バッグなどの買い取り
販売を展開するコメ兵は、2010年3月期第1四半期の売上高が31.3%
もの減少。利益もほとんど半減した。高額な海外ブランドは中古品
でも振るわない。
一方で、絶好調なのは低価格ブランドだ。カジュアル衣料専門店
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの2009年8月期第3
四半期(2008年9月~2009年5月の累計)は、売上高5370億円で前年
同期比17.2%増。利益は2割超の増加だ。既存のユニクロブランドに
加え、より低価格なブランド「ジーユー」で展開する「990円ジーン
ズ」などが売れている。
昨年は業績が低迷したしまむらも、今年に入って息を吹き返してい
る。今までの中高年女性中心から、若い女性にも受け入れられるよう
になり、主力である「ファッションセンターしまむら」の既存店売上
高は4月以降、前年同期を上回るようになった。
こうした勢力変化の中での有名デザイナーブランドの身売り話は象
徴的だ。日本人デザイナーの有名ブランドでは、森英恵氏の「ハナエ
モリ」が2002年にブランド全体を三井物産に対して売却する方向で交
渉を行ったが、その時は頓挫して民事再生法の申請という結果となっ
た。
かつてに比べて賢くなった消費者がいまや求めているのは、「価格」
と「価値」とのほどよいバランス、つまりは「値頃感」だ。しかも時
や場所に応じたメリハリの利いたお金のかけ方にも長けている。それ
らのどこにセグメントするかでブランドの盛衰が決まるのが今日とい
えるだろう。単に不況の影響というだけではなく、1人のデザイナーの
個性や感性に大きく依存した高級ブランドは、今後ますます生き残りが
難しくなるのかもしれない。
--------------------------------------------------------
という事で、この記事の文面からだと所謂マーケッティング、現市況
に関する部分に感心したかのようにとらわれてしまうが、決してそう
ではない。
私が感心を寄せたのは
--------------------------------------------------------
単に不況の影響というだけではなく、1人のデザイナーの
個性や感性に大きく依存した高級ブランドは、今後ますます生き残りが
難しくなるのかもしれない。
--------------------------------------------------------
という部分である・・
冷静に考えればヨウジヤマモトがここまでこれたのは上記理由が最大
であった筈だ。しかしそれが今や最大の足かせ手かせと理由づけている。
今までもスーパーブランドが復活した例は沢山あった。ダメになった
理由も様々であったが、そのほとんどが拡大戦略の問題、ライセンス
生産などに手を染めてブランド付加価値を低落させたというのであった。
これらの場合、大半デザイナーのチェンジや経営母体の強化などで難局
を乗り越え現在に至っているが、基本的にその構造は、新進のデザイナー
を抜擢し創業時の颯爽とした雰囲気を現代風にトランスレートし、以前の
失敗の要因であったイメージの肥大化を押えた手法が一般的だった。
このことから考えた場合、ヨウジ・ヤマモトブランドにも同様の落ち度
があったのであろうか?
特段類似するような要因は見当たらない。それどころか他のブランドが
軌道修正し再生してきた手法の道筋にずっといたような気がするのである。
では何が?
ここで再度私が抜き出した上記特筆部分を考えていただきたい。
この文章の最大論旨は一人のカリスマアーティストだけでは
乗り切れないという事ではなく、カリスマアーティストをビジネス
的に上手くドライビングできなければ破綻するというように
解釈したほうが現状には合致するように思うのである。
では、ドライビングとは何か?これはアーティストの創作を如何に
次元高く普及させ採算を整合させるか?そのためのアーティストに対
する成長戦略+客観的消費動向の冷徹な考察+ここが大事なのであるが
”相対的芸術的強度と鮮度”及びイメージ・価格の伸縮と弾力が必要
不可欠なのではないかと判断する。
戦いは兵站と負け戦の引き際戦が一番難く、しんがりが強靱でないと
無傷の戦線離脱は容易ではない。また勝ち続けていると思っても
それは勘違いであり、深みに引き寄せられて嵌る罠も多い。。。。。
----------------------------------------------------------
ここで彼のコメント
パリコレで新作発表を終えたばかりの山本氏は、東京都内で行った記者会見
で「経営を歴代の社長に任せすぎたことが私の責任。裸の王様だった」と説明。
その上で「日本のファッション文化は世界で一歩も負けていない。ぶっ倒れる
まで服を作り続けていきたい」と話した。
---------------------------------------------------------
ここにはセパレートに過去の遺産としての名声とビジネス的な発展
戦略が乖離してはいけないという重要な要素が含まれていて、あく
まで成長しつづけ拡大?ではなく堅牢かつ強固にしなければならな
いという事だと思うのである。
直接的破綻の原因は、結果論的状況ではあるがリーマンショックが
引き起こした消費不況が過剰投資化してしまったということなのだが、
私はこの事態の本質は、アーティストのアーティスティックな部分を
無視したビジネスマインドのみの先行と専横が破綻への道筋を加速さ
せたと感じるのであった。
なぜ、ヨウジ・ヤマモトは拡大しなければならなかったのか?
一人の服飾芸術だけでどこまで拡大でき、どこまでが整合のセイフ
ティーゾーンだったのか?もっと新たな要素を加味できなかったのか?
なんのためにルイヴィトンが村上に接近したのか?
カルティエが財団として現代美術を後援するのか?
エルメスがビル内にアートスペースを用意するのか?
私はある種の芸術的な強度の補完及び循環がマーケット以外に現代は
必要なのではないか?と想像するのである。
コマーシャリズムの消費だけではブランドの付加価値は留保できない
状況なのではないかと考える。
その辺りの戦略構築をブランド内で分掌化出来るか否かが、所謂、
一人のアーティストに頼らないという事の本質に思えてならない
のである。
もっと平たく言えば
ものを作り出すクリエーターと
ものを売るクリエーターの如何なる融合がベストなのか?
これが大きな問題だと思う。
この融合を自己完結してしまう人間が過去?現在においても
いるようだが・・長期的視野にたって考察した場合、本当に
これからそれらは通用し続けるのか?一時代の”あだ花”と
なるのか?
大いなる興味と感心がある。
<ヨウジヤマモト>民事再生法の適用を申請 負債約60億円
今の若い人は彼をどのように見ているのか分からないが、
少なくとも1966年生まれの私にとって彼は間違い無く
カリスマである。
1981年の川久保玲との衝撃的パリコレデビュー・・・
ヨーロッパを中心としたモードの概念を破壊し尽くした
その衝撃的な登場は、当時15歳高校一年生の私も僅かな
ニュースから知りえた情報で心躍ったのを昨日のこと
のように覚えている・・
それから30年・・一気にスターダムにのし上がり、その地位
が30年間揺るぐ事がなかったブランドが・・・昨今の世情を
直撃した波に浚われた・・・・
と、、このように書いたが、センチメンタルに一抹の寂しさ
などという事ではない。。
この記事、状況がある種の関係性を妙に象徴しているなぁ~
と感心したのが一番であった・・・
さてヨウジヤマモトの状況を改めて以下に記載すると
------------------------------------------------------
非上場企業だけにヨウジヤマモトの業績面での正確な数字は不明だが、
2005年8月期の官報公告によると、3600万円の最終赤字ながら利益剰
余金は44億円にも上り、当時はまだ内部留保が潤沢だったようだ。
自己資本比率も5割近くあった。
経営不振に拍車がかかったのは、最近のこととみられる。業績面と
の関連は不明だが、山本耀司氏は4月30日付で代表取締役を辞任、経
営の一線からは退いている。
昨年来の景気悪化で、高級ブランドの苦戦ぶりは鮮明だ。ひと頃は
海外高級ブランドが銀座や表参道に大規模な旗艦店を次々に出店して、
不動産ミニバブルの発火点ともなったが、様相は一変した。
円高ユーロ安も1つの要因ではあるが、フェラガモ、カルティエ、
ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオールなど、代表的なブランド
は昨年来、相次いで値下げを実施している。
高級ブランドの支えをなくした百貨店の業績も悲惨だ。日本百貨店
協会のまとめによると、全国の百貨店売上高は2月から5月まで連続し
て前年同期比で2ケタのマイナス。3月には13.1%もの売り上げ減少を
記録した。6月は多少持ち直したものの、それでも8.8%のマイナスだ
(以上、店舗数調整後の数字)。
高級ブランドは中古でも振るわず
高級ブランド不振の影響は、意外なところにまで波及している。
名古屋を地盤に大都市圏で中古宝飾・時計・バッグなどの買い取り
販売を展開するコメ兵は、2010年3月期第1四半期の売上高が31.3%
もの減少。利益もほとんど半減した。高額な海外ブランドは中古品
でも振るわない。
一方で、絶好調なのは低価格ブランドだ。カジュアル衣料専門店
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの2009年8月期第3
四半期(2008年9月~2009年5月の累計)は、売上高5370億円で前年
同期比17.2%増。利益は2割超の増加だ。既存のユニクロブランドに
加え、より低価格なブランド「ジーユー」で展開する「990円ジーン
ズ」などが売れている。
昨年は業績が低迷したしまむらも、今年に入って息を吹き返してい
る。今までの中高年女性中心から、若い女性にも受け入れられるよう
になり、主力である「ファッションセンターしまむら」の既存店売上
高は4月以降、前年同期を上回るようになった。
こうした勢力変化の中での有名デザイナーブランドの身売り話は象
徴的だ。日本人デザイナーの有名ブランドでは、森英恵氏の「ハナエ
モリ」が2002年にブランド全体を三井物産に対して売却する方向で交
渉を行ったが、その時は頓挫して民事再生法の申請という結果となっ
た。
かつてに比べて賢くなった消費者がいまや求めているのは、「価格」
と「価値」とのほどよいバランス、つまりは「値頃感」だ。しかも時
や場所に応じたメリハリの利いたお金のかけ方にも長けている。それ
らのどこにセグメントするかでブランドの盛衰が決まるのが今日とい
えるだろう。単に不況の影響というだけではなく、1人のデザイナーの
個性や感性に大きく依存した高級ブランドは、今後ますます生き残りが
難しくなるのかもしれない。
--------------------------------------------------------
という事で、この記事の文面からだと所謂マーケッティング、現市況
に関する部分に感心したかのようにとらわれてしまうが、決してそう
ではない。
私が感心を寄せたのは
--------------------------------------------------------
単に不況の影響というだけではなく、1人のデザイナーの
個性や感性に大きく依存した高級ブランドは、今後ますます生き残りが
難しくなるのかもしれない。
--------------------------------------------------------
という部分である・・
冷静に考えればヨウジヤマモトがここまでこれたのは上記理由が最大
であった筈だ。しかしそれが今や最大の足かせ手かせと理由づけている。
今までもスーパーブランドが復活した例は沢山あった。ダメになった
理由も様々であったが、そのほとんどが拡大戦略の問題、ライセンス
生産などに手を染めてブランド付加価値を低落させたというのであった。
これらの場合、大半デザイナーのチェンジや経営母体の強化などで難局
を乗り越え現在に至っているが、基本的にその構造は、新進のデザイナー
を抜擢し創業時の颯爽とした雰囲気を現代風にトランスレートし、以前の
失敗の要因であったイメージの肥大化を押えた手法が一般的だった。
このことから考えた場合、ヨウジ・ヤマモトブランドにも同様の落ち度
があったのであろうか?
特段類似するような要因は見当たらない。それどころか他のブランドが
軌道修正し再生してきた手法の道筋にずっといたような気がするのである。
では何が?
ここで再度私が抜き出した上記特筆部分を考えていただきたい。
この文章の最大論旨は一人のカリスマアーティストだけでは
乗り切れないという事ではなく、カリスマアーティストをビジネス
的に上手くドライビングできなければ破綻するというように
解釈したほうが現状には合致するように思うのである。
では、ドライビングとは何か?これはアーティストの創作を如何に
次元高く普及させ採算を整合させるか?そのためのアーティストに対
する成長戦略+客観的消費動向の冷徹な考察+ここが大事なのであるが
”相対的芸術的強度と鮮度”及びイメージ・価格の伸縮と弾力が必要
不可欠なのではないかと判断する。
戦いは兵站と負け戦の引き際戦が一番難く、しんがりが強靱でないと
無傷の戦線離脱は容易ではない。また勝ち続けていると思っても
それは勘違いであり、深みに引き寄せられて嵌る罠も多い。。。。。
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ここで彼のコメント
パリコレで新作発表を終えたばかりの山本氏は、東京都内で行った記者会見
で「経営を歴代の社長に任せすぎたことが私の責任。裸の王様だった」と説明。
その上で「日本のファッション文化は世界で一歩も負けていない。ぶっ倒れる
まで服を作り続けていきたい」と話した。
---------------------------------------------------------
ここにはセパレートに過去の遺産としての名声とビジネス的な発展
戦略が乖離してはいけないという重要な要素が含まれていて、あく
まで成長しつづけ拡大?ではなく堅牢かつ強固にしなければならな
いという事だと思うのである。
直接的破綻の原因は、結果論的状況ではあるがリーマンショックが
引き起こした消費不況が過剰投資化してしまったということなのだが、
私はこの事態の本質は、アーティストのアーティスティックな部分を
無視したビジネスマインドのみの先行と専横が破綻への道筋を加速さ
せたと感じるのであった。
なぜ、ヨウジ・ヤマモトは拡大しなければならなかったのか?
一人の服飾芸術だけでどこまで拡大でき、どこまでが整合のセイフ
ティーゾーンだったのか?もっと新たな要素を加味できなかったのか?
なんのためにルイヴィトンが村上に接近したのか?
カルティエが財団として現代美術を後援するのか?
エルメスがビル内にアートスペースを用意するのか?
私はある種の芸術的な強度の補完及び循環がマーケット以外に現代は
必要なのではないか?と想像するのである。
コマーシャリズムの消費だけではブランドの付加価値は留保できない
状況なのではないかと考える。
その辺りの戦略構築をブランド内で分掌化出来るか否かが、所謂、
一人のアーティストに頼らないという事の本質に思えてならない
のである。
もっと平たく言えば
ものを作り出すクリエーターと
ものを売るクリエーターの如何なる融合がベストなのか?
これが大きな問題だと思う。
この融合を自己完結してしまう人間が過去?現在においても
いるようだが・・長期的視野にたって考察した場合、本当に
これからそれらは通用し続けるのか?一時代の”あだ花”と
なるのか?
大いなる興味と感心がある。
