June 4,2009
画像データーがない。。。
これは致命的であった。
色々な調整をこれまで図ってきたが、肝心要が抜け
落ちていた…・
安直に考えていたのであった。。
間抜けもいいところである、これまで大層に様々な根回し
をしてきたにも関わらず、根幹が抜け落ちている…・
まぁお恥ずかしい話であるが、、、私の仕事ぶりの特徴的な
部分なのかもしれない…
そうはいっても、簡単に
「あきまへんでしたわぁ~!」で、、
すまない。。。
「ええかげんにしなさい!」
チャンチャン♪と下手くそな漫才のオチのようにはいかない。。
頭を抱え込んだのだが、答えは見つからない。
と、そんな時、印刷会社のNさんから電話が入る。
「上山さん、東文研に頼みましょ」と単刀直入に切り出された。
正直少し身構えた、、、あのデーターを?簡単に貸し出ししてくれのか?
しかし考え直してもそれしか道がなかった。
「わかりました、そうしましょう」
「東文研には私のほうからアポとります、仕事の関係でまったく
知らないわけではないので、上山さんは美術館と商社窓口の
調整をしてもらえますか?」
「わかりました。」
という事で早速に動いた。先の会合でやんわりとその可能性を
聞いていたことが役に立つ。東文研にデーター借り出しの依頼を出し
たいと申し出ると、必要書類が送られてきてスムーズに申請の手続き
が出来た。後はNさんからの連絡待ちであったのだが、時を一にして
彼からもアポが取れたという朗報がもたらされる。
と…・このように簡単にしかここでは書けない事をご了承いただき
たい。
実際には様々な問題の山があり、そう簡単ではなかった。実際この
データー自体の取得には約一ヶ月程だったのであるが、様々な権利
関係の調整が処理でき完璧に借り受けられたのはこれから3ヶ月先
のことであった。。
ここで少し東文研について触れておきたい。
そして予め付け加えて説明すると、東文研は実に優れた研究機関
であるのは間違いないのであるが、今回の課題、光琳に関する
データーについては、東文研のS氏作製の高精彩データーが必要
だったのである。このS氏、文化遺産のデジタルアーカイブに関
しては国内有数の写真家であり、知らない人間がいないほどの
プロフェッショナルである。我々が普段目にする国宝・重要文化財
の画像の大半はこの人の仕事ではないか?と思えるほどの有名人
であり、重要人物であった。
以下、アートスケープ/artscape抜粋
http://www.dnp.co.jp/artscape/artreport/study/0411.html
東京国立博物館平成館の裏側に先進的な美術研究をしている
独立行政法人文化財研究所 東京文化財研究所(以下、東文研)
がある。1930年設立の歴史ある研究所は、黒田清輝の研究でも
知られる。最近では、尾形光琳筆の紅白梅図屏風の金箔を解析
した研究所といえば身近に感じるかもしれない。
美術関係資料として、台紙貼写真や売立目録カードなど
総数約26万点を所蔵し、写真原板は、モノクロ4×5フィルム
約48,500点、カラー4×5フィルム約8,300点、四切ガラス
乾板約7,800点、各種サイズのモノクロフィルム約3,000点、
X線フィルム・赤外線フィルム約3,300点などが保管され、
74年の歴史と伝統に、先端的研究の成果が加わった美術資料
のアーカイブでもある。
東文研の専属の写真家であるS氏は、見えるものを写すだけの
写真家ではない。むしろ見えないものを撮る写真家である。
さまざまな文化財を画像情報として捉えている。最近は、
外部の仕事が多く、台湾(故宮博物院)や中国など海外からの
要請が増えたと言う。
情報調整室とは、各研究部門の要請により美術作品や文化財を
必要に応じて、あらゆる角度から調査分析するための研究画像
を形成する部署である。ある目的をもった研究の資料となる
画像情報を、できるだけ多く捉えた1枚の画像を撮る。研究者
のリクエストに応える、創意工夫されたその画像形成は、独自
の画像取得方法を生み出している。
モノクロフィルムで作られてきた従来の画像は、2001年度から
カラーに変更し、画像データベースへ登録。現在は撮影から
画像処理、画像データベース(写真管理検索システム、カラー
ポジフィルム約8,000件・モノクロフィルム〔4×5〕約10,000件)
までの画像形成のルーティンは、ほとんどアナログからデジタルに
移行したそうだ。
デジタルは色の分離再現性に優れ、コピーによるデータの劣化
が少なく、データの安定性がいいと言う。しかし、画像処理など
撮影後も作業が多くなり仕事量が増えるとも。デジタル機器や
アプリケーションなどは、市販されている汎用性のあるハード
とソフトを使っている。
源氏物語絵巻、高松塚古墳壁画、仏涅槃図(応徳涅槃図)、
紅白梅図屏風(尾形光琳筆)などを撮影し、新たな画像情報を得て、
美術史に一石を投じた。東文研の画像形成は、S氏の500以上の
蛍光サンプルデータ収集など、画像取得技術の研究・開発によって
成果を挙げている。その手法は以前からあった光学的理論やデジタル
技術を応用したものであると言う。
「肉眼では追いきれないものを明らかにして、いかに他の人に伝え
るかが今の仕事」と。。。
作品のオリジナルの色を忠実に再現するよりも、必要な情報を的確
に抽出することに重点を置く。測色計では計れない重ねの色味や
汚れなどの染み、墨の筆致やその厚みなどをグラデーションで表現
することが情報として大事と言う。時には撮影対象は0.1ミリ以下
のナノの世界に及ぶ。
絵画や彫刻や工芸品などの表面の材質は、それぞれ撮影に使用する
光源の波長に対する性質に違いがあるため、主に3種類、の光を
フィルターを通して数値ではなく視覚的に記録する。物理的に
記号や数値でその材質が何であるかを記録するのとは大きく異なる。
鉱物顔料・有機物・媒材(絵具を作るための液体)・支持体
(絹や和紙など)などの文化財の表面の材質を、カメラとレンズ
とフィルターを厳選し、光を操り、そこに写し出された画像を見る
ことで特定することができるのだ。アナログで写らないものが
デジタルだから写るというものではないと言う。サンプルデータ
の収集と研究の成果であり、ウェブ・サイトで「画像形成技術の
開発に関する研究 」の概要が公開されている。
非接触の撮影のためマルチショットタイプのデジタルBack
(Sinarback 54HR)を使用し、記録する画像サイズの算出は、
RAWデータの実画像が16bit換算でオリジナルサイズの1から
8倍程度になるよう撮影する範囲を逆算し、マルチショット
モードで分割撮影する。1点あたりの情報量は数十から
数百ギガバイトとなる。
画素数が高いだけでは情報量の多い画像とも美しい画像とも
言えない。ビジュアル・インテリジェンスと城野氏の言う
文化財や美術作品は、撮影時に保存を前提として、オリジナル
に置き換わる資料ともなりうるのか、なぜこのような画像形成
をするのかを説明できるようにしておくことが必要である、
とS氏は言う。
光を駆使し撮影することで記録するデジタルアーカイブだが、
その光で文化財を破壊しているとも言うS氏。光の性質を理解
した上で文化財の破壊を最小限にし、ライティング(主に3灯使用)
に配慮して文化財などを撮影している。
以上、アートスケープ/artscape抜粋
http://www.dnp.co.jp/artscape/artreport/study/0411.html
と、、、言う訳で、物凄いデーターに物凄い写真家であるという
事はお分かりいただけたかと思う。
実際にS氏にお会いしたのであるが、最初怖い印象を持っていた
のであるが実に気さくな方で優しく対応していただいた。
これでデーターが入手できたのである。
早速N氏は試験出力に取り掛かります!と力強く応えてくれた。。。
が、、、
数日後、N氏から電話が入る。
「上山さん、、実はそちらに伺って打ち合わせを至急したい」
「はっ?データーに問題が?」
「そ、そうなんですよ…・」
「駄目ですか…?」
「いや、、逆でして、、凄すぎるんですよ、、こんなデーター
今まで見たこと無いですよ。。。」
これ以上ない優れたデーターが、、、問題ある?
電話口で尋ねたのであるが、、実際に見せて説明しないと
分からない!ということであった。。。
なんのことか分からなかったが
N氏の来訪をまつことにした。。。
つづく。。
これは致命的であった。
色々な調整をこれまで図ってきたが、肝心要が抜け
落ちていた…・
安直に考えていたのであった。。
間抜けもいいところである、これまで大層に様々な根回し
をしてきたにも関わらず、根幹が抜け落ちている…・
まぁお恥ずかしい話であるが、、、私の仕事ぶりの特徴的な
部分なのかもしれない…
そうはいっても、簡単に
「あきまへんでしたわぁ~!」で、、
すまない。。。
「ええかげんにしなさい!」
チャンチャン♪と下手くそな漫才のオチのようにはいかない。。
頭を抱え込んだのだが、答えは見つからない。
と、そんな時、印刷会社のNさんから電話が入る。
「上山さん、東文研に頼みましょ」と単刀直入に切り出された。
正直少し身構えた、、、あのデーターを?簡単に貸し出ししてくれのか?
しかし考え直してもそれしか道がなかった。
「わかりました、そうしましょう」
「東文研には私のほうからアポとります、仕事の関係でまったく
知らないわけではないので、上山さんは美術館と商社窓口の
調整をしてもらえますか?」
「わかりました。」
という事で早速に動いた。先の会合でやんわりとその可能性を
聞いていたことが役に立つ。東文研にデーター借り出しの依頼を出し
たいと申し出ると、必要書類が送られてきてスムーズに申請の手続き
が出来た。後はNさんからの連絡待ちであったのだが、時を一にして
彼からもアポが取れたという朗報がもたらされる。
と…・このように簡単にしかここでは書けない事をご了承いただき
たい。
実際には様々な問題の山があり、そう簡単ではなかった。実際この
データー自体の取得には約一ヶ月程だったのであるが、様々な権利
関係の調整が処理でき完璧に借り受けられたのはこれから3ヶ月先
のことであった。。
ここで少し東文研について触れておきたい。
そして予め付け加えて説明すると、東文研は実に優れた研究機関
であるのは間違いないのであるが、今回の課題、光琳に関する
データーについては、東文研のS氏作製の高精彩データーが必要
だったのである。このS氏、文化遺産のデジタルアーカイブに関
しては国内有数の写真家であり、知らない人間がいないほどの
プロフェッショナルである。我々が普段目にする国宝・重要文化財
の画像の大半はこの人の仕事ではないか?と思えるほどの有名人
であり、重要人物であった。
以下、アートスケープ/artscape抜粋
http://www.dnp.co.jp/artscape/artreport/study/0411.html
東京国立博物館平成館の裏側に先進的な美術研究をしている
独立行政法人文化財研究所 東京文化財研究所(以下、東文研)
がある。1930年設立の歴史ある研究所は、黒田清輝の研究でも
知られる。最近では、尾形光琳筆の紅白梅図屏風の金箔を解析
した研究所といえば身近に感じるかもしれない。
美術関係資料として、台紙貼写真や売立目録カードなど
総数約26万点を所蔵し、写真原板は、モノクロ4×5フィルム
約48,500点、カラー4×5フィルム約8,300点、四切ガラス
乾板約7,800点、各種サイズのモノクロフィルム約3,000点、
X線フィルム・赤外線フィルム約3,300点などが保管され、
74年の歴史と伝統に、先端的研究の成果が加わった美術資料
のアーカイブでもある。
東文研の専属の写真家であるS氏は、見えるものを写すだけの
写真家ではない。むしろ見えないものを撮る写真家である。
さまざまな文化財を画像情報として捉えている。最近は、
外部の仕事が多く、台湾(故宮博物院)や中国など海外からの
要請が増えたと言う。
情報調整室とは、各研究部門の要請により美術作品や文化財を
必要に応じて、あらゆる角度から調査分析するための研究画像
を形成する部署である。ある目的をもった研究の資料となる
画像情報を、できるだけ多く捉えた1枚の画像を撮る。研究者
のリクエストに応える、創意工夫されたその画像形成は、独自
の画像取得方法を生み出している。
モノクロフィルムで作られてきた従来の画像は、2001年度から
カラーに変更し、画像データベースへ登録。現在は撮影から
画像処理、画像データベース(写真管理検索システム、カラー
ポジフィルム約8,000件・モノクロフィルム〔4×5〕約10,000件)
までの画像形成のルーティンは、ほとんどアナログからデジタルに
移行したそうだ。
デジタルは色の分離再現性に優れ、コピーによるデータの劣化
が少なく、データの安定性がいいと言う。しかし、画像処理など
撮影後も作業が多くなり仕事量が増えるとも。デジタル機器や
アプリケーションなどは、市販されている汎用性のあるハード
とソフトを使っている。
源氏物語絵巻、高松塚古墳壁画、仏涅槃図(応徳涅槃図)、
紅白梅図屏風(尾形光琳筆)などを撮影し、新たな画像情報を得て、
美術史に一石を投じた。東文研の画像形成は、S氏の500以上の
蛍光サンプルデータ収集など、画像取得技術の研究・開発によって
成果を挙げている。その手法は以前からあった光学的理論やデジタル
技術を応用したものであると言う。
「肉眼では追いきれないものを明らかにして、いかに他の人に伝え
るかが今の仕事」と。。。
作品のオリジナルの色を忠実に再現するよりも、必要な情報を的確
に抽出することに重点を置く。測色計では計れない重ねの色味や
汚れなどの染み、墨の筆致やその厚みなどをグラデーションで表現
することが情報として大事と言う。時には撮影対象は0.1ミリ以下
のナノの世界に及ぶ。
絵画や彫刻や工芸品などの表面の材質は、それぞれ撮影に使用する
光源の波長に対する性質に違いがあるため、主に3種類、の光を
フィルターを通して数値ではなく視覚的に記録する。物理的に
記号や数値でその材質が何であるかを記録するのとは大きく異なる。
鉱物顔料・有機物・媒材(絵具を作るための液体)・支持体
(絹や和紙など)などの文化財の表面の材質を、カメラとレンズ
とフィルターを厳選し、光を操り、そこに写し出された画像を見る
ことで特定することができるのだ。アナログで写らないものが
デジタルだから写るというものではないと言う。サンプルデータ
の収集と研究の成果であり、ウェブ・サイトで「画像形成技術の
開発に関する研究 」の概要が公開されている。
非接触の撮影のためマルチショットタイプのデジタルBack
(Sinarback 54HR)を使用し、記録する画像サイズの算出は、
RAWデータの実画像が16bit換算でオリジナルサイズの1から
8倍程度になるよう撮影する範囲を逆算し、マルチショット
モードで分割撮影する。1点あたりの情報量は数十から
数百ギガバイトとなる。
画素数が高いだけでは情報量の多い画像とも美しい画像とも
言えない。ビジュアル・インテリジェンスと城野氏の言う
文化財や美術作品は、撮影時に保存を前提として、オリジナル
に置き換わる資料ともなりうるのか、なぜこのような画像形成
をするのかを説明できるようにしておくことが必要である、
とS氏は言う。
光を駆使し撮影することで記録するデジタルアーカイブだが、
その光で文化財を破壊しているとも言うS氏。光の性質を理解
した上で文化財の破壊を最小限にし、ライティング(主に3灯使用)
に配慮して文化財などを撮影している。
以上、アートスケープ/artscape抜粋
http://www.dnp.co.jp/artscape/artreport/study/0411.html
と、、、言う訳で、物凄いデーターに物凄い写真家であるという
事はお分かりいただけたかと思う。
実際にS氏にお会いしたのであるが、最初怖い印象を持っていた
のであるが実に気さくな方で優しく対応していただいた。
これでデーターが入手できたのである。
早速N氏は試験出力に取り掛かります!と力強く応えてくれた。。。
が、、、
数日後、N氏から電話が入る。
「上山さん、、実はそちらに伺って打ち合わせを至急したい」
「はっ?データーに問題が?」
「そ、そうなんですよ…・」
「駄目ですか…?」
「いや、、逆でして、、凄すぎるんですよ、、こんなデーター
今まで見たこと無いですよ。。。」
これ以上ない優れたデーターが、、、問題ある?
電話口で尋ねたのであるが、、実際に見せて説明しないと
分からない!ということであった。。。
なんのことか分からなかったが
N氏の来訪をまつことにした。。。
つづく。。
