May 30,2009
最初の懸案であった
1、 大儀
2、 技術
3、 ライセンス(美術館認証)取得の根回し
という3つの課題の調整がつき
いよいよ本丸である美術館との接触までこぎつけた。
約半年間、振り返ると大した内容があるわけではないが
やはり時間を要した。自分で言うのもなんだが、不思議な
ことに取り掛かり始めてから一度も虚脱感に襲われたことは
なかった。全開で前向きになっていた。回りを見ても
それは同じであり、改めて光琳というものの大きさを
感じざるを得なかった…
さて1ヶ月待ったのち、ようやく美術館への挨拶に伺う事
となった。出向いたメンバーは私、私の部下の鳥居、そして
屏風製作A社のT君、印刷会社からはNさんHさん、ライセンス
担当商社のKさん合計6名に伺った。
美術館は副館長、学芸課長、そして美術館運営の事業部の方と
3名であった。合計9名の会合である。
今回は本当に挨拶であり、それぞれの会社の自己紹介と制作の
方向性を説明したのであった。
少し話が逸れるが、この時通された部屋があるのであるが、事前に
校正はどの部屋でやるかの確認とその部屋を最終まで固定する約束を
取り付けてくださいと印刷会社のNさんから釘をさされていた。
その部屋の光彩の特徴を掴んで帰ることは勿論なのだが校正をする場合、
部屋が変わると、全てが違うように見え、再校正の可能性が一気に高ま
るらしいのである。家庭用のインクジェットプリントと訳が違う。
最高のオペレーターが紙の色とスクリーン上の色彩とを、勘を頼りに
色つくりを行うのである。再校正という指示が出た場合、それを再構築
するのであるから相当な時間を要することになる。再校正のため再度
伺った際というのは時間の経過という厄介な要素が絡むこととなり、
人間の曖昧な印象を引き戻すのには大変な苦労がいる。その上に前回と
環境が違うとなると、これはまったく別物を見せてしまうというような
ことになりかねないのである。
だから校正は終始一貫した部屋の同じ場所で行わないといけないらしい。
これも過去の苦い経験から積み重ねたテクニックである…・校正は一回
増えるごとに印刷会社の利益が飛んでいく、、、、
大抵3回までは覚悟なのであるが、今回はものがものだけに相当回数
は覚悟なのだが、それにして最小のリスクで抑えるためのヘッジなので
あった。。。
この点をはじめてとして、、、今後何度も彼らには救われる。。。
このブログシリーズの初期にも書いたが、やはりそれぞれの
技術的な担当会社の選択は間違っていなかった。
私どもは少なからず美術館側にも過去の様々な仕事の関連で名前を
覚えていてもらったのだが、他の印刷と屏風表具の会社に関しては
今回初めての紹介となるので、ある意味少し緊張した。
しかし、やはり名前はモノを言う。
それぞれの会社を美術館側はご存知であった。そして嬉しい限りな
のであるが良い会社の連携で良い物が出来そうですね!という言葉
まで貰ったのである。
さすがに良くご存知であった。それぞれの会社の過去の
実績について渡した資料以外の事跡を知っておられたのである。
これは嬉しいことではあったのであるが、少し薄ら寒い感覚が襲って
きた。やはり細心の注意が必要だと改めて感じたのであった。。。
それぞれが技術的な部分を説明し、想定される課題に対しての対処
を説明する。ここで一番の難関である金彩について、ブロンジの
サンプルを広げ説明。どのような反応がでるか少し不安であったが
、関心をもっていただき期待もしてただけた。
万事和やかな会話の中、すべて上手く運んでいた。
そして今回どうしてもクリアしなければいけない問題について話を
切り出した。
データーの件である。
「美術館のポジフィルムをお貸し願えないか?」
いいですよ。
あっけに取られるくらい簡単なものだった。。
が故に、、少し不安になったのか?過去の経験からの勘なのか
印刷会社のNさんが咄嗟に質問を続けた。。。
「因みに、、NHKで放送されていた、東京文化財研究所のデーター
は借りられるのでしょうか?」
これは私も事前の打ち合わせで聞いたなかった事柄だったので
瞬間なにを聞いているのか分からなかった。。
美術館の答えは
「それは分かりませんね、、、どうですかね?我々から貸し出すことが出来ない
ことは明白です。」
「では、あちらに問い合わせするのは?良いでしょうか?
今回の件に使用するという目的も明示してですが。」
「それは良いんじゃないですか。」
と言う会話の後、散会となった。
帰りの新幹線を待つ間、皆で喫茶店に入り次の作業の打ち合わせを行った。
その時、先ほどの打ち合わせに出た新たなデーターの件について
印刷会社のNさんに確認した。。。
すると、なんとなく勘が働いたとのことであった。
ふーん…・という程度で終わったのであるが、、
その数日後、私のもとに届いたポジを見て愕然とした。。。
小さい…
急ぎNさんに連絡しポジを送った。
返って来た答は、
「これでは無理です…このポジから単純に計算しても実物の1/2
スケールを出力するのには700%アップの拡大が必要で、、
とても画像が持たない。。。。。とんでもない粗悪なものしかで
きません…」
折り返し商社担当に確認の連絡を入れたが、、
元来、複製などつくる前提がないから、せいぜいポスターに使用できる程度
のものしかないらしいのであった…
愕然とした、、
Nさんの勘が当たったのであった・・
この仕事は、、
ここで終わりなのか…・・
つづく。。
1、 大儀
2、 技術
3、 ライセンス(美術館認証)取得の根回し
という3つの課題の調整がつき
いよいよ本丸である美術館との接触までこぎつけた。
約半年間、振り返ると大した内容があるわけではないが
やはり時間を要した。自分で言うのもなんだが、不思議な
ことに取り掛かり始めてから一度も虚脱感に襲われたことは
なかった。全開で前向きになっていた。回りを見ても
それは同じであり、改めて光琳というものの大きさを
感じざるを得なかった…
さて1ヶ月待ったのち、ようやく美術館への挨拶に伺う事
となった。出向いたメンバーは私、私の部下の鳥居、そして
屏風製作A社のT君、印刷会社からはNさんHさん、ライセンス
担当商社のKさん合計6名に伺った。
美術館は副館長、学芸課長、そして美術館運営の事業部の方と
3名であった。合計9名の会合である。
今回は本当に挨拶であり、それぞれの会社の自己紹介と制作の
方向性を説明したのであった。
少し話が逸れるが、この時通された部屋があるのであるが、事前に
校正はどの部屋でやるかの確認とその部屋を最終まで固定する約束を
取り付けてくださいと印刷会社のNさんから釘をさされていた。
その部屋の光彩の特徴を掴んで帰ることは勿論なのだが校正をする場合、
部屋が変わると、全てが違うように見え、再校正の可能性が一気に高ま
るらしいのである。家庭用のインクジェットプリントと訳が違う。
最高のオペレーターが紙の色とスクリーン上の色彩とを、勘を頼りに
色つくりを行うのである。再校正という指示が出た場合、それを再構築
するのであるから相当な時間を要することになる。再校正のため再度
伺った際というのは時間の経過という厄介な要素が絡むこととなり、
人間の曖昧な印象を引き戻すのには大変な苦労がいる。その上に前回と
環境が違うとなると、これはまったく別物を見せてしまうというような
ことになりかねないのである。
だから校正は終始一貫した部屋の同じ場所で行わないといけないらしい。
これも過去の苦い経験から積み重ねたテクニックである…・校正は一回
増えるごとに印刷会社の利益が飛んでいく、、、、
大抵3回までは覚悟なのであるが、今回はものがものだけに相当回数
は覚悟なのだが、それにして最小のリスクで抑えるためのヘッジなので
あった。。。
この点をはじめてとして、、、今後何度も彼らには救われる。。。
このブログシリーズの初期にも書いたが、やはりそれぞれの
技術的な担当会社の選択は間違っていなかった。
私どもは少なからず美術館側にも過去の様々な仕事の関連で名前を
覚えていてもらったのだが、他の印刷と屏風表具の会社に関しては
今回初めての紹介となるので、ある意味少し緊張した。
しかし、やはり名前はモノを言う。
それぞれの会社を美術館側はご存知であった。そして嬉しい限りな
のであるが良い会社の連携で良い物が出来そうですね!という言葉
まで貰ったのである。
さすがに良くご存知であった。それぞれの会社の過去の
実績について渡した資料以外の事跡を知っておられたのである。
これは嬉しいことではあったのであるが、少し薄ら寒い感覚が襲って
きた。やはり細心の注意が必要だと改めて感じたのであった。。。
それぞれが技術的な部分を説明し、想定される課題に対しての対処
を説明する。ここで一番の難関である金彩について、ブロンジの
サンプルを広げ説明。どのような反応がでるか少し不安であったが
、関心をもっていただき期待もしてただけた。
万事和やかな会話の中、すべて上手く運んでいた。
そして今回どうしてもクリアしなければいけない問題について話を
切り出した。
データーの件である。
「美術館のポジフィルムをお貸し願えないか?」
いいですよ。
あっけに取られるくらい簡単なものだった。。
が故に、、少し不安になったのか?過去の経験からの勘なのか
印刷会社のNさんが咄嗟に質問を続けた。。。
「因みに、、NHKで放送されていた、東京文化財研究所のデーター
は借りられるのでしょうか?」
これは私も事前の打ち合わせで聞いたなかった事柄だったので
瞬間なにを聞いているのか分からなかった。。
美術館の答えは
「それは分かりませんね、、、どうですかね?我々から貸し出すことが出来ない
ことは明白です。」
「では、あちらに問い合わせするのは?良いでしょうか?
今回の件に使用するという目的も明示してですが。」
「それは良いんじゃないですか。」
と言う会話の後、散会となった。
帰りの新幹線を待つ間、皆で喫茶店に入り次の作業の打ち合わせを行った。
その時、先ほどの打ち合わせに出た新たなデーターの件について
印刷会社のNさんに確認した。。。
すると、なんとなく勘が働いたとのことであった。
ふーん…・という程度で終わったのであるが、、
その数日後、私のもとに届いたポジを見て愕然とした。。。
小さい…
急ぎNさんに連絡しポジを送った。
返って来た答は、
「これでは無理です…このポジから単純に計算しても実物の1/2
スケールを出力するのには700%アップの拡大が必要で、、
とても画像が持たない。。。。。とんでもない粗悪なものしかで
きません…」
折り返し商社担当に確認の連絡を入れたが、、
元来、複製などつくる前提がないから、せいぜいポスターに使用できる程度
のものしかないらしいのであった…
愕然とした、、
Nさんの勘が当たったのであった・・
この仕事は、、
ここで終わりなのか…・・
つづく。。
