May 29,2009
さて、社長に動いてもらうという事まで
前回お話させてもらいましたが、この時社長から一つの指示が
ありました。企画書を作れ、ワンシートで・・ということでした。
A4のワンシート。
簡単なようですが意外と難しいものです。
しかし、当然そなのだろうとも思いました。
忙しい上層部の人間に企画を伝える場合、長々と色んなことを書き連ねても
絶対まともには読んではくれない。大体時間をもらって打ち合わせに出向いた
場合、MAX1時間しかない。その間で重要な事を内容濃く伝えるとなると
それなりの集約したものを準備しなくてはいけないのは当然のことである。
ゆったりとした時間の中で、仮に興味を持っていただいたとしても
要点を説明せよ!となるに決まっている。
だからこういう場合はワンシート、しかも図説であるべきなのである。
急ぎ作った。
結論は意外なほどあっさりOKであった。
大阪で会った商社の担当がかなり綿密に根回ししていてくた事、及び
前回のブログで書いた、以前の義理に対する事、そして何よりも、大儀の
部分がこれまでは複雑な歯車で決して合致しなかったものが、今回寸分
違わず合致したのである。想像していた通り、美術館もなんらかの形で
もっとオープンに外部との接触を図らなければならない分水嶺の時期では
ないかと危機感を持ち始めていたのであった。。
すべてにおいてタイミングが良かったこと、何よりも特殊法人の運営について
関する国の考え方が変わるタイミングとも合致していたのが追い風となり
大きかった。
ただOKというのはあくまで窓口商社側が美術館側への折衝に動きますということで、
完全にOKという事ではない。美術館がOKするかどうか、これには二つ関門がある
一つは認証を前提に校正させてもらいますということである。もう一つは実際に
認証するかどうかであった。
しかし、いずれにしても窓口商社が動くということは第一段階の認証を前提としての
校正に関しては勝算がつかめている証左であると私は踏んだ。
ここから先、窓口商社に対する具体的なプレゼンに取り掛かるという
事が始まります。それをもって具体的な説得に動く訳である。
そのために私が再度数回に渡り窓口商社に伺い、詳細な説明を商社側に
行いました。制作手順、販売方法、ライセンス契約に関する構想、制作会社
の来歴、等々。。。
そこで出た課題として、商社側が美術館に紙資料をもって趣意及び販売に至る計画
は当然伝えるが、具体物を準備してくれないかという要望が出たのでした。
この内容が出た瞬間、これは間違いなく“複製品を作れ”という指示に他ならないと
感じました。端から断る考えで、わざわざ具体物の準備まで美術館は求める筈が無い!
具体物とは、こういう形で作りたいですという、精度は低くとも目に見える
ものの容積や雰囲気を伝えるツールの事であり、今回の企画は実物の1/2
スケールで作る計画であった。織物やミュージアムグッズ程度の過去作った
ものに対する認識はあったが、屏風を完全な複製として美術館が承認すると
いうレベルでの仕事ははじめてであったためその必要性が求められた。
それと、やはり具体的な強い意志、美術館に認証を求めたいという内容
を示すためにもそれは必要とされたのであった。
という事で帰社後、早速印刷会社と屏風製作会社を召集し会議を行った。
おおよそ認証を受けられる段階まで進行していくだろうという旨の内容を
伝え、今回の課題である具体的サンプルの制作について話を進めた。
そこで今後具体的に問題になるだろうなぁという制作上の根幹部分に
突き当たった。
それは印刷会社からの質問で
データーは?という事であった。
そうなのである、当然と言えば当然なのであるが、現物を複製するデーターが
必要なのであった。今回のサンプルについては、安直であるが、私は一般的に
流通している画像をスキャンし拡大するという事で考えていたが、先々実際に
複製し、それを認証してもらうとなると、相当精度の高い画像データーが必要
となる。当然、これを手に入れる場合、撮影というのが一番良い手段なのであるが
年に一度、厳重に管理され40日しか公開しないものを民間のしかも“これから
作りたいんですけど?“というような業者にそんなに簡単に撮影許可が降りる
筈はなかった…そうなると、美術館で管理している画像データーを借り受ける
という事になるが、、これを簡単に貸し出してくれるのだろうか??という疑問
に突き当たった…・
この問題に関しては、この会議で結論が出ないので、私が預かることとした。
が、、、、急ぎ商社窓口の担当に電話を入れ、その可能性を確認したが、それは
認証をする方向で作っても良いという結論を得る段階で話を持ち込まなければ
答えは出ないという事であった。当然である。しかしながらレベルの高いものを
作る意思を先方に伝えるわけであり、その必要性は理解してくれると思うとの事で
あった。。
まぁ中途半端な話では在るが、とにかくサンプルを作りその話の流れの中で
動くこととした。。。が、、、これが後々大問題に発展するのであるが…この時点では
実に気楽に考えていた。。。。。
そして、、
サンプルが出来上がった。
おみやげ物のミニ屏風から画像をスキャンし拡大したものにしては
かなり精度の高いものとなった。
この間、印刷会社では刷り出す紙の選別と、その紙が屏風の表具に
向くか否かのテストを繰り返し行ってもらっていた。紙の伸縮率であったり
裏打ちしたのち表面インクの色の出具合であったり、実に細かいテスト
が必要であった。とにかくその辺りの作業と平行してサンプルは仕上がった。
サンプルを窓口商社に持ち込み、最終的な説明をして預けた。
この時点でほぼ認証を前提とした校正を受けてもらう関門を突破する臭いは
プンプンしていた。。。間違いなく進んでいける!
数日後正式にOKのサインが出たという連絡が入った。
この時点で最初の通販企画側から電話を受けて半年が経過していた…
この段階を整理すると、複製品を作ります、その複製品を美術館として
認証していいいかどうか検討しましょう、よって出来たら見せなさい。。
しかしながら認証できないかもしれませんよ!というだけの段階である。。。。
その為に半年かかったのであった。と、、ため息がでるが、、、
まぁいずれにしても前進である。
そこで制作関係者で挨拶に伺う段取りを組む事とし、窓口商社を通じ
美術館にアポイントを取ってもらったのだが、美術館側のスケジュール
が立ちこみ約一ヵ月後のアポイントとなってしまう。
と、、言うことは美術館へは11月という事となってしまい、当然その年
の販売など到底無理、もともと先のブログの内容の時点でその年は無理
だったのである。もちろん通販側も無理なのは承知していたであろうと
勝手に想像していた。何度か問い合わせの電話もあったが毎回はぐらかして
いた。
この間の進捗を通販企画側に伝えたのである。
そこから社内的な調整を図るという事であったが、正直スケジュール的
には来年末でしか無理なのは明白であった。実際この時点で私は
この会社でなくても、とにかくこの国宝の複製は作ってやろうと腹を
くくっていた。相手側がどんな結論でどんな要望を出そうが、もうこちらの
出来ることに沿わなければ断ろうと決心したのであった。
通常の販売物のようなスケジューリングや販促や制作など、この国宝
には到底通用しない。先ずは美術館側のスケジュールありきであり、挨拶一つ
にしても1ヶ月かかるのである。こんな進捗スピードで考えれば数ヶ月
でなんとかなど無理に決まっていた。実際この後丸一年でもカツカツのスケ
ジュールであった。
通販側の反応は…
社長の鶴の一声で
大事に進めなさい。という事であったらしい。。。
つづく。
前回お話させてもらいましたが、この時社長から一つの指示が
ありました。企画書を作れ、ワンシートで・・ということでした。
A4のワンシート。
簡単なようですが意外と難しいものです。
しかし、当然そなのだろうとも思いました。
忙しい上層部の人間に企画を伝える場合、長々と色んなことを書き連ねても
絶対まともには読んではくれない。大体時間をもらって打ち合わせに出向いた
場合、MAX1時間しかない。その間で重要な事を内容濃く伝えるとなると
それなりの集約したものを準備しなくてはいけないのは当然のことである。
ゆったりとした時間の中で、仮に興味を持っていただいたとしても
要点を説明せよ!となるに決まっている。
だからこういう場合はワンシート、しかも図説であるべきなのである。
急ぎ作った。
結論は意外なほどあっさりOKであった。
大阪で会った商社の担当がかなり綿密に根回ししていてくた事、及び
前回のブログで書いた、以前の義理に対する事、そして何よりも、大儀の
部分がこれまでは複雑な歯車で決して合致しなかったものが、今回寸分
違わず合致したのである。想像していた通り、美術館もなんらかの形で
もっとオープンに外部との接触を図らなければならない分水嶺の時期では
ないかと危機感を持ち始めていたのであった。。
すべてにおいてタイミングが良かったこと、何よりも特殊法人の運営について
関する国の考え方が変わるタイミングとも合致していたのが追い風となり
大きかった。
ただOKというのはあくまで窓口商社側が美術館側への折衝に動きますということで、
完全にOKという事ではない。美術館がOKするかどうか、これには二つ関門がある
一つは認証を前提に校正させてもらいますということである。もう一つは実際に
認証するかどうかであった。
しかし、いずれにしても窓口商社が動くということは第一段階の認証を前提としての
校正に関しては勝算がつかめている証左であると私は踏んだ。
ここから先、窓口商社に対する具体的なプレゼンに取り掛かるという
事が始まります。それをもって具体的な説得に動く訳である。
そのために私が再度数回に渡り窓口商社に伺い、詳細な説明を商社側に
行いました。制作手順、販売方法、ライセンス契約に関する構想、制作会社
の来歴、等々。。。
そこで出た課題として、商社側が美術館に紙資料をもって趣意及び販売に至る計画
は当然伝えるが、具体物を準備してくれないかという要望が出たのでした。
この内容が出た瞬間、これは間違いなく“複製品を作れ”という指示に他ならないと
感じました。端から断る考えで、わざわざ具体物の準備まで美術館は求める筈が無い!
具体物とは、こういう形で作りたいですという、精度は低くとも目に見える
ものの容積や雰囲気を伝えるツールの事であり、今回の企画は実物の1/2
スケールで作る計画であった。織物やミュージアムグッズ程度の過去作った
ものに対する認識はあったが、屏風を完全な複製として美術館が承認すると
いうレベルでの仕事ははじめてであったためその必要性が求められた。
それと、やはり具体的な強い意志、美術館に認証を求めたいという内容
を示すためにもそれは必要とされたのであった。
という事で帰社後、早速印刷会社と屏風製作会社を召集し会議を行った。
おおよそ認証を受けられる段階まで進行していくだろうという旨の内容を
伝え、今回の課題である具体的サンプルの制作について話を進めた。
そこで今後具体的に問題になるだろうなぁという制作上の根幹部分に
突き当たった。
それは印刷会社からの質問で
データーは?という事であった。
そうなのである、当然と言えば当然なのであるが、現物を複製するデーターが
必要なのであった。今回のサンプルについては、安直であるが、私は一般的に
流通している画像をスキャンし拡大するという事で考えていたが、先々実際に
複製し、それを認証してもらうとなると、相当精度の高い画像データーが必要
となる。当然、これを手に入れる場合、撮影というのが一番良い手段なのであるが
年に一度、厳重に管理され40日しか公開しないものを民間のしかも“これから
作りたいんですけど?“というような業者にそんなに簡単に撮影許可が降りる
筈はなかった…そうなると、美術館で管理している画像データーを借り受ける
という事になるが、、これを簡単に貸し出してくれるのだろうか??という疑問
に突き当たった…・
この問題に関しては、この会議で結論が出ないので、私が預かることとした。
が、、、、急ぎ商社窓口の担当に電話を入れ、その可能性を確認したが、それは
認証をする方向で作っても良いという結論を得る段階で話を持ち込まなければ
答えは出ないという事であった。当然である。しかしながらレベルの高いものを
作る意思を先方に伝えるわけであり、その必要性は理解してくれると思うとの事で
あった。。
まぁ中途半端な話では在るが、とにかくサンプルを作りその話の流れの中で
動くこととした。。。が、、、これが後々大問題に発展するのであるが…この時点では
実に気楽に考えていた。。。。。
そして、、
サンプルが出来上がった。
おみやげ物のミニ屏風から画像をスキャンし拡大したものにしては
かなり精度の高いものとなった。
この間、印刷会社では刷り出す紙の選別と、その紙が屏風の表具に
向くか否かのテストを繰り返し行ってもらっていた。紙の伸縮率であったり
裏打ちしたのち表面インクの色の出具合であったり、実に細かいテスト
が必要であった。とにかくその辺りの作業と平行してサンプルは仕上がった。
サンプルを窓口商社に持ち込み、最終的な説明をして預けた。
この時点でほぼ認証を前提とした校正を受けてもらう関門を突破する臭いは
プンプンしていた。。。間違いなく進んでいける!
数日後正式にOKのサインが出たという連絡が入った。
この時点で最初の通販企画側から電話を受けて半年が経過していた…
この段階を整理すると、複製品を作ります、その複製品を美術館として
認証していいいかどうか検討しましょう、よって出来たら見せなさい。。
しかしながら認証できないかもしれませんよ!というだけの段階である。。。。
その為に半年かかったのであった。と、、ため息がでるが、、、
まぁいずれにしても前進である。
そこで制作関係者で挨拶に伺う段取りを組む事とし、窓口商社を通じ
美術館にアポイントを取ってもらったのだが、美術館側のスケジュール
が立ちこみ約一ヵ月後のアポイントとなってしまう。
と、、言うことは美術館へは11月という事となってしまい、当然その年
の販売など到底無理、もともと先のブログの内容の時点でその年は無理
だったのである。もちろん通販側も無理なのは承知していたであろうと
勝手に想像していた。何度か問い合わせの電話もあったが毎回はぐらかして
いた。
この間の進捗を通販企画側に伝えたのである。
そこから社内的な調整を図るという事であったが、正直スケジュール的
には来年末でしか無理なのは明白であった。実際この時点で私は
この会社でなくても、とにかくこの国宝の複製は作ってやろうと腹を
くくっていた。相手側がどんな結論でどんな要望を出そうが、もうこちらの
出来ることに沿わなければ断ろうと決心したのであった。
通常の販売物のようなスケジューリングや販促や制作など、この国宝
には到底通用しない。先ずは美術館側のスケジュールありきであり、挨拶一つ
にしても1ヶ月かかるのである。こんな進捗スピードで考えれば数ヶ月
でなんとかなど無理に決まっていた。実際この後丸一年でもカツカツのスケ
ジュールであった。
通販側の反応は…
社長の鶴の一声で
大事に進めなさい。という事であったらしい。。。
つづく。
