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又兵衛と又兵衛





後藤又兵衛 豪傑の中の豪傑なり



歴戦の猛将。主君・黒田長政と


うまくいかず黒田家を出奔。



長政の「奉公構」の干渉のため、
流浪に流浪をかさね、、、京へ



乞食にまで身をやつし再起をかけた猛将。


大坂夏の陣の道明寺の戦い、



孤軍でおよそ8時間も奮戦し10倍以上となった


相手に対し突撃を敢行し、乱戦の中に討死。



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創作であるが、



大阪の陣入城の際の


後藤又兵衛の姿と


それを気遣った武具屋のオヤジの


話が大好きだ!!




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聖ヤコブをしるした長旗六旈を翻し、旗指物も


花十字架の意匠という異色の部隊を率いて入城
した明石全登 


兵五千の大軍を擁して入城した長曾我部盛親


そして 六文銭の旗印・真田幸村



綺羅星のごとき武将の入城が続き
 


その熱気も冷めやらずざわめく大坂の城下町に



菰一つを背にした大男が到着した。


誰あろう、、後藤又兵衛基次。



黒田家の家臣でありながら大名格の
一万石以上所領したこともある男、、、、


関ヶ原以降黒田家当主との確執にて
出奔。



流れ流れ


京の都で乞食にまで身をおとし
再起にかけた戦人



その男が、、、、、


供一人連れるでもない


たった一人の入城・・・・・




小鬢は白く
 

身なりは乞食と大差ない




しかし眉は太く

双眸はらんとして輝きがあって長身

がっしりとした体躯は、、、



語らずとも戦場の往来の古豪であることを物語っており



垢じみた衣服、裾の擦り切れた野袴をもはじき返すばかり
であった。



ボロをまとったその男の 決意と歓喜を秘めた顔つき



落魄の境遇を愧じる色が微塵も見られない、、、、



悠揚迫らぬその態度と雰囲気を察してか人々は 



自ずから道を空けその後姿に 見とれた・・・・



いづれ 名家の御家中であろう・・・・




そんな 又兵衛が大坂・天満橋あたりに達した時



通り沿いの武具屋から、はじかれた様に驚喜し



飛び出してきた小男



「又兵衛どの!」 


「黒田の又兵衛どの!」


「後藤又兵衛基次さまではありまへんか!?」




この男こそ


又兵衛と同じ 播磨の出 そして同じ名を継ぐ奇縁を持つ



武具屋 又兵衛




「天下の後藤又兵衛さまが、、供連れもない御入城なんて」



「あきまへん!」




そういい捨てると


呆れる又兵衛を尻目に 甲冑・かぶとは言うに及ばず


馬から 供揃えまで あっという間に集めてきたのです



「おいおい 見てのとうりの乞食侍 銭など持たぬぞ」




笑う又兵衛に



「何を仰います!天下の又兵衛さまを一人で入城させたら」



「大坂商人 末代までの恥!」




そう叫ぶと 主人・手代一同が深々と頭を下げ



御武運を!! 




そう言って 立派な武者姿の又兵衛が 



馬上豊かに



大阪城に入城していく後姿を




いつまでも いつまでも 見守っていました




豊宣 『大坂軍記之内』-後藤又兵衛-
 大判錦絵三枚続 一部分

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