December 19,2024
"Decade"
COMBINE/BAMI gallery 京都・島原移転10周年記念展
2025.01.11 (sat) - 2025.01.19 (sun)
★皆様方へ感謝の意を表したくささやかではございますが
会期初日1月11日(土)午後4時頃よりギャラリーにて記念
パーティーを催し、作家達と歓談できる場を設けたいと
考えておりますので、ぜひ、どなた様もお気軽にお越し
ください。
★会期中/OPEN 13:00~18:00
※最終日午後4時閉廊
COMBINE/BAMI galleryは2008年12月8日、 京都市下京区寺町
のビルの一角にて誕生いたしました。 昨年は2023年設立15周年
を迎えさせていただきました。
2015年1月、COMBINE/BAMI galleryはプライマリーギャラリー
としてギャラリーと作家が 二人三脚でそれぞれの生き方を
問い続け、 このアートの世界を生き抜いていくという想いを
強固なものにする為に 現在地の京都市下京区二人司町/
通称・島原に拠点を移しました。
その日から2025年で10周年を迎えさせていただく事が出来
ました。 最初に掲げた想いがどれほど形に出来たのか甚だ
疑問ではありますが 、しかしこの度の10周年を迎えること
ができたのは、全て皆様の おかげと心より感謝しております。
10周年の大きな節目に当たり、これまでの足跡を振り返ると
共に、 未来にに向かって進んで参ります。つきましては、
この10年そして 新たなる決意、その想いをそれぞれの作家が
作品に込め表現した COMBINE/BAMI galleryのアーティスト達
によるグループ展"Decade"を 開催させていただきます。
皆様におかれましてはご多忙のところ誠に恐縮ではございます
が、 何卒ご来駕賜りますようご案内申し上げます。
出品作家: 釜匠、岡部賢亮、松本央、宮本大地、公庄直樹
小橋順明、八木佑介、佐野曉、阿部瑞樹
★出品作品と作家コメント
釜匠 「亀の甲羅のキャビネット」
2024/木製パネルに綿布・アクリル絵の具/116.7×91cm(F50)
画家として絵画作品を制作するようになって常に気を付けている
事があります。それは、自分の作品のイメージや概念を自分自身
で過剰に固定化しないという事です。
学生の頃、「作品の一番の誤解者は作者自身で、一番の理解者は
鑑賞者である」という言葉を聞きました。当時は首を傾げるだけ
だったこの言葉が持つ意味は、画家として活動してきた十数年の
間に私自身の中で大きく変化してきました。
どれだけ強い想いを込めたハンドメイドで作品を生み出しても、
展覧会場に展示された瞬間に作品は独り歩きを始めます。それは
まるで車の整備士がピットからレーシングカーを送り出すようだ
と感じることがあります。かつてはドライバーであることこそが
重要だと思い強くハンドルを握らなければならないと考えていま
したが、画家はドライバーではなくて過酷な環境を耐え抜いて
華麗なコーナリングで観客を魅了するような作品をコースに送り
出す整備士なのかもしれないと今は考えるようになりました。
重要なのは私自身ではなく、作品そのものなのだというシンプル
な事に改めて気付いた時、私は私自身の呪縛からスッと解き放た
れたような心地になると同時に、これからの作品の新たな可能性
にようやく気付くことが出来たのです。
松本央 「本日も営業中」F30 72.7×91㎝
パネル、キャンバスに油彩
10年前の私には、画家として活動を続けていることも、作品が
現在のスタイルの様に変化することも、全く想像できませんで
した。多くの人に助けられ、ご縁をいただき今日まで導いてき
ていただいたのだと思います。
思えば、いろいろな作風を模索しあがいてきた10年でした。
上手くいかなかったことや失敗も山ほどあります。でも、それら
が無駄で、遠回りであったとも思えません。
なぜなら、これまで自分が経験してきたことの積み重ねの結果
が、良くも悪くも今の自分の作品を形成していると納得できる
からです。
ですので、これから先のことなんて私に聞かれてもわかりませ
んし、おそらく誰にも分からないでしょう。この先にどのよう
な未来になろうとも、その時の自分が納得できるように、今で
きることをやり続けるしかない、と思っています。
岡部賢亮「ゴーレム」H32×W11×D9(cm)
ジェスモナイト、アクリル絵具、箔押し
この10年 沢山の出会いがあり、別れもあった。その度に私は首
をかしげ、私は上手くやれているだろうかと沈思黙考する。私は
いつ完成するのだろう?伽藍堂なゴーレムのようにこの先ずっと
未完成なままかもしれない。ただ この10年を振り返ったうえで
これからの10年に思いを馳せると未完なままでも悪くないとも思
えてくる。10年後の私もきっと首をかしげ、私は上手くやれてい
るだろうかと今日の私に問いかけているかもしれない。
宮本大地「時層」F6(41×31.8㎝)
キャンバスにアクリルガッシュ
BAMIgalleryが島原へ移転して10年。
当時大学時代を含めてもほとんど展示経験がなかった私は、現在
のBAMIgalleryに移転し二階をアトリエスペースとして制作させ
ていただいてから本格的に作家活動が始まった様に感じる。略歴
に載せていただいている様々な経験は一階二階を含めたこの建物
と共に歩んできた。
そんな10年の中での一つ一つが積み重なって現在の自分の作品が
存在していると思うが、その自分の作品と言われるものがこれま
でに少なからず積み重ねてきたものに縛られている様に感じる事
も増えてきている。
この場所でこれからも描き続けていく。
10年積み重ねてきたものを大事にしながらも、今一度フラット
な自分としてこれから先の10年を進みたいと思う。
八木佑介 第一種低層住居専用地域 F12 木製パネルにキャンバス
、砂、小石、土絵具、岩絵具、墨
10年前の今頃、私は大学院の修了制作を描いていた。その合間合
間で、BAMI galleryへと改装を手伝う為に通っていた。皆で、
掃除をしたり、壁を塗ったり、埃まみれで弁当を食べたり、今で
も楽しい思い出だ。
そうして大学を出て10年経った。なぜ絵を描くのかという自問自
答を10年間、幾度としてきたが、最近の有力説としては自分は手
を動かしていることが心地よい動物なのだという、なんだか一周
回ったようなことを思っている。
私と美術、私と社会、社会と美術、まだまだ自問自答をしながら
これからの10年も歩んでいきたい。
公庄直樹「白いりんご」制作年:2024
サイズ:H6×W5×D5cm
マテリアル:栃、黒檀
公庄直樹「黄色いりんご」制作年:2024
サイズ:H6×W5×D5cm
マテリアル:イエローハート、黒檀
いつもは動物をモチーフに木を彫って作品を作っています。
しかし何年かに一度動物以外の物、例えば植物や無機物を作りた
くなることがありました。それは何となく衝動に駆られてやって
いた事だと思っていましたが、今振り返ってみるとそれを境に自
分の作品の傾向に大なり小なり変化があったように思います。自
分にとって動物以外の物を作るということは作品が変化なり進展
なりしていく為の通過儀礼だったのかもしれません。
BAMI galleryが島原に移転して10周年を迎える今、自分にとって
もギャラリーにとっても何か良き変化があることを願って敢えて
自分のメインテーマである動物ではない「りんご」を彫りました。
小橋順明「皿に蟻(ありがとう)」2024
H2.2×W18.3×D18.3cm
陶(備前土・磁器土・ラスター彩)
BAMIgalleryにお世話になって10年。
のびのびと挑戦的な展開をさせていただいたと思い返し、ここか
ら様々に美術家としての仕事も広がり、このように社会との接点
を持たせていただけていることに感謝するよりほかありません。
展覧会、作品を目指して足を運んでくださる方、自分のことを気
にかけてくださる方がいる。それだけでもう少し、この仕事を続
けられます。今後ともよろしくお願いいたします。
佐野曉「黒の立像」2024
36×10×10㎝ 乾漆、木
"10年"
一つの 節目となるこれまでの年月を振り返り、また今これから
の10年後へと思いを巡らせた時、今現在という座標点の上に立ち
上がる像の姿を結んでみたい。
阿部瑞樹「観」
53×45.5cm (F10)
木製パネルにキャンバス、アクリル絵具、錫箔
10年前、27歳だった私は大学で助手及び非常勤のアルバイトを
しながら自身の画家としての現状に疑念を抱いていた。そんな
折、BAMI galleryが京都・島原へ移転し作家と一緒に改装工事
していると聞きその様子を見学させてもらった。
まだ綺麗な白い壁も明るい照明もなく工業用ランプが照らす薄暗
い空間だったけれど、その場から煮えたぎるような熱量を感じて
自身の現状を打ち破りたいと感じた事を覚えている。
それから10年、自分にできる事・できない事や自分という人間の
本性を痛烈に思い知る時間だったように思う。等身大の自分を認
めて画家として生きるため、この先10年を一歩ずつ歩んでいきたい。