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N→S
4月15日からBAMIgalleryにて個展「N→S」を開催いただきます。

N→S

午前2時18分、京都市下京区二人司町のBAMI galleryを出発し、午前3時49分、久世郡久御山町栄4丁目の自宅に到着するまでの帰路、約14kmの間で等間隔に5箇所の地点を決め、そこに出発点と終点を合わせた7箇所の光景を描く。そして再びそれらの光景を私の辿った順番で等間隔にBAMI gallery内に配置する。細長いギャラリー空間の入り口から奥へと進む鑑賞者の歩みと、私の職場から自宅までの移動が重なる。展示空間内に深夜の都市を転移させることを試みる。

 点から点への空間移動、例えば職場や学校までの往復、リビングから寝室への往復、私達は日々、それぞれの役割を持った場所から場所へと移動する。私がそれぞれの地点で観た普段では見過ごすような街角の建造物にも役割があり、それらを大小の舗道が繋いでいる。それは緻密な蟻の巣のようでもあり、各組織、器官を管で繋ぐ生物内部の基本構造のようでもある。都市は膨大な人口を抱えながら、社会性の中で統制、制御され、血管を通る赤血球のように、都市を網羅する舗道により各所へと人は運輸され、それぞれの場所で人々はそれぞれの役割を果たす。老朽物は代謝されながら、都市は肥大萎縮を繰り返す。私達が日々行う点から点へと向かう空間移動に沿うように、もしくはそれを促すように都市は形成されて行く。

深夜、無人となったはずの街を均等に並んだ街灯が照らし出し、横断歩道の信号機が点灯していた。闇を覆い尽くそうとする人工の光によって照らされ浮かび上がる空虚な光景は、人間が築き上げた居住域のあり方である。今回の展示では、私の観た都市の光景を一点では無く、連なる線で示す。この凡庸な都市の光景は誰しものすぐ側に在り得る光景であり、この京都市内から南部郊外への移動空間内を切り取った光景の一片は、世界中のいずれの都市の中でも適合する形を持つ。文明により成熟し確立された都市の形。そこに現われているのは普遍的な人間の生態であり、都市の断面図を点と点を繋ぐ線によりギャラリー内で空間として構築する。私達は何処へ向かっているのか、私達の暮らしている今夜の都市の姿を描き、そこから人類の姿について、7点の絵と空間によって辿る。






2017/02/04 3:44
530×530(mm) 麻紙、岩絵具、顔料


BAMI galleryでは4年ぶりの新作での個展です。

ぜひご高覧ください。


八木佑介 N→S
2017.04.15 (sat) - 2017.04.24 (mon)
BAMI gallery

OPEN 12:00~18:00

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