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わたしたちの久御山町


2019/06/13 2:00
37.9×45.5cm 綿布、岩絵具



京都府南部に位置する人口1万6千人の小さな町、久御山町。社会科の授業で与えられた副読本「わたしたちの久御山町」から小学生であった私達は町を学んだ。
見慣れた光景、変わった光景、あらためて町について調べた中で目に留まるようになった光景。

かつて町北部から中部の一帯には巨椋池という周囲16kmもの巨大な池が広がっていたらしい。多様な水生植物や野鳥が生息し、漁業や蓮の収穫が行われていた。反面、洪水は頻発し、明治期の河川改修で水質が悪化、伝染病が流行ることとなる。1941年、ポンプ機場からの排水によって、食料増産の為に干拓田となり、北西部の東一口地区に住んでいた漁師達には農地が与えられた。
1966年、旧国道1号線のバイパスとして現国道1号線が開通し、周囲は工業地帯として大小多くの企業が誘致される。加え、近郊のベッドタウンとしても住宅地が整備され、町の東部に久御山団地が建設された後、1985年には人口はピークを迎え19136人となる。
1999年、郊外型のイオンモールが開店、2006年には現国道1号線の更なるバイパスとして巨椋池干拓田の中に第二京阪道が開通、久御山ジャンクションが建設され、付近は重要な交通結節点として開発指定区域となり、現在、建設工事が行われている。都市計画により集積された工業地帯、大型商業施設に町外から通勤してくる人の数はほぼ久御山町の人口と同じであり、その比率は全国の市町村で3番目の高さである。




2018/11/30 2:43
130.3×163.0cm キャンバス、岩絵具


他の市町村と同じく人口減少の中にある久御山町を見回す。夜、人工照明による光景から人間の痕跡が浮かび上がる。環境に対してこれ程影響を与える生物は人間だけだ。交通の利便性により住民を増やしたこの町は、近郊の都市から切り離されてしまわないように、新たにとてつもなく巨大で複雑な久御山ジャンクションを建造した。巨大なショッピングモールに立ち並ぶいくつもの店舗達は、より豊かな生活が得られるのだという幻影を、十分に物を持つはずの私達に抱かせる。2000年、水害防止の為に新設された2つ目の巨椋池排水機場の照明は、征服した地に掲げられた旗のように、広大な干拓田の何もない闇に掲げられている。切実に、私達は生きようとしている。命を脅かす自然の力に対しては強固な鉄筋コンクリートを打ち立て、近代以前の風景は不便なものであったとし現代技術で塗り替えることで、相対的な進歩を感じる。都市は私達の不安と弱さを映している。

過度に巨大な都市の儚さ。私達はいつか光り輝く文明の脆さを知り、それは蜃気楼であったかのように消え失せるのだろうか。うねる波に最初に飲み込まれるのは大きな船でなくその周辺の小舟であるように、この小さな町が「わたしたち」の行く先を指し示している。
私の育った新興住宅地も少しずつ老いていく。成長を終えた先進国であるこの国の小さな町で、アスファルトに溜まった日中の熱気も失せた時間、深夜の空気は冷ややかで穏やかに凪ぎ、私は心地良いと感じる。前へ進むため、整理すべき時代についての記録行為、きっとこの展示は記念碑であり墓碑でもある。




2019/06/13 2:17
33.3×24.2cm 綿布、岩絵具


13日(金)からBAMI galleryにて個展を開催致します。
ぜひお越しください。


個展「わたしたちの久御山町」

2019/09/13(金)~09/25(水)
12:00~18:00 (最終日午後4時閉廊)
BAMI gallery
京都市下京区二人司町21

地図:http://www.combine-art.com/html/gallery/ga_access.php



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証展 起展
12月24日(月・祝)より京都・BAMI galleryにて展覧会を開催いただきます。

「証展 起展」

2018年12月24日(月)~2019年1月20日(日)
●12月29日(土)~1月6日(日) 閉廊

12:00~18:00(最終日16:00閉場)

BAMI gallery
〒600-8824 京都市下京区二人司町21
http://www.combine-art.com/html/gallery/ga_access.php




「2018/11/09 2:21」
F15号 53.0×65.1(cm) 綿布、岩絵具、アクリル

作品ステイトメント
11月8日、私は生まれた町を取材した。目の前にある今の風景は、人間達の営みにより造られた。
80年前、池の干拓事業により地平線となる広大な農地が作られた。15年前に開通した高速道路は空を削るように大消費地を繋ぐ。人間は持てる力の限りを尽くして風景を変えていく。
これまでの風景と今日の風景。そして、人間の生まれる以前から、光の散乱現象により夜空は青く発光する。闇に輝く成熟した都市の中、人類の繁栄を眺めながら、私達は人口を減らしていく。



所属作家10名が1点ずつを出品する一球入魂の展覧会になりそうです。ぜひご高覧ください。

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ユートピアとの境界
展示作業が終わりました。
明日、9月13日(木)よりBAMI galleryにて大学時の先輩だった阿部瑞樹さんとの二人展を開催いただきます。
実験的なものとなりますが、是非ご高覧ください。
全日、在廊予定です。

阿部瑞樹 八木佑介 
「ユートピアとの境界」

2018年9月13日(木)〜9月24日(月)
12:00〜18:00 (最終日16:00閉廊)

COMBINE/BAMI gallery
京都府京都市下京区二人司町21

アクセス
http://combine-art.com/html/gallery/ga_access.php




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都市に住む人
5月2日(水)より、京都丹波口・BAMI galleryにて開催される「4展」に出品します。第10回目となる今展では、各々が影響を受けた本を一冊ずつ持ち寄り、作品と共に展示します。
以下、展覧会詳細と作品についてのテキストです。


4展 Shiten Round10 『読書感想作品』

2018/05/02 (水)~05/13 (日)
12:00~18:00
期間中無休
※最終日午後4時閉廊
COMBINE office /BAMI gallery



芸大を目指すことにした私は、授業中、隠れて小説を読んでいた。なんとなく手に取った芥川龍之介、晩年の短編集は私にとって鮮やかだった。今回は「羅生門」を選び、作品と共に展示する。

荒れ果てた京都、羅生門。下人は職を失い、途方にくれながら雨宿りをしていた。「生きるために仕方がない。」という老婆の言葉を聞き、下人は老婆を追い剥ぎし、夜の闇へと走り去る。

深夜、私は風景の取材をしていた。とある橋の下、頭上から降り注ぐ街灯の光を避けるよう、浮浪者が眠っていた。日中、彼の姿はそこには無く、夜遅くになると僅かな日常品を携え、再びこの橋の下へと戻ってくる。私が普段見て見ぬふりをしている彼等も、都市生活者の一人であり、同じく安息の場を見つけ、生きるために眠っている。都市は、住民に何事も無いように整備され、隙間無く明るく照らされることが望まれ、私達はそれを当然の事として享受する。だが、彼等にとっては辺りを囲む街の光も邪魔でしかない。都市文明はあらゆる貧富や善悪を含んでいる。
飢えから逃げるために、私達は都市の下に集まり、分業し、恩恵を受けようとする。「生きるために」、私達の向かう行方は誰も知らない。




2018/04/04 2:14
2018 40.9×40.9cm(6号) 綿布、岩絵具、顔料


近くではKYOTOGRAPHIE、KG+の写真展も開催中です。
連休中の外出などに、どうぞご高覧ください。


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今夜の光景
私が見た光景。

深夜、無人の街を散策する。
私達の不安を招く夜の闇は人工の光によって覆われ、目の前には、ありふれた都市の形が浮かび上がる。
文明は殊更、多くの光を夜に配置する。それはまるで、侵略した地に掲げる旗のようでもある。

アスファルトに籠った熱気も失せ、都市には冷ややかな空気が停滞する。
私はこの国の経済、技術、人口が急激な膨張を終えた後に生まれた。
丑三つ時の闇に潜む魔物へと目を凝らすように、午前二時に溢れる光の、その奥へと思いをやる。文明は地球規模に広がり、些細な街の片隅とも世界中のあらゆる場所が毛細血管のように繋がっている。底知れなく深い闇を覗いた時と同じように、その果ての無さに目が眩む。
物に溢れたこの時代に、新たに物を生み出すということ。
その意義と責任に答える為には、それを自らへ問い続けなければならない。
夜を覆う全ての光を点描として描き起こす。

これはあなたの、今夜の光景。





2016/03/18 2:02
60.6×45.5cm(P12号) 麻紙、岩絵具、顔料




2017/06/09 2:18
33.3×33.3cm(S4号) 綿布、岩絵具、顔料



第二回 八木佑介日本画展
「今夜の光景」

2017年7月19日(水)~25日(火)
10時~20時(最終日は17時閉場)
あべのハルカス近鉄本店 タワー館11階アートギャラリー

http://abenoharukas.d-kintetsu.co.jp

どうぞご高覧ください。



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