April 6,2021
4月12日(月)よりBAMI galleryにて個展を開催いただきます。VOCA展 2021の出品作を中心に新作4点を展示予定です。ぜひ、ご高覧下さい。
30才になっていたので、あらためて存在の行為の理由について展覧会のステイトメントに思ったことを少し書きました。
八木佑介 「進路」
2021/04/12(月)~04/25(日)
休廊日 4月17日(土)、18日(日)、24日(土)
12:00~18:00
※最終日午後4時閉廊
BAMI gallery
京都府京都市下京区二人司町21
http://combine-art.com/html/gallery/ga_access.php
ステイトメント
地中に隠されていく電線。我々は何故電線を見たくないのか。
かつて電線のある風景は近代文明化の象徴であった。文明の根底には人の生存本能がある。衣食住を始めとする生産消費活動はより合理的に更新され続ける。都市に溢れる、文明のもたらしてくれる様々な製品は、その内面に我々の強烈な生存本能があることを覆い隠すように、デザインによってパッケージされる。
電力化と通信の普及によって都市の中では電線の密度が上がり、その姿はまるで毛細血管や絡み合う蔦のような形へと似通っていく。それが人の本来の姿であるかのように自然界の形態へと還っていく。
電線というものはデザインが施されず外部に露出した都市の内部構造であり、その密に絡み合う姿にはそのまま人の持つ生への欲望が現れている。
我々は何故電線を地中に隠そうとするのか。私達は私達を見たくないのだ。
昨日より今日と、明らかに科学は進歩し、より合理的な社会へと作り替わる。だが人は変わらない。情や孝行や恩義を重んじる。迷い、悩み、欲望を押さえきれず過ちを犯す。人間性は文明から排されていく。合理性よりも人は一方では合理性を理想とし、一方では個々に感情や欲望を持つ。そのような合理性の外にある、複雑で混沌とした人間的な思考から文化は育つ。人が生んだ文明と文化。文明が巨大な力で世界を変えるならば、対して文化はそこで何をすべきか。絵描きという社会のはみ出し者ができること(はみ出し者だからこそ見えるものがあるのではないか)について。それは、人間という不条理で複雑で矮小で臆病で欲深い存在を認め寄り添い、表すことではないか。気付けば30才になっていたが、自問自答を続けながら、このような道に進もうと思う。

「共喰い」
2020年制作
アクリル、土絵具、岩絵具、顔料、キャンバス
312.5×250.0(cm)

「2:38」
2021年制作
アクリル、岩絵具、キャンバス
37.8×45.5(cm)
30才になっていたので、あらためて存在の行為の理由について展覧会のステイトメントに思ったことを少し書きました。
八木佑介 「進路」
2021/04/12(月)~04/25(日)
休廊日 4月17日(土)、18日(日)、24日(土)
12:00~18:00
※最終日午後4時閉廊
BAMI gallery
京都府京都市下京区二人司町21
http://combine-art.com/html/gallery/ga_access.php
ステイトメント
地中に隠されていく電線。我々は何故電線を見たくないのか。
かつて電線のある風景は近代文明化の象徴であった。文明の根底には人の生存本能がある。衣食住を始めとする生産消費活動はより合理的に更新され続ける。都市に溢れる、文明のもたらしてくれる様々な製品は、その内面に我々の強烈な生存本能があることを覆い隠すように、デザインによってパッケージされる。
電力化と通信の普及によって都市の中では電線の密度が上がり、その姿はまるで毛細血管や絡み合う蔦のような形へと似通っていく。それが人の本来の姿であるかのように自然界の形態へと還っていく。
電線というものはデザインが施されず外部に露出した都市の内部構造であり、その密に絡み合う姿にはそのまま人の持つ生への欲望が現れている。
我々は何故電線を地中に隠そうとするのか。私達は私達を見たくないのだ。
昨日より今日と、明らかに科学は進歩し、より合理的な社会へと作り替わる。だが人は変わらない。情や孝行や恩義を重んじる。迷い、悩み、欲望を押さえきれず過ちを犯す。人間性は文明から排されていく。合理性よりも人は一方では合理性を理想とし、一方では個々に感情や欲望を持つ。そのような合理性の外にある、複雑で混沌とした人間的な思考から文化は育つ。人が生んだ文明と文化。文明が巨大な力で世界を変えるならば、対して文化はそこで何をすべきか。絵描きという社会のはみ出し者ができること(はみ出し者だからこそ見えるものがあるのではないか)について。それは、人間という不条理で複雑で矮小で臆病で欲深い存在を認め寄り添い、表すことではないか。気付けば30才になっていたが、自問自答を続けながら、このような道に進もうと思う。

「共喰い」
2020年制作
アクリル、土絵具、岩絵具、顔料、キャンバス
312.5×250.0(cm)

「2:38」
2021年制作
アクリル、岩絵具、キャンバス
37.8×45.5(cm)