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小さな頃、眠れないことが恐かった。夜は私の知らない時間だった。罪悪感と緊張から私はますます眠れなくなった。父は眠くなるまで一緒にテレビを見てくれた。

定期テスト、暗くした部屋で勉強机に座る。0時、1時、2時、知らない時間へ踏み込んでいく微かな興奮があった。ふと気付くと辺りから音が消えている。窓の外の空気は冷たく凪いでいる。目覚めているのは私だけ。誰にも邪魔をされない、独り占めの夜。3時半頃に新聞配達の音が聞こえてくる。

深夜、私は無人の街を取材する。
魔の潜む丑三つ時、深い闇の中、蠢く何かを私達は想像する。誰もいない午前二時、私は明るく街を照らす光の奥にある都市文明へ思いを巡らす。
彼方、地球上の何時何処へでもこの光景は均一に繋がっていく。一人、光と対峙する。途方もなく巨大な、人類という種の特性に適するよう築かれた人工環境。緻密に張り巡らされた道路網に沿い、当ても無く漂う。
ふと現れる文明の姿。普通の道路、普通の家、普通の標識、この時代の形がそこにある。都市は新陳代謝を繰り返していく。

広島県、福山市の深夜を歩いた。新幹線の線路の近く、小さな路地に入ると古いビルが並び、LEDの街頭が鋭く光を放っていた。新陳代謝の速度は都市によって違う。都市の変貌の歴史を垣間見る。

9月30日(水)より福山天満屋にて個展を開催いただきます。
どうぞご高覧ください。

八木佑介 日本画展 午前二時
福山天満屋
9月30日(水)から10月5日(月)
10時~19時 最終日は17時まで。
全日在廊しています。




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