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着火点
高校生の時、私はロックが好きだった。毎晩ラジオを聴き、毎週TSUTAYAでCDを借りていた。
彼等は叫んでいた。友達も少なく勉強も運動も不得意だった私にとって、そんな彼等がたまらなくかっこ良かった。

「ロックとは」と、ある人はこう定義付ける。
ロックとは若いが故の強さと、若いが故の悲しさだ、と。

私達はどうしようもない。
どうしようもなく生き辛い、どうしようもなく上手くいかない、悲しみ、怒り、不安、孤独。若さは全てに無防備でいる。彼等はだから叫ぶのだ。もがき苦しむ日々の中から、世界に抗い、反し、問う。
そんな風に私は泥のような人生の中をのたうちまわりながらゴミのように死んでいくのかもしれない。
ただ、放つ叫びが、全てを肯定するだろう。伝えんとする意志の起こり、それが芸術の着火点だ。
この場所から始まる。


ふと深夜、海外のスポーツ中継に見入った。
彼等はただ、打球を強く打ち返し続ける。
彼等はそれを仕事としている。
その事へ仕え、その為に生きている。
だから、人間の持つ力の限界へと近づいていくことができる。
彼等のそんな姿に見入る。

絵描きとは生き様だ、と教わった。

いつしか若さが過ぎ去ろうとも私は懸命に生きていきたい。
強さと悲しさを抱え、どうしようもないままに生きていきたい。
そうやって、叫ぶのだ。
それが本当であるべきだ。

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