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歩き旅 part3
3日目の朝。
疲れもとれて、完全復活!!のはずだったんですが…。
私は、甘かったようです…。
朝起きても、足の状態は前日のままでした。
ホテルの部屋の中をちょっと歩くのにも、足を引きずって、少しずつしか歩けません。


どう考えても旅を続けられる状態ではありませんでした。
(いや、でもここであきらめるなんて早すぎる!)
と思ったけれど、どうしようもありませんでした。
かなり情けないですが…。


(でも、せっかく姫路まできたのだから、最後に姫路城だけでも見て帰ろう…。)
と、自分を慰めました。
ホテルの人に聞くと、姫路城までは歩いて10分程度ということでした。
それなら、足を引きずりながらでも、なんとかいけるだろう、と思い、
いざ、姫路城へ!


けれど、思った以上に足が動かない。
ちょっと歩いては、休み。歩いては、休み。
ジャージ姿で大きな荷物を持って、足をひきずりながら、街なかを歩く私を、
不思議そうに振り返って見る周りの人の視線が気になりつつも、
(こうなったら、おかしな人になりきるしかない)
と思った私は、
できるだけの無表情を装い、ただ前だけを見つめ、
まるで
"私には、どうしても行かねばならぬところがあるのです。
私には、今、その目的地しか見えておりません"
とでもいうような異様な雰囲気を醸し出しながら、一歩ずつ一歩ずつ足を動かしました。
(本当は、すぐそこの姫路城に行くだけだったんですが…。)


そして、やっと姫路城の前に着いた時には、
ホテルを出てから、すでに1時間が経過していました。
(こんな短い距離に、1時間もかかるなんて…。昨日まであんなに元気に歩いていたのに情けない。)
すでにクタクタだった私には、
そこから天守閣までの距離が果てしなく長く感じられたため、天守閣に行くことはあきらめました。
とりあえず記念にと思い、近くにいた人に入り口で写真を撮ってもらい、
その後、少しベンチで休んでから、
ゆっくりゆっくり姫路駅まで歩いて帰っていきました。





姫路駅から大阪駅までは、快速電車で約1時間ほどでした。
短すぎる乗車時間。
(電車は速いなぁ…)
帰りの電車に揺られながら、窓の外の風景を眺めていると、いろんなことを考えます。

旅に出たいと思った理由、そして旅をして気づいたこと。

旅の間、初めての場所、見知らぬ人、ちょっとしたハプニングなど、
色んなことに良い具合に意識がいって、一つのことに集中しすぎるということがありませんでした。
目の前にいる人や、ちょっとしたことに意識がいき過ぎて不安になる、
そういうことは一切ありませんでした。
久々の安定した感覚でした。
少し希望の光が見えたような気がしました。
そして、少し淋しいという気持ちにもなりました。人恋しくなりました。
これも久々の感情でした。(大変贅沢なことですが…)
あっけなく終わってしまった旅のようでも、意外と良いこともあったようです。
(休憩したくなったら、また旅に出てみよう。)


こうして、「大阪から下関への歩き旅(1週間くらいの予定)」、
改め「大阪から姫路への歩き旅(2泊3日)」は、
あっけなく幕を閉じました。

そして、後には
下関まで行く予定で用意した資金の余りと7日間の休日が残りました。
普通なら、その残ったお金と休日で、何をしようかな♪というところだと思うのですが、
家に帰ってから、足の痛みはますますひどくなり、立っているだけも辛いという状態で、
その楽しいはずの残りの7日間の休日は、ただただ体を休める自宅療養の日々になってしまいました…。





今も私の本棚の奥には、中国地方のツーリングマップが眠っています。
関西は簡単に通り過ぎることができると思って出発したのに、
結局、関西を抜け出すことさえできず、中国地方には一歩も足を踏み入れることがなかったため、
この本には、一度も活躍の場を与えてあげることができませんでした。

道路のうねりも体の疲れもまったく考えず、
日本地図を見て、目分量でだいたいの距離と日にちを割り出し、
「これは、行ける!」
と、単純に実行に移してしまった、私の無謀でマヌケな旅。

今は、良い思い出です。





紅葉がきれいでした

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