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歩き旅 part1
生活をしていると、時々、日常を休憩したいなぁ、と思うことがあります。
日常を休憩する方法は、
映画鑑賞、読書、芸術鑑賞、音楽、スポーツなどなど色々あると思うんですが、
私にとって、最大の休憩手段は"一人旅"です。

一人旅では、日常出会う人や、場所から離れて、
少しの間、別の空間を体験することができます。

というわけで、
そんな私がこれまでに行った一人旅について、ちょっと振り返ってみたいと思います。





私が生まれて初めて思いついた一人旅は、これでした。
「大阪から下関への歩き旅!」

大学3回生の時でした。
確か、11月頃だったと思います。
テストの関係で、大学が10日ほど休みになることがあり、
この期間に旅をすることを決意しました。

その頃、まったく運動をしていなかった私は、
旅に出るまでの3週間、
当時、下宿生活をしていた家の近くを流れる鴨川の土手を
毎朝、30分ほどランニングしました。
これで、体力作りはバッチリ!(と思い込んでいました…。)

そして、国道などが載っている大まかな地図を購入しておこうと本屋に行ったのですが、
関西は簡単に通り過ぎてしまうだろうと軽く考えていた私は、
中国地方のツーリングマップのみを買い、
そのまま、出発の日を向かえました。(浅はかでした…。)



出発地点は「JR大阪駅」
そこから、ひたすら西に向かって歩く、歩く、歩く…。とにかく歩き続けました。
お昼頃、道沿いの公園で、家で作ってきたおにぎりを食べて、また歩く、歩く…。


途中で、海が見えたりして、
(なんだか気持ちいいなぁ。)
などと思いながら、旅を満喫していました。
けれど、しばらく歩き続けていくと、建物がなくなり、人気もなくなり、
車だけがひたすら横を通りすぎという状況。
しかも、だんだんと日も落ちてきて、少しずつ不安になってきました。
(どうしよう、このまま何もないところで、真っ暗になってしまったら…。
 そうなったら、とりあえず、建物のあるところまで猛ダッシュしよう。
 でも、そんな体力残ってるかな?)
けれど、完全に日が落ちかけた時、前方に少しずつ明かりが見えてきました。
(助かったぁ!)


その明かりは、どこかの駅の駅前の建物の明かりだったようで、
私は、その駅の近くにあったマクドナルドで夕食を食べました。
そのマクドナルドの店内からは、
なんと、ライトアップされた大きな橋が見えていました!
(もしかして、これがあの明石海峡大橋かな!?)


そして、その夜、どこに泊まるか迷ったのですが、
残りの旅に備えて、資金を節約しておこうと、
駅前のカラオケボックスで夜中のフリータイムを利用して、泊まることに決めました。



フリータイムが始まるのは夜11時からだったので、
人通りの多い駅前のベンチに座って、しばらく時間をつぶすことにしました。
すると、突然、40才くらいの女性の方に声をかけられました。
「何か悩みごとはありませんか?」
何かの勧誘のような方に見えたのですが、私は正直に
「そうですね…。色々ありますが、なんとか頑張ってます。」
すると女性は、私の格好(ジャージにバックパック)を不思議そうにチラチラ見ながら、
「今は、誰かを待っておられるんですか?」
そこで、私は、またまた正直に、
大阪から歩いてきて、今、カラオケボックスのフリータイム待ちであること、
そして、目的地は下関であることを説明。
すると、その女性は、
「へ、へぇ~、す、すごいですね~。頑張ってくださいね~。」
と言って、ちょっと後ずさり気味に去って行かれました。


(あ、あれ、行っちゃうの??)
何かに誘われるのかと思ってたので、少し拍子抜けしてしまいましたが、
もしかして、ちょっと気持ち悪い人だと思われたのかな!?
私は、ちょっとホッとしたようなちょっと淋しいような複雑な気分で、
その人が去っていく後ろ姿を眺めていました。



まぁ、それは、さておき、
夜も更け、やっと11時になり、私はカラオケボックスに。
こんな身なりで、夜中に一人でカラオケに来たら驚かれるかなぁ、と思っていましたが、
受付の方は、全く驚く様子もなく、
「お一人様ですね。フリータイムのご利用でよろしいですか?」
と、普通に対応してくれました。
(もしかしたら、ここには、私みたいな人が、意外としょっちゅう来るのかな?
 意外と世の中には旅好きが多くて、
 しかも、カラオケボックスを利用している人が結構いるということ??
 やっぱり、みんな考えることは似てるのかなぁ…。)
などと余計な穿鑿をしながら、自分の部屋に行き、
とりあえずカルピスを一杯だけ飲んで、そのまま寝ることにしました。
椅子が固かった上に、他の部屋の人の歌声が気になって、夜中に何度か目が覚めましたが、
なんとか、体を休めることはできました。



- 続 -

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