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2018.06.19 [Schedule] coming soon

The Cargo Cult

Apollo Forgotten 2
コインを入れて力いっぱいレバーをひねると、指先の奥に心地よい重みを感じると同時に 勢いよく転げだすカプセルのたまご。

Will Daleksonの描き出すロボットやアンドロイドは冷たい鉄の塊ではなく、そんなカプセルの中から弾け出したような少年ぽさ、粘土のようマットなやわらかさ、スウィーツのような甘さが混同している。 なのにわたしにはどうしても 絵の中のロボットや少女たちの表情がアンニュイに見えてしまう。

 ほんの数十年前までのわたしたちは、「あったらいいな」を形にしてきた。
機械がお掃除してくれて、洗濯だってボタン一つ!汗水たらして家事なんてしなくたって機械の力を借りればあっという間に作業は終わってしまう。
魔法の道具たち!!…それは「不便利を便利に」変えるために遂げてきたテクノロジーで、家事からちょっぴり離れた女性たちは、おかげで少し自分の時間をもてるようにもなった。

 Will Daleksonの描く“そう遠くない未来”の少女は、ロボット達に髪をスタイリングしてもらい、爪には真っ赤なマニキュアを塗ってもらう。それは現代のわたしからしたら、なんて優雅でスマートなライフスタイルなんだろう!!…でも絵の中の少女の表情は、やっぱり“アンニュイ”。

「不便利を便利に」変えるために テクノロジーは進化してきて現代に至るけれど、“現代”から遠い“未来”に向かっては 便利さなんて“当たり前”で、もう「不可能を可能にする」ために進化を追求するしかなくなってしまうのかな?

 そんなことをぼんやり考えながら 絵の中の少女に問いかけてみる。
『未来のあなたは楽しいの?それとも退屈なの?』
-もちろん返事など返ってくるはずもない。だけど……
わたしは自分がお出かけするときのことを想像する。フンフンでたらめな鼻歌をうたいながら、鏡の前に座って髪をブローする。今日のお洋服はなに着よう?マニキュアの色も合わせちゃおっかな!?……そこにはウキウキしてる“わたし”がいる。
そう、自分で選んで自分で「準備」するからこそきっと楽しいんだ…。よかった、今の“わたし”にはまだそれができる…!いつか見たCMで『あなたはあなたが選んだものでできている』というフレーズがあった。そういうことなんだと思う。退屈に見える日常も、実は自分が自分のために選んだ個性なのかもしれない。

 Willの描いたこの“アンニュイ・ガール”の姿は、もしかしたらわたしたちに『過剰なテクノロジーの発展は、ともするときみたちのささやかな楽しみまで奪ってしまうかもしれないよ』とささやいているようにみえた。
……ドキッ、とする。楽しいこと全部 ロボットに奪われてしまったら、わたしの感情も
この絵の中の少女みたいに失われてしまうのかな。

もちろん“未来”に“わたし”は存在しないけど、何百年かそこらで人のかたちなんてものは変わりはしない。変わるのはわたしたちを取り巻く環境だけ。-そんな気がする。

『未来は“今”とは違う。だけど、“今”と似ているところも残っているかもね。』
そんなWillの言葉が耳にこだまするようだ。

 マカロンみたいに甘い色彩のWillの作品は、今の時代に生きるわたしに ほんのちょっぴり未来へのスパイスを感じさせてくれた。