Harvester Girl
2008
収穫する少女
H90.9 x W116.7 cm
50 F
acrylic on canvas
(c) 2009 COMBINE

作品中の少女は小惑星帯(アステロイドベルト)にある特別な栽培場で働いている。
そこでは小惑星帯のシャーマン階層が神仏・精霊などの超自然的存在と直接接触・交流・交信に使用するための幻覚性キノコが栽培されており、彼女はその収穫を仕事としている。その労働は苛酷を極めており、労働者達は小惑星帯の社会的安全基準を満たすため、それまで使用していたセミの抜け殻型収穫機械に改良を施し、怪物キメラを思わせるようなフォルムへと作り替えた。その新型機械の足はフック状になっており、労働者の死亡事故を格段に減少させることとなった。さらに、労働者の生存率を高めるためにバイオメカニカル(生物機械工学)による更なる改良を展望している。

この新型機械の改良対する労働者達の想いとは、一重に過酷な労働環境と生存率の低さからの渇望である。それは我々の現代社会におけるセミの一生と酷似している。セミは7年間土中深く雌伏の時を過ごし、成体となり土中から出てくるが、その生命は2週程しかない。この小惑星帯の労働者達も、工場惑星で7年間を低温睡眠状態で過ごした後、惑星と栽培場が直列するタイミングを見計らって現場へと送り込まれるのであるが、現場の労働環境は厳しく、2週間の労働契約を無事に終えて生還する者は少ないのである。


※アステロイドベルト:太陽系の中で火星と木星の間にある小惑星の軌道が集中している領域を指す言葉である
※シャーマン:神の言葉(神託)を伝える役目の人物
※バイオメカニカル:生物機械工学。生物の形や動き、それを制御する機能を機械工学の観点から考察