I was once like you
2008
ボクモ ムカシ キミ ミタイダッタ
H116.7 x W90.9 cm
50 F
acrylic on canvas
(c) 2009 COMBINE

ハイブロット(ハイブリッド・ロボット)の頭脳にはネコ科動物の生きた培養神経細胞のマイクロチップが組み込まれている。この作品はそのハイブロット(ハイブリッド・ロボット)が自らの頭脳を構成しているシステムを所有する本物のネコを、アームの先端で抱き上げた時に感じた親近感と違和感を覚えた場景を活写しているのである。

ハイブロットの高性能機能の象徴とは「万物を見通す目」である。それは、かつて人類が繁栄を極めた時代に普遍的象徴として追い求めたものであった。ハイブロットの高性能機能の象徴である「万物を見通す目」とは、かつて繁栄を極めた人類が到達することのできなかった領域であり、それを凌駕されたという万能性を我々人類に対し植え付けさせられるものであった。

しかし、ハイブロットの視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚とは実際に経験することのない感覚であり、全ては単なる電気信号に変換され取り込まれているだけでしかない。ハイブロットとは完全に内面がシステム化された過去の生命体による経験の集積で構築されており、そのシステムにより人類を超越するシミレーションを施された存在なのである。それでも、自らの頭脳を構成しているシステムを所有する本物のネコを、アームの先端で抱き上げた時に生命体としての幽かな記憶の中に、かつての自分の面影が甦るのだろう。